吉田玲子シリーズ構成・脚本&水島努監督によるオリジナルアニメ。
女の子と戦車を学園モノテイストで包んで合体させた、さすが島田フミカネが関わっているだけのことはあると言えるイロモノアニメ。
イロモノアニメながら、『けいおん!』でほんわかとした女子高生の生活の雰囲気を起承転結が緩いストーリーの中に盛り込みながらも案外とテーマのしっかりとした・リアルテイストすらある物語として成立させた吉田脚本の手腕により、さほどのイロモノ感なく見れたなぁ~
ほぼ現実同様の世界観として話が始まるのに、途中いきなり「戦車道」というのが登場し、しかも存在して当たり前かのように登場人物たちが認識・反応して話が進んでいくのは、なんだか設定に置いてけぼり喰らわされているようで座りが悪かったが…
最後のカットで、主人公たちの集合図からズームアウトして学校の外観を写し、さらにカメラが下がって周辺の町の様子を捉え、一体どこまで下がっていくのかと思ったら、最終的に町全体が巨大空母の上に建設されていることが判明し、「現実とはこんなに違う世界観なんだ」と印象的に分かるようにして第1話を終わらせたのは、引きが巧かったな。
初回なのに作画がいろいろと怪しかったのは難だが、水島努が演出で引き締めていたな。(書きかけ)
すごい。
宇宙人を倒すために、友達をルアー代わりに釣竿の糸に括りつけて、眼前のイージス艦を飛び越すように放り投げる……なんて、文章で説明してたらギャグにしかならない展開を、しっかりと真っ当にクライマックスとして盛り上げてくれているのが、すごい。
ルアーフィッシングを通じてユキ・ハル・ナツキ・アキラが交流を深めていくシリーズ前半部分も、この手の青春モノに要求される要素をクリアしていて良いし、江の島に潜む水棲宇宙人の退治に国際機関が乗り出してきて事態がどんどんエスカレートしていき、その国際機関も太刀打ちできなくなった時に、主人公チームが解決に乗り出してくる後半部分も、個人的に好みに合った盛り上げ方で好きだったなァ~
監督の中村健治は、ノイタミナ枠で『モノノ怪』や『空中ブランコ』とか、尖った題材や画面演出で有名だった監督だから、今作もどんな尖ったものが出てくるのかと身構えて見ていたのだけれど、すごく取っ付きやすくて私の身の丈の好みに合った作品に仕上がっていた。
『プリキュア』で一年間腕を馴らしてきたシリーズ構成の大野敏哉の手腕によるところもあるのかもしれんが。
エピローグで、目的を達成してた上無二の親友まで作れて晴れて帰星したハル、予てからの夢だったフィッシングの腕を磨くために渡米したナツキ、苦手な人付き合いを克服して進級したユキ、とそれぞれのキャラクターの成長や進展が描かれているのに、アキラのその後の様子の解説は、お伴のアヒルに恋人ができました、という点だけ説明されていて、ひどく扱いが…(笑)
まぁ、勤め人だと成長も進展もなく、あんなレベルのエピローグになるのが相場なのかもしれん。
#10
何の脈絡もないドッキリクマネタの連発だが、大いに笑った。
姫を狙って以降の、作画の動きとテンポの応酬がノってきてる辺りからが特に。
ちなみに、つみき提案の「ソリに乗ったクマが微動だにせずこちらに近づいてくる」ネタは、クマの姿が風圧で作画動きすぎてて、“微動だにせず襲ってくる”ホラー感が皆無だったな。
あの提案を忠実に演出するなら、クマの作画が動かすところは耳ぐらいにしといて、効果線で動きを補いつつ、真正面からのカットを連続でコンテ繋いだ方が“らしい”かもしれん。
#11
餅つきで杵担当になったつみきサンの、普通に振り上げる体力足りないんで、餅ついた後の杵を横軌道から頭上に持ってきて、体重が足りないので振り落した後にちょこっとジャンプして重さを加える時のリピート作画が、振袖の袖を捲り上げてる姿と相まって、何ともかわゆい。
ちなみに余談ですが、上記のようには書きましたが、餅つきは腕力なくてもつけますよ。普通につく分には、ほとんどは杵の重さを使ってつくので。
#12
怪しげな雰囲気でチョコかき回してる真宵の姿が、1コマ作画でリピートしてて、思いっきり醸し出されてた怪しい雰囲気に笑えた。
このアニメ、結構テキトーに肩の力抜いて作ってるよーに見えて、時々作画に凝りだすから、訳が分からない。
演出に合った作画をしている分、真っ当には作っている気もする。が、しばしばその演出が話の流れ的に効果的か怪しいところではあるのだが。
今回は情報の出し方まずくないか?
…と思った。
おじが学生運動に参加してた、というのは、当時がそういう時代でしたよ、ということを現時代視聴者に伝える意味も含め、かなり衝撃的な事実で、その後の推理の内容としても重い比重が置かれている事象なので、もっと詳しく、印象的に説明するべきだと思うのだが、さも当然のように「そういうことがありました」とおそろしくさらっと短く流された気が…
原作ではどういう流れになっているのかは知らんのだが、脚色の方でマズってるんじゃなかろうか、コレ。
いきなり摩耶花が千反田のことを“ちーちゃん”と呼び始めるところからして、何か手順を間違っている気が…
何か仲良しイベントを設けなければならないなんてことはなくて、折角摩耶花が主人公たちよりも先に千反田家に来ているという状況があるのだから、セリフで摩耶花「ねぇ、ちーちゃん」―奉太郎「(“ちーちゃん”って…いつの間にそんなに慣れ慣れしく?)」みたいな端的な描写出すだけでも、視聴者が抱く唐突さが減ってくると思うので。
始まってすぐの姫様のカットで、「この口の書き位置に特徴のある作画って、もしかして」…と思ったら、案の定、安藤正浩作画監督回だった。
『セーラームーン』の作画で特徴的だったことで有名な人だが、グリューエルがセーラームーンまんまのキャラデザだからって縁で降臨?(笑)
弁天丸のゴミ捨てを一人でするときに、無重力のやり方を失敗して「順番よ、順番!」と一端仕切りなおすとか、時間ないのにわざわざ紙に「ゴミを集める時はG有り!ゴミを運ぶ時はG無し!」と書いていたりして、スムーズなシナリオ運び的には手順的にムダでしかない流れなんだけど、芸が細かくてなんか好き。
あと、重力ゼロの中で、モノを大量に押して進むときの、一端地面を蹴ってふわっと進みながらも腕に相当力入ってるマリカの動きが、無重力下でも頑張ってる感じがすごく出てる動きで、なんか好きだ。
今話終盤のグリュンヒルデがイカ娘に見えて仕方ない。
える「何か匂いませんか?」
柴田「匂います、匂います」
真山「お前の頭が臭います」
…やっぱりこのアニメ見てると、『ケイゾク』が頭から離れない。
おまけに、ヒロインの嗅覚が結構鋭い、という設定が出てきたが、そんなことになってくると、『ケイゾク/特別篇』で写真の臭いにやたらこだわってた柴田を連想させられて仕方ない(汗)
主人公・奉太郎を何が何でも留まらせて謎の解明に関わらせようと行動を束縛する、ヒロイン・えるが、何か黒く見えてきた。
武本監督はこういった抽象派な演出をする人だっけ?
図書館でえるが奉太郎を引き留める際の、実際の位置関係とパース・デッサンを無視した、アクティブな引き留め方の画は面白かったけど。
EDは、薄着のヒロイン2人をいろんなアングルから嘗め回す、上品な京アニらしからぬエロティシズムなセンス全開なものに。…いや、むしろ女性キャラに拘る京アニらしいのか?
演出も笑いどころを補足するような感じではなく、「そこのセリフ、矢継ぎ早で繋いでよ」ってところでもテンポがゆったりしすぎだし。
キャラ同士のやりとりや恋愛模様にホクホクできればそれでいい!…的な仕様なのか。
…と思ったが、3話のエフェクト作画多用で動きまくる雪合戦や、4話の背景動画多用して絵が遊びまくったり、やたら作戦が丁寧に解説されてる缶ケリ合戦見てると、このアニメの趣旨が分かんなくなってくる気がする(汗)
ピクトグラム演出は他のアニメに比べてあんまり上手くないなぁ、と思ったが、4話ぐらい見続けてると、これはこれの様式だなと
伊御が、萌えアニメ主人公のテンプレートから外れれて、「ああ、このキャラは劇中の女性キャラに好かれるヤツだな」と実感できる仕様になっているのは珍しい。
皆口裕子に「あらあら、うふふ」と言わせるの禁止!(笑)
何故かは知らんが、このアニメの決め文句的なものをヒロインの口から聞いた時、瞬時に『ケイゾク』を連想した私(^^;)
どうしてだ。
同じTBS制作ってことぐらいしか共通点がないぞ。
あとはこれらのセリフを吐く人物が、美人設定、頭良いがどこか抜けててマイペース、ウィスパーボイス気味、所属部署が人数的に閑散としている、謎の探求に普通じゃない偏った興味を寄せる、ぐらいか共通点は。
それと、『劇場版SPEC天』公開中っていうのも個人的に影響アリ?(『SPEC』の企画段階のタイトルは『ケイゾク2』)
オタクども期待の星、京都アニメーション制作の新作アニメが遂に放送開始。
でも待て、どこかで見たようなシチュエーションや演出ばかりだぞ
始まる高校生活、物事を斜に構えて見る男子主人公のモノローグから物語開始、閑散とした部室に物語を引っ張る美少女あり…
なんだか、過去の京アニ作品の焼き直しかコレ、と言いたいぐらいの近視感。
原作からしてそうなのだろうから、アニメ企画会議の際の原作チョイスの問題なんだろうけど、新入高校生を主人公にした物語の導入なんてどれも似たようなものだ、という意見はあろうものの、あまりにも似通った導入の原作を選んできすぎだ。あるいは脚色の問題か?
千反田が迫ってきた際に教室が髪と花で埋め尽くされたり、学内掲示板から文字の洪水が溢れてきたり、過剰演出が気になったな。
次回予告は、省エネモットーの主人公らしく、サブタイトルを読み上げるだけのシンプルな作りだったな。
ちなみに京都アニメーションのCMが、以前のようなアニメアニメしたものから、シックな絵柄のものに代わって、ちょっと一般向けを意識したCMに変えてきたなぁ、と思ったが、景色から想像するモノがことごとく女の人の姿だったのは、「一般と言うより、うん京アニ色強いな」と思ったり(汗)
特にファンというわけではないのに、なんでこの監督作のことを積極的に見ようとしているんだろう私…
…という感じで、長らく映画『ドラえもん』の中編監督・本編監督をしていて、シンエイ動画から退社してフリーになったという渡辺歩監督作を見た。
しかも今季、2作も監督をしていて、UHF局深夜アニメの『謎の彼女X』と、キー局日曜朝放送の『宇宙兄弟』。
…なぜ、こんな両極端な作品の監督してるんだ?
『謎の彼女X』は、『ディスコミュニケーション』『夢使い』で、背景への細かい(一部は病的なほどの)書き込みと、フェティッシュな恋愛・性愛を扱っていた植芝理一原作の、「よだれを舐める」とかいう会話や描写が頻繁に出てくる、どー考えても見る人選ぶだろというフェチアニメ。
『宇宙兄弟』は、宇宙飛行士になった弟の後を追って、中年入りかけの冴えない兄が宇宙飛行士を目指す、という日曜朝のアニメには不釣り合いだが極めて一般的な、オジサン主人公のアニメ。
どーにも強力なセールスになりそうもないアニメを収益ラインまで持ってけるように一般化ないし一般的要素を強める作業と、あまり日曜朝には向かないオジサン作品を幅広く見てもらえるように演出する技術が要る、というようなことを考えれば、アニメ化の作業としては似たような範疇に入ってくるのかいな?(汗)
長らく『ドラえもん』で一般向けの演出をしてた渡辺歩の面目躍如というところかも。
シンエイ動画の豊富な作画リソースがない状況で、真価は発揮できるのだろうか、と思わなくもないが、ただ、この人は作画を省力できる同ポジ演出も多用するからな。
作品のカラーが違うし、私の審美眼もかなり下の方なので、『謎の彼女X』と『宇宙兄弟』の両方を見て渡辺監督の演出特色みたいなものを見つけるのは難しいんだけど、強いて分かるといえば、両作品ともモブの動かし方に気を使っている気がする。
『謎の彼女X』は、個人的にタイトルが『遊星からの物体X』を思い起こさせて、なんか不穏な空気があるべき作品に思えてしまうのだが(汗)、アニメに関しては不穏な空気などなく、ねちこいフェチ描写も原作が扱ってる題材の割とあっさり目かもしれないと思ったものの、ただ、前の『夢使い』のアニメがアッパッパーな出来だったからなァ、それを思えば及第点なのでは?
『謎の彼女X』EDは、眠っている女性たちの艶かしい姿態を映していくという仕様だが…
よだれ、自重しろ!
『宇宙兄弟』は、全体にコミカルな演出も巧い具合に作用してるのだろうけど、主人公のムッタを演じる平井広明が『TIGER&BUNNY』同様、憎めないオッサン主人公を好演しているお蔭で、見やすいシロモノに仕上がっている。
宇宙飛行士試験の様子は、先行作品に『ふたつのスピカ』、『プラネテス』という、これよりもっと詳しく、より過酷な試験の様子を描いたものがあるので、それと比べるとドラマ性が薄い気がするな。
3話で女性キャラの描写やカメラワークが妙に艶めかしくって、「あれ、渡辺監督ってこんなコンテの切り方できたって?」とか思ったが、エンドロールみたら、絵コンテが望月智充だった(笑)
フェチつながりで、『謎の彼女X』の方に行った方がいいんじゃないか、望月智充!…とも思ったが、望月智充のはもっとライトな感じのフェチ演出だし、あと、『ふたつのスピカ』の監督もしてたので、そっちのリンクが。