『ナイトライダー』の日本向け販売版DVDの全シリーズ中、このDVDの巻だけ、全話日本未放映!
第1シーズンがどれだけ勿体ないことになっているか、よく分かる巻だ。
また、この巻でマイケルたちが扱う案件はすべて依頼が来たもの。それまでの話とか他のシーズンでは、巻き込まれ型とか身内が関わった事件を捜査するものも数多く見られる中が、他からの依頼で困った人々を助けるというナイト財団の本来の機能を発揮している話ばかりで頼もしいのに。
「潜入!殺人アカデミー テロリストの野望を砕け」
(原題“A PLUSH RIDE”…訳すと、「豪華な渡航」)
ナイト財団が関わる、発展途上国の首脳たちを集めた会議に、首脳たちを狙う暗殺者が紛れ込むという情報が入り、暗殺者の潜入が最も疑われる護衛チームの訓練にマイケルも加わり、訓練を受けつつも、暗殺者が誰かの捜査を開始する、という内容。
なんでナイト財団が主体っぽく第3世界のお偉いさんを呼んでいるのか、ナイト財団の政治的影響力がよー分からんところはある。
それはともかく、推理要素も強く、訓練を受けるマイケルという図も物珍しさが面白く、犯人発覚後のラストバトルにも迫力があるのに、日本で放送されなかったのは惜しい。
“虎穴に入らずんば虎児を得ず”の潜入作戦が「決死の替え玉作戦!ナイト2000凶悪武装軍団マル秘計画を暴け!!」と内容が被っているのが日本放送が避けられた理由かなと考えたが、どっちもシーズン1の話だし、この2話前にその話を放送していた本国版の立つ瀬がない(汗)
それよりも、キットのボケが過ぎるのが日本放送版の障害?
バッグの中身(に怪しいものがないか)を調べろと言われたら下着の種類とか要らんトコまで調べてしまい、怪しい動きをした人物によってマイケルが危機的になるのに以前言われたことを額面通り受け取って何もしなかったり、「事件の骨格を知りたい」と言われているのに人間の骨の構造の説明を始めたり、いかにもコンピューターっぽい融通の利かないキットのボケっぷりが全開。
日本放送順だと、とても20話以上マイケルや人間の相手をしていて慣れている風には見えないし、見えるように日本側で編集するのもこれでは骨だろう。
でも、そこら辺のキットのボケの描写が今話の面白いポイントの一つではあるのだけど。
途中マイケルが、訓練生についての調査をデボンに中間報告する場面があるのだが、マイケルたちが訓練している様子にボイスオーバーさせて、手紙の内容を読み聞かせているような演出になっているのが、『ナイトライダー』の他の話には見られない珍しい手法。
暗殺者の正体については、この手の推理モノパターンではお約束とも言える結果になるが、しかしこの結果はズルいというか「捜査意味ないやん!」と思われても仕方ない……というか、私は「真相が手抜きだ!」と思ったぞ(笑)
しかしこうでもしないと、ラストのバトルが盛り上がらんな。
発展途上国のお偉いさんが最後ウエスタン・バーでバカ騒ぎして終わり、というのはお偉いさん呼んでそんなオチでいいのだろうか、と不安に思わなくもない(笑)
「大統領暗殺犯を追え!記憶喪失の美女の謎」
(原題“FORGET ME NOT”…訳すと、「私を忘れないで」)
中南米の某国からやってくる大統領を暗殺から守ろうとマイケルが捜査していたところ、途中知り合ったミッキーという女性が襲われ記憶喪失になる。マイケルは暗殺者を探しながら、ミッキーの記憶を取り戻そうとする…という話。
ストーリー的には、「女性が暗殺についての重要な情報を握っていて、記憶喪失を解決しないと暗殺の陰謀を阻止できない」というパターンなのだが、字幕が悪いのか、大統領暗殺の陰謀の話と記憶喪失の話が変にバラバラに進行してる印象を受ける。
「記憶喪失を解決しないと暗殺計画を阻止できない!」という部分を強調するところがない気がする。
暗殺阻止を依頼する大統領の娘・マリーエレナと記憶喪失のミッキーの二人を相手してるマイケルは、プレイボーイっぷりがここイチバンだ(笑)
…おっと、マイケルの学生時代の愛車に嫉妬するキットもいたか(笑)
初期のプレイボーイっぷりは「爆殺!狙撃!事故続出!恐怖のサバイバルレースに勝て!!」でも見られるが、今回は南部の海辺が舞台になっているので、水着だったり風呂上りでバスタオル姿だったり、肌の露出度の高さが今話のキモ。
『ナイトライダー・コンプリートブック』の解説によると、世界中で視聴率が一番高かった回とのことであり、どこの国でも男の興味は一緒だなぁ~
…じゃあ放送しろよ、日本!(笑)
露出度もさることながら、転落スレスレの崖道でのチェイス、浜辺でのキットとボートの追跡劇、馬術競技場でのカーアクションと、アクション的にも眼福な回なので、その意味でも未放送なのが惜しい。
このエピソードのキットのウインチ弱いな。
「重戦車砲撃網大突破」の時は、回路故障起こしながらも、乗用車牽引できてたのに。(描写はされてなかったけど。)
あと、恐ろしく高い崖からハデにターボブーストかまして悠々着地してるの見ると、以前の回でカールが死んだのが納得できんなぁ。
しかも今回、わざわざカールの落下時の映像使い回してるから、余計にだよ!(笑)
醒める話をすると、序盤のパーティ会場から飛び出していくシーンで、入口に回ったキットのドアが自動で開くが、座席と後部座席の隙間から、ドアを押し出した手がちょこっと出てるのが映っている。
「闇の武器商人を追え!マイケル決死の潜入捜査!」
(原題“HEARTS OF STONE”…訳すと、「石のように冷たい心」 )
原作者でもあるグレン・A・ラーソンと共に共同で製作指揮に当たってたR.A.シナダーがシリーズ途中で亡くなり、このエピソードから、製作指揮にロバート・フォスターが加わっている。
そして音楽担当者や劇中の小道具などもこの回から変わって、その後の『ナイトライダー』のおなじみになったものも多い。
そういう重要回なのに、日本放送がないとは惜しい。
…いや、逆にターニングポイントになっている回は後からだと放送しにくいのか?
多少の変更点はともかく、お話の方はそれほど他のエピソードから浮いていたり、時系列がおかしく見える部分はないからどうとでもできそうな気もする。
銃の密輸を行っているギャングを摘発するため、マイケルはギャングに敵対するもう一つの勢力の協力を受け、偽の取引を持ちかけてギャングに近づこうとするが、仲介役のアンジーという女性が取引に使う見せ金を奪ってしまい…という話。
最終的にギャング同士の抗争になって、マイケルが一方のギャングに肩入れしてるように見えるのが、倫理的に日本放送を敬遠されただろうか?
3連パーグラフのキットのボイスインジケーターのお披露目というか変更はこの回から。
わざわざ「マイケル、新しいボイスインジケーターはどうですか?」というセリフがある。
これ以前のエピソードでは、キットのメンテナンスおよびF.L.A.G.(ナイト財団実働部隊)の外出時ミーティングに使われる財団トレーラーは、荷台部分が未着色で白く、道路の路肩に止められているところにキットが乗り込んでくる、というものだった。
このエピソード以降、荷台部分が黒く塗られ、ナイト財団のマークが金色で描かれているものになり、キットの収容・出発も道路を走りながら行う形になっている。
ギャングへの見せ金に使う資金を、孤児への義援金に回す予算から流用してきたりしていて、財団の金回りもだいぶ苦労が多いんだなと想像させられる回。
途中見せ金を奪われるものの、何とか取り返し取引を続けようとするが、実は相手方にマイケルの正体がバレていて翌日の取引が危ないという中、危機を察したデボンがマイケルの泊まるモーテルに忠告にやってくる。
デボンがストーリー途中でわざわざマイケルのところを訪れて心配してに来るのは珍しい。
これより前のエピソードでは、大抵トレーラーか財団の事務所で椅子にふんぞり返ってマイケルを待ってるところが多く、外に出てもクライマックスに警察を引き連れて先回りして敵を待ってるとか、実働部隊チームの指揮官なりの行動がほとんど。
それまでのデボンの行動パターンからはちょっと変わっていて、見せ金奪われたことにあれだけギャーギャー文句言いつつもマイケルの身を案じて自ら足を運ぶのは、マイケルとデボンの関係性がチームとして少し深まっている印象を受ける。
製作者が変わった影響だろうか。
でも、このエピソードでは、ラストでジャンプのためのターボブーストを加速用に使うという描写の2回目がある。
次の「爆殺!狙撃!事故続出!恐怖のサバイバルレースに勝て!!」でもこの描写があるので、頻繁に使う設定にしようとしていたのかもしれない。その後は急加速は「追跡」ボタンに統一されるけど。