「僕たちが見ていたものは少しフォーカスがズレていたようです」
それは、私の橋本一監督に対するイメージですね(汗)
撮り方が平板と言い続けてきたけど、案外そうではなくて、本筋に絡まないところで結構遊んでいるような感じ。
予告でも使われていた上記のセリフを言う、神戸・右京・角田課長をガラス板デスクの下から撮ってそこに雑誌を投げ捨てさせてカットチェンジするシーンとか、アングルとか寓意に凝ってる気もしないではない。
無駄に通路が長狭い安宿での、捜一トリオと犯人との捕物劇は、手持ちカメラでの撮影が緊張感と迫力出してて、比較的定点長回しの多い『相棒』の中では面白いカットだったなぁ。
『相棒』初登板の守口悠介脚本。
今後の『相棒』の主戦力となるか、はたまた1シーズンに必ず1,2回あるゲスト脚本か…
通り魔事件発生の光景―神戸「スクープが撮れりゃそれでいいってコトかよッ…」―右京「そのようですねぇ」―角田課長「そのカメラマン、遺体となって発見された」
…と前回の予告や番宣でこの解説的なセリフが使われていて、随分話の展開を語るなぁ、と思ったら、全部冒頭3分で出し切りましたね(笑)
その予告から流れやオチが想像できる感じで、大筋は『相棒』平常運航型のストーリーで、捻り方もさほど凝ってはいない内容。
ただし、変な喋り方の展示会女チーフとか、殺されたカメラマンの友人がやたら軽い感じ、とかキャラの濃さが印象についた。
こーいうキャラ作りのは、脚本指示なのだろうか、P判断なのだろうか、役者任せなのだろうか?
その一方で、通り魔の被害者女性の物語進行上の扱われ方が、いち登場人物というよりも、謎解きのためのピースみたいな扱われ方だったりアンバランスだが、登場人物の扱いの軽重がスッパリしているのは実に『相棒』的。
最近存在感希薄な神戸クンは、今話でもワトソンポジションに終始していて大人しかったが、行くとこ行くとこ遺体写真にぶち当たって、その都度気分悪くしまくるのは、それだけでキャラが立ってたなぁ~(笑)
サブタイトルが「フォーカス」ということで、最後はカメラマンという職業の真髄を犯人に思い知らしめて、“報道カメラマンは実はこういう点で素晴らしい所があるんだよ”という讃歌的なテーマを炙りだして、後日談なくスパッと話が終わり、テーマを絞りきった感じだったが…
だがよく考えても、殺されたカメラマンが写真ばっかり撮ってて、目の前の被害者を助けるために何一つしなかったのは、全然褒められたことじゃあないよねぇ…
せめて右京サンのセリフで「確かに彼が被害者を助けるための行動を何もしなかったことは道義的責任を問われることは避けられないでしょうが、しかしその一方で…」という枕詞ぐらい付けた方が片手落ちにならなくて良かったんじゃないだろうか?
テレ朝というか朝日新聞の都合上、そこら辺の領域にはあんまり踏み込みたくなかったんかもしれんが。
米沢ですら勘付けない、右京サンの「何か気付きませんか?」という質問に対して、まぐれあたりの回答をしてしまう神戸クン。
だがこれは実にマズいぞ、神戸クン。
時々発動する神懸かり的なヤマカンは亀ちゃんの専売特許なんだからなぁー(笑)
その点でも、今回の神戸クンはバディムービー中のバディとして細かいところで輝いていたなぁ