「爆殺!狙撃!事故続出!恐怖のサバイバルレースに勝て!!」
(原題“GIVE ME LIBERTY OR GIVE ME DEATH”…訳すと、「自由を与えよ、さもなくば死を」)
無公害の次世代エネルギーエンジンカーによるレース大会の開催中、不可解な事故が続出。主催者からの依頼を受けたナイト財団は、犯人を突き止めるため、マイケルとキットをレースに参加させる…という話。
この話でナイト2000のエンジンは、無公害の水素エンジンに乗せ換えられる。
ファンの間では、未来を先取りしたドリームカーというナイト2000のイメージから、「ナイト2000は水素エンジンで動いている」というのが定説になっていて、このエピソードがその説の基になっている模様。
実際、パイロット版のデボンも「ナイト2000は低公害のエネルギーで動いている」旨の発言をしている。
ただ、「デボン逮捕!決死の脱獄 迫る巨大トレーラー!橋上の対決(NO BIG THING)」の中では、ナイト2000にガソリンを給油しているシーンがあったりするので、ファンの間では、ナイト2000が水素エンジン常備の車なのか、はたまたこのエピソードの中だけ特殊で、普段はどこにでもあるガソリン車になのか意見が分かれるところ。
少なくともシーズン3の「恐怖の高圧電流・消えたナイト2000(LOST KNIGHT)」では字幕で「ハイオクの力を見せてやる」(吹き替えは「こっちの加速を見せてやろう」)と言っているので、それまでの間にはエンジンを付け替えているだろうし、なによりナイト2000は時折、リアから低公害カーとは思えないぐらい凄い排気ガス吐く時あるので(笑)、基本ガソリン車なんでしょう。
狙撃した銃や起爆スイッチが隠す様子もなく無造作に置かれていたのに、真犯人が用意したニセの証拠と疑うことなく、「銃が出てきたゾ。“俺は違う”とか言ってるケド、この人犯人ね。ハイ、連行~」みたいな感じで強引に事件解決判定したり、その後に「前のは勇み足だったが、今度は間違いない!」とさらっと自分の結論が間違ってたのに触れて悪びれる様子なく自信たっぷりにさらに間違った結論を話すなど、この話のデボンは、どこぞの推理マンガのおっちゃんっぽい迷探偵的な言動が光る(笑)
冒頭でボニーをディナーに誘ったと思ったら、レース前にソーラーカーのドライバーにモーションかけたり、記者のリバティに同乗してもらえずにプリンス兄弟の方に靡かれてガッカリするとか、プレイボーイ的なマイケルが見られる。
言動が粗暴でリバティに乱暴を働いた挙句犯人に爆殺されてしまうプリンス兄弟は、『ナイトライダー・コンプリートブック』によると、同時期に放送されていた『爆発!デューク』という番組に似たようなキャラクターや車(リー将軍)が出ていて、それをマイケルとキットがターボブーストで飛び越えてしまうとか、このエピソードは『爆発!デューク』へのあてつけもあったよう。
ターボブーストによる加速が見られる3回目。でも、ジャンプ用途でターボブースト使う時には、この回だけなぜか“ロケットファイヤー”(「重戦車砲撃網大突破」での火炎放射?)のボタン押したらジャンプしてる。
この回だけスイッチの名前が変わってるのかと思いきや、終盤のジャンプアクションではちゃんとターボブーストのボタン押してジャンプしてる。
謎だ。
終盤のリバティとマイケルとキットを交えた漫才は、日本放送版では削られていて、楽しいシーンなのに惜しい。
「殺しの暗号トパーズの謎!大追跡!ジェット機に飛び乗れ!!」
(原題“THE TOPAZE CONNECTION”…訳すと、「トパーズの繋がり」)
ロイズという記者が殺害されるが、彼は殺される数日前にナイト財団にある暴露記事の調査協力を依頼していた。“トパーズ”という暗号で呼ばれていたその暴露ネタの対象が犯人と睨んだマイケルは、ロイズの娘のローレンを尋ねるが、彼女はマイケルに非協力的。“トパーズ”についてロイズと一緒に調査していた男もローレンと接触前に殺害され、マイケルとローレンはそれぞれ男が調査していたラスベガスへ飛ぶ。“トパーズ”にアクセスするためには、6ケタのコードが必要だと判明したが、そこには犯人の影もあった…というのが今話の概要。
日本放送時の予告では、サブタイトルには“大追跡!ジェット機に飛び乗れ!!”とあり、セスナ機内で犯人に捕まるローレン、セスナ機を追うキット、「未確認物体(=キット)が2番滑走路を失踪中!」という興奮気味の管制塔の音声、サンルーフを開けてセスナ機に飛び移ろうとするマイケル、というモンタージュになっていて、ここがクライマックスのバトルシーンかと思わせるワクワクさせる仕様になっていたが…
本編では、管制塔の音声はローレンに出し抜かれたマイケルがセスナに追いつこうとする情けないシーンで使われたものだし、犯人がジャックしたセスナ機に飛び移るシーンも結局マイケルが落下し救出失敗、クライマックスバトルは別の場所で、という何ともガッカリな詐欺仕様だった(笑)
ローレンに出し抜かれてラスベガス行きのセスナ機に乗れずじまいになったマイケルが、キットの快速でセスナ機よりも早くラスベガスに到着するというエピソードが見られる。
誕生日祝いにマイケルとローレンがラスベガスを遊びまわるシーンは、ラスベガスの夜景のカットに、マイケルたちの遊ぶ姿をオーバーラップさせるという演出が古いなと感じるが、『ナイトライダー』ではこの演出は珍しい。
中盤の、セスナ機に飛び移り後尾翼を破壊しようとするマイケルのアクションシーンは中々の迫力。上記の通り、結局落下して失敗するが。
ちなみに、かなりどーでもいいことだが、落下してケガしたマイケルを診てくれた医者さんは、デボンの話では「先生が月に一度のラスベガス詣でにいらしていた」と言われ、医者さんは吹き替えでは「月に一度ではない、年に一度だ」と訂正するが、原語では「半年に一度だ(My forays are sami-annual)」となっている。…どう訂正してもカジノ好きなことには変わりないんですが、この医者さん(笑)
“トパーズ”の暗号の答えが、とある人のスリーサイズ(インチ換算)だったというのは、その人を本当に愛してるから故、という解説だったが、スリーサイズをパスワードにしてるなんてそれとは真逆の、体目当ての下半身的な想像しかできんのですが(汗)
ラストのアクションシーンでは、30メートルもの幅がある谷を大ジャンプするキット。
この迫力のカースタントシーンは、よっぽど快心の出来だったのか、「コンピューター泥棒を追え!ナイト2000大追跡ジャンプ!!(NOBODY DOES IT BETTER)」やシーズン3の「恐怖の高電圧 消えたナイト2000(LOST KNIGHT)」でも使われていて印象的だ。
…同時に、ジャンプの様子をカウル横の低位置に取り付けたカメラで撮影した迫力のショットにチューブ(『ナイトライダー・コンプリートボックス』によるとカメラのケーブルが外れてしまったもの)が映っているのが気になることでも印象的なシーンだが(汗)
「偽礼大量生産!!平和な町にはびこる組織犯罪」
(原題“A NICE, INDECENT LITTLE TOWN”…訳すと、「とあるステキで、ゲスな町」)
偽札犯オースティンを追って、とある町までやってきたマイケルとキット。その町ではナイト財団が、最も犯罪率の低い町として表彰式を行っているところだった。そこに現れたオースティン。彼は、警察と印刷業者とグルになって、この町で偽札を作っていた。オースティンを追うマイケルは警察に捕まってしまう。
街の中でナイト2000のカーアクションを行うというのが、すごいスタントだ。
対向車線から車来ている中をスキーモードで長距離追跡したり、細い路地を二台の車がビュンビュンと走り回ったり、二車線の大通りをターボブーストでオーバージャンプしたりと、大迫力のスタントシーンを堪能できる。
一か所、ジャンプ台が盛大に見えていて醒める箇所がございますが(笑)
あと、後半、脱獄したマイケルを探す警察の追跡を撒くために、キットがおばちゃん乗せて町中暴れまわって多数のパトカーを翻弄してるところは楽しい。
こんなに見応えある話なのに、日本未公開なのが惜しい。
途中のキットによる刑務所破りが、パイロット版のを丸々使い回しているのが、視聴者に白けられると思ったのかしら?
それだったら「マイケル連続危機!フリスビーが狙う!猛毒が襲う」もアウトになるな。その理由ではないか…
リフトアップされて捕まってたのを誤魔化して「筋トレしてる最中なんです(Spinning my wheel)」とユーモラスにジョーク飛ばすキットも愉快だ。
車が勝手に動くことを変に思いながら、キットを捕まえることに頭がいっぱいで、まるで小動物を捕まえる時みたいに知恵を働かせてキットを行動不能にして捕まえた時に誇らしげな警官二人の様子は、コントじみててなんか好き。
ここら辺のやり取りもちょっと楽しいし、マイケルとキットが双方ピンチになってしまうという緊迫感がある(本国放送順では)初めてのエピソードなので、未公開なのがつくづく惜しいなぁ…
オースティンという悪役キャラの造形が気になる。
立場上はただの偽札の運び屋ってだけなのに、態度デカいなぁ~
警察の人間に協力してもらって匿われてるという破格の待遇に対し「料理がマズイ」などと散々悪態吐きまくり、CIAの人間に睨まれるような行動をするなと仲間から怒られているのに「なるほど。で、酒はどこだ」と反省の色なし、おまけにそのCIAエージェントを殺してしまうという後先考えないにも程がある行動を取り(CIA本局が本腰を入れて潰しにかかってくるに決まってる)、挙句愛想つかした仲間の方に逆に銃を向けて儲け横取りとか、絵に描いたような“自信だけ十分だが致命的に頭の足りない悪役”だなぁ(笑)