今、NHK教育で水曜深夜に放送してるアニメ。
元々はBSで『プラネテス』と同じ時期に放送していた。
どちらも宇宙飛行士が主人公。
(ただし、『プラネテス』は宇宙時代になってサラリーマン並みに陳腐化してしまった夢のない宇宙飛行士で、『ふたつのスピカ』はまだ宇宙飛行士が憧れの存在である時代の候補生だけど)
傑作と評される『プラネテス』と比べれば、作画面でかなり見劣りする(色彩が変なところがあるし、ときどき顔のパーツが別々に動くなど動画もアヤしいところがある)し、話のテンポもタルいけど、「宇宙飛行士を目指す少女の成長物語」というストーリーがメインの話だから、作画は水準クリアしてれば問題ないし、スローテンポな話運びも情緒的な雰囲気を醸し出していてイイ感じ。
(…というか、『プラネテス』と比べる時点で間違ってるな)
で、観る機会を逃し続けて撮り溜めていた2ヶ月分(←オイ)を一気見したんですが…
時々時系列を無視して過去話まるまる一話入れてくる変則的なシリーズ構成が気になりますな。
しかも「次回はどうなるの~!?」という時に限って、それとは話が繋がってない過去話入れてくるもんだから、なんか出鼻くじかれたみたいな感じになって拍子抜けになるし。
…でも、そのエピソードがあると後の話の理解がもっと深まる、という絶妙なタイミングで入れてくるから、結構考えてあるイイ構成なんですけどね。
なんか、シリーズ構成に文句を言いたくもあり、賞賛したくもあり、複雑…
で、一番最近の過去話で、国産宇宙ロケットの墜落事故の謝罪に苦心する主人公のお父さんの話が出てきたのですが、タイムリーなことに、あのJR福知山線脱線事故の前の週の放送…
自身も事故で妻を亡くしながら、他の遺族のところへ謝罪しに回って、事あるごとに罵られる姿がどうにも痛ましい。
そりゃあ、賠償金払ってハイ終わり、って謝罪内容じゃ遺族の怒りもごもっともだけれど、アスミの父ちゃんは、上からそれ以外の謝罪はするなと命じられて、その仕事を実直にこなしてるだけだろうし。
それでも誠実な態度で遺族に対応する殊勝な心がけ。
妻の眠る慰霊碑の前で「金で物事を解決する嫌な仕事さ」とこぼすところが泣かせる。
嫌な仕事だけど、誰かがやらなければならない仕事だし、娘を養うためにも働き続けなければならない…
そういうことも言ってたねぇ。 何とも真面目な男だ。
…と思うと同時に、とてつもなくリアルに感じられる。
例の脱線事故でも、JRには相当な非難の声が向けられていて、上層部も平の職員も関係なく集中砲火を浴びてる。
事故の犠牲者のことを何とも思わない不誠実な対応しか取らない職員たちが非難を受けるのは当然だけれど、同じ組織に属しているからって全員が全員同じ考えで動いてるわけではないのだし、中にはアスミの父ちゃんみたいに、事故の犠牲者のことを心から悼み、遺族と誠実に向き合おうとしているマトモな職員もいると思うんだけど…
今はそういうことにあまり目が向けられずにJRバッシングが加熱しているように感じられるから、誠実な職員のことも考えてあげて欲しいなぁ…