取調室で暴行を受ける容疑者、「右京さんは強いですね……そして、いつも正しい」と沈痛な面持ちで呟く薫…
…という予告編を見たときから丸分かりな櫻井脚本回(笑)
警察内の不祥事もみ消しが主軸になった櫻井脚本回って、私が知ってるだけでも今回で3回目で、もういい加減マンネリな気がするけど、いやぁ、個人的には面白い。
今回は今までと違って倒叙型だったり、味付けがそれぞれ異なってるのも、見飽きないし。
警察自身で警察の取調べを監視するという監察官制度ひとつをネタに、いろいろと波状に話を広げていくなァ~
不祥事を隠したくない良心と不祥事を犯した仲間の刑事への同情との板挟みで苦んで自殺した監察官の無念に酬いて、そもそもの根源である不祥事を犯した刑事が良心に従う決意をしたら、異動で監察官に任命されて、自分も苦しみを抱えて死ぬかもしれない立場に追いやられてしまうラストは、「ミイラ取りがミイラになる」的なホラー映画的なエッセンスが入っていて、話のオチのまとまりがいい感じ。
そこから、警察官同士の仲間意識を、自分も持っていると語る薫と、「諸刃の剣」であると評する右京のラストカットで、『相棒』という作品自体のテーマにも問いかけを行なうと同時に、今シーズンで薫が卒業することに対して、薫と右京の別れが近いことを印象付けるところまで持って行くストーリーテリングは、なかなか見応えがあった。
雰囲気的に、これは櫻井武晴なりの最終回という意気込みだったのかも。
そんな主役二人の姿も印象的だが、それよりも捜一の伊丹と三浦の方がキャラ的に光ってたなぁ~
結論ありきの単なる張り子捜査に嫌気を差してる伊丹が、張り子は張り子なりに妥協して割り切って同僚に知らせずに上司にホイホイ報告した三浦にも嫌気が差して、厳しく突き放すが、割り切れずに捜査を続けて真相に辿り着くも、追い詰めたせいで渦中のホシに自殺されて激しく落ち込んでいると、三浦に「お前は間違ってない」と言ってもらえ、しかしそれでも伊丹の気持ちは晴れない…
特命コンビが、困難に遭遇しても割とそのまま突き進んでしまうのと比べ、屈折した感情とすっきりとしない悩みと葛藤を抱えて人間臭いドラマチックな要素を含んでいているので、その点ではより惹かれて見れてしまう。
二人組として括れるコンビが多く出てくる番組だけど、今話においては特命コンビに匹敵する主役相棒といってもいいんじゃないだろうか。