あのややこしい血液型と白血球型の話をセリフだけで済ましてしまうなんて、信じられない!!
一般的には白血球型についての知識なんて知られていないのだから、「血液型が違っているのに、実の姉だなんて!」という衝撃の展開を機能させるためには、ここの部分をもっと丁寧に解説すべきじゃなかったのかしら?
要するに、血液型というのは赤血球の種類のことを指し、これが4種類あって、型が違うもの同士だと(O型以外は)輸血不可能ということもよく知られている。
赤血球は身体中に酸素を運ぶ役目を果たすため、血液が不足すればするほど、生命活動の維持が困難になっていく。従って、事故などで出血多量になった時は、一時的に血液が不足している状態になっており、とにかく生命活動を維持させるために赤血球が必要なのであり、つまり、赤血球を全身に行き渡らせるために血液の「量」が必要になるから、同じ型なら凝固せずにスムーズに血管を流れてくれる赤血球型が重要視される。
対して白血球は、体内に入ってくる病原菌などを攻撃し排除する体内防衛隊の役目を担う。この白血球の型はたった4種類の赤血球とは違い、1万種類以上というとてつもない数である。同じ白血球型の人間を見つけることは非常に難しい。
従って、血液の病気である白血病などを治療するために血液の製造臓器である骨髄自体を取り替えなければならないような場合は、違った白血球型の血液を入れてしまうと入れた先の身体を敵と見なして拒否反応を起こしてしまうため、恒久的な生命活動を行なうことができないので、新しい骨髄と移植先の身体がずっと付き合っていくために白血球型が重要視される。
白血球型が合致するのに赤血球型が違うという場合には、骨髄の赤血球を製造する部位を破壊し、移植先の赤血球型と同じものを製造できるように変化させてから移植するわけだ。
…という知識が頭に入っていないと、今回のストーリー上のトリックはすんなりは理解されないだろう。
なのにコミックでは、白血球型とか赤血球破壊とかの用語だけが突然ポンと出てくるだけで、重要な部分の説明が端折られていたから、知識のない読者に向けては分かりにくいことこの上なかった。
字面で何となく想像ができるマンガでさえそんな状態なんだから、「“えいすけ兄ちゃん”って言っただけなのに」の話ではないけれど、音だけでしか文章を伝えることができないアニメでは余計分かりにくいでしょう。
だからせめて、「血液型はABOの他にもある」「白血球の種類は膨大であり、そっちが合うことが重要」ということを絵にして背景に映しておくとかして、何となくでもいいので分かるように工夫してほしかったわ。(「えいすけ兄ちゃん」のところはそうしていたくせに…)
今回の絵コンテを切ったのはベテラン・青木雄三だけど、やっぱり、原画家出身の彼の絵コンテは説明中心の『コナン』とは合わないんじゃないんだろうか?……と改めて思わされた。
前回の作画はかなりアレだったけど、今回の作画では、ベルモットの後ろ髪がキレイな動画でなびいているのが見られて、感動。
…って、普通の状態に戻っただけなのに、そんなことに感動してどうする(泣)