相変わらず、高得点が出過ぎ、という不満要素が存在する「仮装大賞」ですが、ちょっと擁護的な考えをすると……回数を重ねると参加者の顔ぶれも大体似たような感じになってきて、そうした歴戦の勇者たちが経験を生かして、ウケが良いものを分析したり、より高いレベルの表現やアイデアを出してきたりすることで、ほとんどの出場者が合格になる域にまで達したのかなぁ、とか思ったり。
ただ、ウケがいいとか高度な表現に必要だからって、子どもを大量に動員して、凝った仮装を次から次に繰り出していくというタイプの作品が私はどうも嫌いでねぇ…
なんか、数こそ勝利、みたいな感じになってるのが卑怯だと感じられることが多いんだよね。
今回の「孫悟空」もいろいろなアングルやショットサイズで“撮影”してる感を出すために、二十人以上が参加している大所帯の作品だけど、アイデアが人数ありきの普通のものでそれ以上のものを感じなかったので、あまり評価したくない。
“撮影”を意識した「僕の彼女が怒る理由〈ワケ〉」も、同じ感じで人数使ってるけど、こちらはフィルムの撮影速度に着目して、『マトリックス』的な瞬間スローを使っているところが新鮮だったし、高速逆回しを活かす脚本面的な構成も面白くて、評価は出来る。
ただ、撮影技術に着目した作品は、如何せん最近出過ぎている上に、ギミックが凝りすぎているので見た後に疲れる、という欠点があるにはある。
そう考えると、最優秀賞の「池に映る風景」は、雰囲気だけを重視したシンプルなアイデアに、シンプルだけどインパクトのあるギミックを使っていた、そのさじ加減が素晴らしかったなぁ~
「暑~い!」は、子どもを使った卑怯な作品の部類に入るかもしれないけど、「体を引き裂いて中から別の人間登場」というスプラッタ寸前のアイデアは「うわー! こんなん見せちゃっていいのー!?」という面白味があったし、どういうギミックかよく分からないものの、シンプルでインパクトがあるものだし、子どもをオチに使わないとできないネタを考え出したということでも評価できるかもしれない。
何にしても、帽子の中にすっぽり収まっちゃった女の子、可愛いねぇ~(笑)
子どもを使って卑怯だったのは「ウルトラマン」。私には、仮装大賞の舞台で、父子がちょっと豪勢にウルトラマンごっこをしてるだけにしか見えないかった。
「チョキチョキダンス」も人数合わせ系に入るかもしれないけど、音楽に合わせてチームワークの取れたダンスを披露していて綺麗だったので、まぁよし。
ただ、踊りと音楽で誤魔化しているような感じがするので、評価はしないけど。
撮影技術のほかに、最近では脚本的な面で工夫を凝らしてるのも多くて、技術賞を取った「そしてグチャグチャになった」も、バスター・キートン的な不幸の連鎖を考えて作られている脚本系。
で、ちょっと話を戻すけど、人数ありきのネタが個人的に嫌いということがあって、独りで虚しくがんばる小ネタ集的な作品が、私は大好きだったりする。
なんかねー、ネタが次々と繰り出されるという大盤振る舞い感が楽しいんだよね。「それも数がモノを言ってるじゃねぇか」なんて批判もあるかもしれないけれど、個人的にネタの数が多いのは気にならんらしい。あと、独りでやるという哀愁漂う姿が何とも愛しくてねぇ(笑)
「いろんなリン」は、もう、理想の独人小ネタ集。
「メタボリックジャパン」は、自虐っぷりと白けっぽさが、もう、笑うしかないよなぁ~
「サンダーバード」は卑怯だよなぁー。
ジェットエンジンの噴煙をすすり食う麺に見立てて、延々と「揖保の糸」をすすり続ける、というただそれだけのネタなのに、糸につるされて際限なく徐々に上に上がっていく、という小技を合わせることで、単調さを別のものに変えてしまっていたのが、小憎たらしい。
あんまりにもしつこく繰り返されて続けられると、「引き延ばし効果」になってしまって、マヌケ図に見えてくるんだよね。
おまけに笑えるまでにオーバーに見開いた眼で延々とカメラを凝視しっぱなしなので、笑えて笑えてしょーがないのだもの。
「このアイデアは捻りが無くて繰り返しで時間を稼いでるつまらない部類のものだぞ」と頭で理解していても、映像で見せられるとどうしても笑ってしまう。等速で上昇し続けるってのが、ポイントだよね。
「ど根性大根」、外人をひたすら虐めぬく、という反国際化社会的なヤバイ図が展開されていたので、もう、笑うしかなかった。
欽ちゃんとのトークでも「ダイジョーブ!」とにこやかに答えていたし、強いなーこの人。