まぁ、スタッフが誰なのかを事前に知って観ていたせいってのも多分にあるんだろうけど、のび太たちが画面に映るまでに街中の風景描写に4カットも使う、『ドラ』らしくない外界を意識したアバンの時点で、かなり分かりやすい渡辺歩絵コンテ回。
いつも『ドラ』は寄り寄りなカメラワークなのに、今回はロングショットを多用したレイアウトの取り方になっているのを見ても分かりやすいか。
芋焼いてるしずかちゃんの後に、しずかママも焼き芋取り出してきたり、その芋が顔よりもデカイ、とかの小ネタも渡辺歩演出っぽい。
演出に宮下新平を投入し、劇場版布陣でお送りする豪華仕様。
作監はテレビ版総作監の丸山宏一だけど、リピート作画やパターン演技をほとんど使わず、キャラを細かく動かしまくるのが劇場版臭のする作画になっていたなァ~
女の子がお兄さんに小包を放り渡すシーンという別段何でもない部分で、「①放るための前行動として身体の重心を少し後ろにずらし→②力を入れずに、肩のひねりと手首のスナップを活かして小包を投げる」という細かいモーションを付けていたりして、動きに対する拘りが尋常じゃない。
尺の都合で、後半部分を水増ししていたのは、「感動させてやれ」というあざとさを感じたせいもあって、制作者の意図に反してあまりいい印象がないなぁ~
窓に映る景色拘ったストイックな構成と、余分なものがなくストンと落ちるラストが原作での魅力でもあったし。
ただ、前座の前半部分がなかなか良くって、いい齢した大人が見るには(見るなよw)退屈になりがちな願望充足型のストーリーが、結構面白く見せられていて、やっぱりこの人は腕があるなぁ~、と思わされる。
部屋から動けないのび太を主軸にした今回のストーリーは、同ポジを上手く使いこなせてる渡辺監督の面目躍如だろう。
それ以外の部分では、スネオの家の窓景色を見て散々笑った後、「あー、もう、次行こ次」とぞんざいな感じで言い捨てる水田わさびの演技が個人的に印象的だった(笑)
そして次回が、登場人物のほとんどが黒焦げにされる「おもちゃの兵隊」と、顔の形を消しゴムで消してしまってのっぺらぼう多数のトンデモ回…
おおっ、久々に黒い『ドラ』の予感(笑)