シリーズ初、2時間スペシャルで始まらないシーズンとなった『相棒 Season9』。
最近のテレビ朝日系のシリーズ化されてる刑事モノドラマ(『科捜研の女』とか『京都地検の女』とか)の傾向を見ても、初回2時間スペシャルがないのはかなり異例。
人気作なのにどういう理由があってのことか? 年末の映画撮ってたから、2時間スペシャル作る余裕がなくなったんだろうか?
“スペシャル”という豪華さがないので、何となく寂しい開始なのだが、シリーズものにありがちなパターンを時折崩しにかかるのも『相棒』の魅力なので、それはそれで『相棒』らしいかも。
お話は次回に続くので、脚本自体は2時間スペシャル用に作られていたと見えるけど、一旦事件の一つが二転三転の末、時間内で解決するので、今回だけ見ても視聴の満足感が味わえるように設計されているから、前後編用の脚本構成で作っていると思う。
その事件…夫が妻のスキャンダスな自殺を隠蔽しようと、自分のアリバイを確保しながら殺人事件をでっちあげる…のトリックや動機なんかは、比較的オーソドックスで予想しやすく、解答を聞いてしまうと「なんだ、こんなものか」と思えてしまうんだけど、そこに裏で進んでいたもう一つの事件の伏線も同時に現れてくることで、視聴者の予想を複雑化させて興味をそそらせてくれるので、面白く仕上がっている。
前シリーズ最終回を経て、神戸@及川光博がだいぶ特命係に馴染んできた格好が見て取れて楽しい。
いつもは右京にやられっぱなしのところを、先に「一つよろしいでしょうか?」と右京に助言するところや、右京がピンと来なかった香水の銘柄で事件の背後関係を推理してしまうところとか、馴染んできてるのを踏まえたキャラが立ってきていて面白い。
もう“花の里”での右京と飲みが普通にできるようになっていたり(椅子の座り位置が亀ちゃんと同じ場所になりました♪)するところもポイント。鑑識の米澤も同席していたので、米澤さん抜きで今後もこの飲みの光景が出てくるかは不明だけど。
今回の脚本は、前シーズン正月スペシャル脚本担当と今度の映画の脚本担当の流れを受けてか、戸田山雅司。『相棒』生みの立役者・輿水泰弘、育ての立役者・櫻井武晴以外の、3人目のスターター脚本家となった。
ちなみに、今度の『相棒―劇場版Ⅱ―』でも脚本を担当して、劇場版といえば戸田山脚本、という流れになっているんだけど、前回の『相棒―劇場版―絶体絶命! 42.195km』を見る限りあまり劇場版に相応しいプロットやセリフを書けそうでは人材ではないのに、再登用とは、プロデューサーのどういう判断が働いてのことなんだろう?
…まぁ、今回は共同脚本で輿水泰弘の名前もあるから、キャラ描写が淡白なのは解消されそうだけど。
というか、戸田山脚本も決してキャラ描写が悪いわけではないのに、前作映画が「一体どうしたの?」って話かもしれんが。