重苦しい流れが続いて、心の清涼剤となるべき太田愛脚本回ですら重かった今シーズン。
今回の戸田山脚本回まで重かったら、一体『相棒ten』はどうなってしまうのだろう、と不安に思うところだったが、いつも通りの戸田山脚本、もっと言えば通常営業の『相棒』の雰囲気になっていて、良かった。
今までのシリーズの戸田山脚本回を思い起こせば、徹頭徹尾重苦しい回というのはなく、むしろ小ネタが光る軽快さが目立つ回ばかりなので、所詮杞憂だったとも言えるけど、今回のゲストが『相棒 劇場版1』の守村やよい@本仮屋ユリカということで、『劇場版1』の流れだと重くなる可能性もあったので…
不可解な事件を解決してもらおうと朝早くから特命係の部屋で待つやよい。
やよいのことを知っているのは右京と亀ちゃんのみ、しかも亀ちゃんは日本に不在で右京は出勤前、という中、神戸始め角田課長以下組対五課連中というやよいと面識ないレギュラーメンバーによる冒頭のコントからして笑える。
(←「誰だろう? とりあえず笑っとこ」的なシーン)
特命コンビを無視しようとしたら、右京に怪しい車のナンバーをいきなり言われて、メモ取るのにあたふたする捜一のシーンも楽しい。
やっぱり戸田山脚本は小ネタが光るなぁ~
刑事部長に、何が何でもブレイブスタッフ社に関わるな、と釘を刺されて、特命コンビと会議っぽい情報交換を始める捜一トリオ。
右京の質問に嫌がる様子もなく回答して「いやぁ、我々と違ってお二人のように怖いモノ知らずで正義感の強い方なら捜査を続けるんでしょうけど」と焚き付け、すっかり特命係の使い方を心得ている伊丹。
亀ちゃん時代のライバル関係はどこへやら、すっかり一つのチームみたいになってるぞ、特命コンビと捜一トリオ!(笑)
1本の事件として見た場合は、奇奇怪怪でスケールの大きい犯罪になっていて、その奇奇怪怪さは実は別々の事件が1本の事件に見えているだけだったというのは、視聴者の興味や緊張感を効果的に膨らますことができ、テレビドラマの範疇で回収可能な小さいネタで解決してみても、収まりが良くってすっきりするので納得できる、という今回の話の作り方が興味深い。
戸田山脚本回で幾度となく使ってきた手ではあるけれど。
相棒シナリオ集とかのコメントでは、戸田山さんは三題噺(まったく関連性のない三つのお題から一つの話を作ること)の心得があるとのことなので、そういうことになるのかもしれん。