タイムマシンを使って過去の自分を“弟”として連れてくる話。
ママが自分の実子がいつの間にか増えたと本気で思いこむという、そんなのありえねー素っ頓狂な展開がかなり印象的だが、その下地作りはかなり技巧的な作劇によって成り立っている。
ママ「誰なの、その子?」―ドラ「ええっ!! 自分の子どもの顔を忘れちゃったのー!?」
3歳のび太「(年上の小学生のび太に対して)お兄たん、おんぶしてぇ~」
ママ「パパ、ウチは3人家族よね!?」―パパ「何言ってんだ、ウチは4人家族だろ?(パパ、ママ、のび太、そしてドラえもん)」
誰もママを騙そうとしているどころかウソを言ってるつもりすらないのに、ママが壮絶な勘違いを起こす準備が着々と出来上がっているのが、ドタバタモノの話作りとして、すごく真っ当に作られている。
こういう両義的な意味を持たせるセリフ選びは、素晴らしいなァ~
それに、ドラえもんの存在に対しては割とドライなママと、ドラえもんも家族にカウントしてあげる優っぷりのあるパパという性格の違いを端的かつ効果的に表わしている。
やはり偉大なり藤子・F・不二雄!
しかし、嫌がる3歳時のび太を連れ出す時の口説き文句が「お菓子あげるから」なのは、壮絶に犯罪の臭いがしてきて、不道徳なものは見せないのが原則のアニメ版にしては、ヤバイものをそのままアニメ化してるなぁ…
Bパートの、悪事を働きまくるのび太の話をほぼそのままアニメ化してるのも含めて、大丈夫か?(笑)
ただ、お金を盗んだのが道具を使う前だったので、道具の効果がなくなって怒られてしまう、という改変は、未見の人には緊張感を、原作既読の視聴者には、最終的に悪事を容認していたイマイチな原作ラストに比べて納得のエンディングを与える形になっていて、上手い改変だったなァ~