深夜枠で定期的に放送されていたスペシャル番組『すべらない話』―ダウンタウン・松本人志率いる宮川大輔・千原ジュニアなどの芸人たちが、聞けば必ず笑ってしまう実体験談を次々と語っていくという、シンプルながらも高い笑いのヒット率を誇る―のゴールデンタイム進出第二弾。
『すべらない話』というタイトルには本当に偽りがなくて、どの話を聞いても確実に笑わせてくれて、第8弾で初めて観た視聴歴の浅い私もこの番組は気に入っている。
“すべらない”のは、面白いネタがそろっているからというだけでなく、出演者の話術が巧みなことも理由のひとつ。例えば、今回の松ちゃんの話で、「目的地まで目と鼻の先なのに、カーナビが“高速道路に入れ”としきりに案内してきたので、従ってみたら…」というオチがミエミエのヤツがあったけれど、それでも大笑いできてしまったのは、語りのテンションを緩急自在に変化させて話を進めていったからだし。
でも、今回の番組は、今までのに比べて、笑いの質が少々ダウンしてるのが残念。
最も多くの人、最も幅広い層がテレビを見るゴールデンタイムに放送するのだから、深夜放送の頃なら伝わった過激なネタやマイナーなネタは淘汰されて、内容が平均化(=平板化)してしまうのは世の理ではあるのだけれど、でも前回の「ザ・ゴールデン1」では、そこまでのパワーダウンは感じられなかったので、期待してた面もあったからなぁ…
面白い話ができる芸人が集まってきたというより、ゴールデンウケするメンツが集められたという感じが強いのが、ちょっと不満。おかげで、実力が伴ってない人もいる気がした。
それに“『すべらない話』的な語り”をしない人というのも多かったのも気になった。例えば、今回の伊集院光の話は確かに面白い。でも伊集院の語り口って、あまり笑いのない小エピソードの長い積み重ねの果てに、それらが伏線化してラストで大爆笑をもたらす、という「計算してますよ」感がものすごく強い構成になっている。雑談の延長にある『すべらない話』としては、ちょっと整理しすぎてるんじゃないのかな、と思うわけですよ。
ついでにいうと、「ザ・ゴールデン1」で最優秀賞に輝いたキム兄の話は、あまりに長すぎて、個人的にそれほど好きではなかったりする。
だから今回、兵頭の話が最優秀賞になったのは、非常に納得。
ダラダラと長くない(むしろかなり短い)し、語りの構成がかっちりしていないがゆえにそこかしこに笑いの要素が漏れてきていて楽しく、計算が明け透けな部分もほとんどない、っていう理想的な話だったからねぇ~
あと、キム兄の「イタ飯屋で大山のぶ代さんが『ペペロンチ~ノ(ドラえもん声で)』って頼んでた」という、ただそれだけの一言ネタには、不覚にも笑ってしまった(笑