時代遅れの“探偵モノ”というジャンルに鮮烈な最終回を用意して、伝説のまま引導を渡したいと願う視聴者代表者によって、連続殺人の真犯人に仕立て上げられてヒロインもろとも殺されそうになる天下一探偵が、ヒロインだけは死なすまいと、犯人とともに爆死し、その死をヒロインが悲しんでいたら、次のカットでなぜか近未来の宇宙ステーションに舞台が飛んで、死んだはずの天下一やキム兄が平然と登場して、説明を求めるヒロインに↓
天下一「今回の本当のテーマは、最終回じゃなくて、“叙述トリック”だったのだよ!」
藤井「叙述トリックって、作者が読者にウソついて話を進める、あの!?」
天下一「人聞きの悪いことを言うな。人気が落ちてきた作品で、主人公が死ぬ死ぬと宣伝して注目を集めて、売上が良かったら続編決定、という流れにしたい作者の最後の手段なんだぞ!」
後半30分しか見てないから、前半部で何か伏線が張られていたかもしれんが…
それ、叙述トリックやのうて、夢オチや!
今回は最終回ということもあり、「この事件が終わったら、一緒にデートしよう」などの不確かな未来に確かな希望を欲するセリフを吐くとそのキャラは死ぬ、みたいな、いわゆる死亡フラグが次々出てきて、それを主人公が何とか回避しようとする、いつも通りのメタフィクション的な構成だったけど…
“ヒロインに演劇チケットを渡されると「そんなモン渡されたらボク死んじゃうじゃないかッ」と天下一がメタ的にツッコミを入れて、ビリビリに破いて「危機を回避したぜ」とばかりに余裕の態度で敵地に乗り込んだら、実は破いたチケットを間違えていたことが判明して、それ(=死亡フラグを回避していない=死亡の危険アリ)を知らせにヒロインが天下一のもとへ急ぐ”
…という、メタ的な視点=作品の枠組みの外からの視点があったからこそ、それがドラマ的な視点=作品の内側の要素として転化される、というのが作品構造的にちょっと面白かった。
しかし、“死亡フラグ”って単語、もう一般的に浸透してるのかな?
あと、急に停電になってすぐに復旧したら、目の前ではしゃいでいた探偵ガリレオもどきが見事に死んでて、その後まるで間髪いれずに、1分内で登場人物全員がよく見たことのあるパターンで殺されていく一連の流れが、死亡パターンのつるべ打といった感じで、あまりにテンポよく陳腐なパターンが消化されていくのは笑えたなぁ~
そして、「視聴者が犯人」という掟破りを、ある程度でも納得行く形で映像化できたのはスゴイぞ。
ちなみに、宇宙ステーションに話が飛ぶ時、『2001年宇宙の旅』で使われてたカット繋ぎ(骨を道具として使うことを覚えた原始時代のサルが、骨を宙に放り投げたら、その投げた骨が映る代わりに、骨と同じ孤を描いて飛んで行く宇宙船映って一気に時代が変わるってトコね)がパロディ的に用いられてたけど…
探偵モノでもないのに、そんなSF映画からパロって来てどうする(笑)