ウルトラセブンが出る意味がまったくない話じゃないかッ!
…などという文句は言わない。
宇宙に行くことを夢見続けながら、現実社会の生活に囚われて鬱屈していた男が、夢叶って宇宙に旅に出る話。現実に背を向けて夢を見続ける者に対して優しいファンタジー仕様のストーリーである。
現実を直視しないひ弱さを肯定するのはどないやねん、と非難する気はない。テレビドラマは得てして、視聴者に夢を見させることを肯定する側面があるのだから、こういう話もアリだろう。
…が、そうするためには、その男が「宇宙に行けて良かったねぇ」と視聴者に心底思ってもらうように仕向けるストーリー上の演出を施さなくてはならない。
「宇宙飛行士になるために死ぬほど努力したけど、現実の壁に阻まれた」「現実の生活は、捨てるのが惜しくないほど、こんなにも価値がない」という感じで、“タメ”になる肉付けの描写が必要だと思うんだけど…
「夢見続けていたけど実現できずに塞いでいた男が、宇宙人と出会って宇宙に行けることになりましたぁ~」という骨の部分だけを、ホイッと渡された気分。
(ゲストをあんまり特殊な人にしすぎたり環境下に置きすぎると、視聴者の立場と重なり合わず、普通の視聴者にささやかな心の癒しを与えるという機能が削がれるからか?)
宇宙船で出発する直前の、宇宙に行くことの素晴らしさを語るシーンを、音楽等で仰々しく演出して、最後の最後だけ雰囲気整えて誤魔化そうとしてもダメだわ。
…というか、今回の演出、全般的になんか変。
主にエージェントたちの行動パートで、意図不明の特殊な役者立ち位置や、唐突に始まり唐突に終わる視点ショット、ジンの部屋でのクドいぐらいの高速クロースアップの連発などなど、「お遊びって感じもないし、これやる意味あるの?」なシーンが多かった。
むやみやたらにカッコつけようとして、思いっきり空回りしてるような…
…そして、今話の骨っぷりを助長していたジンについての話。
今回の話を語るのになぜか尺が足りないのもかかわらず、今まで疑問に思う素振りもなかったのに、急に自分の記憶喪失について考え始めて、時間を浪費するなよ。
もう最終話まで放っておけばいいのに…
ついでに、ジンにまとわりつく謎の女性。
幽霊か精霊みたいな存在かと思っていたら、エイリアンと思いっきり衝突して昏倒。
実体あったんかい! というか、フツーの人間かよッ!
そう思ったら、以前のエピソードでの登場がマヌケに見えてきて、このシーンで思いっきり笑ったぞ。