研ナオコ ゲスト回。
安心の戸田山脚本回。
前回が展開を捻ってたのに比べると、今回の話の筋道自体は単純なもので、『相棒』で何度も見てきたようなパターンと言えるかもしれんけど、これぐらいの話の骨格で進めていくのがいつもの戸田山脚本回なので。
アバンでミス・アンルーリー@研ナオコの犯行の場面が描かれてしまう倒叙型のシナリオだけど、その行動の始まりが“ある時点”からのものであるのと、研ナオコと特命コンビとの絡み以外のとある場面の描写が長いことで、この手のドラマを見慣れているなら、早々にオチは分かってしまうだろう。
それより、事あるごとに私が感想で「撮り方が平板」と言ってきた橋本一監督が今回の担当だったのだけど、『探偵はBARにいる』の監督をして気分上々なのか、はたまた今までの私の目が節穴すぎたのか……まぁ、後者だろうけど(^^;)…今回はトリッキーな撮り方・編集の仕方が目を引いた回だった。
Season8-4話「錯覚の殺人」でも出てきた、鏡に映っている人物の方を長々と撮る方法が今回多数登場。特に、廊下の角の棚の上に置かれた鏡に映り込んだ景色を撮ったシーンは、ありえない角度からの撮影を可能にし、場面の転換なしにスムーズに場面を描写するのに効果的だった。
また、録音スタジオで聞き込みをしている際には、神戸クンが話している場面なのに、録音中のサックスの音と絵だけに切り替わって神戸クンのセリフが字幕処理で済まされたり。
アンルーリー最後の決断と、それとは相反する観客の行動を、アンルーリーが去って誰もいなくなった舞台裏を映しつつ、観客の手拍子が鳴り響く中、アンルーリーが今までもこれからも望んだ光景を、舞台裏に貼られていたポスターの状態を大映しにして終わる、オシャレなラストも印象的だった。
推理モノではよくある“真実ではない推理描写”……たとえば、真実は殺人である事件を他の刑事たちが「これはこういう経緯のある事故死ですね」と見誤って説明する時とか、探偵役が犯行現場の不審な点を推理した時に犯人が「それはこういう経緯があれば不審ではなくなるのでは?」などとこじつける時とか……をどういう風に描写演出処理するのか、というのは
・映像にせずにセリフだけで終わらせてしまうか
・真実の描写の一部を切り取っているけど、編集やカメラ位置の調整で“真実ではない推理”にも合っている描写に加工するか
・はたまた“真実ではない推理”通りの描写をそのまま映像化してでっち上げてするか
…といろいろ方法があるのだけど、今回は、真実ではない推理通りの映像を逐一撮っていた。
しかもやたら出てくる回数多くて、終いには、二本もタバコの吸い殻があるのにタバコの空箱が現場に落ちてなかったことを、「一本は口で咥えて、もう一本は耳に挟んでたんじゃないの?」という苦しい言い訳してたところまでわざわざ律儀に映像化したのには笑った(^^)
冒頭の研ナオコの犯行シーンで、ジャズコンサートのインストルメタルがオーバーラップしていて、その直後にOPスタートだったが…
今シーズンのOPはジャズアレンジになっているので、巧いこと繋がられたら面白かったのに。
そして今更ですが、今シーズンの相棒のOP映像って、空撮を使っていて仰々しい割には、今までで一番編集などの手が込んでいない単純なものだよねぇ…
今回、神戸クンから“細野様”に宛てたジャズコンサートのチケットが受付で置きっぱなしだったのを右京さんに見つかって隠していた神戸クンだったが、神戸クンのコンサートの誘いに来なかったこの人物の登場は今後あるのだろうか?
亀ちゃん夫妻が去り、小野田官房長が死に、たまきさんが旅に出た今、捜一トリオ・刑事部長や大河内監察官以外のレギュラーキャラを出さないと、キャラ人気が重要な柱であるこの番組にとってはジリ貧になっていく気がするのだが。
というか、こんだけレギュラーキャラ削ってるのに、神戸クン登場以降、一人たりとも新レギュラーキャラ出てきてなくて、亀ちゃん時代にはもういた捜一と大河内監察官を膨らますだけというのは限界があるのでは?
そして次回予告で、「少しはボクのコトを信用してくれてもいいんじゃないンですか!?」と右京に怒鳴り散らしていた神戸クンは、次回右京に反旗を翻すのか?