神戸クンの時には、輿水脚本回の後に、『相棒』初参加の太田愛や参加年数の浅い徳永富彦を中心に脚本担当を回すという冒険をしていたのに比べると、二話目で『相棒』中堅の戸田山脚本回を持ってくるのは、無難で安牌を選んだ人選のようにも思える。
…まぁ、前シーズンみたいに、開始からしばらく重ッ苦しい展開の続く話が連続する構成よりは、よっぽど口当たりがいいので、これはこれで歓迎なのですがね。
「Season9-16.監察対象・杉下右京」を書いた戸田山雅司らしい、セルフツッコミから始まるのは笑った。
カイトが警察庁次長の息子だという設定に対して、『相棒』ファンたちのイジワルな声として「今まで特命係を庇ってくれていた小野田官房長がいなくなったから、右京サンも後ろ盾が欲しくなったんだよ」という感想があったが、今回内村刑事部長が「魂胆は分かっている。警察庁次長の息子を人質にしておけば、特命係への処分を甘くせざるを得ないという、姑息な計算だろう」と指摘してたり、他にも、角田課長や米沢サンが「右京の相棒として特命係に来る人間は、名前が“か”から始まって“る”で終わる法則」を指摘するなど、『相棒』視聴者が抱いている感想がそのまま作中に出てくるんだもの。
オークションに出品するはずだった有名ジャズピアニストの腕を再現した石膏像が紛失し、カイトがオークション会社社長から相談を受けるのだが、石膏像を発見し警察に届け出た男が殺されるところから始まるストーリー。
オークション会場が舞台になり、犯人に証拠品である出展物が渡りそうな瞬間に右京が乱入してオークションの値が吊り上っていく、という流れは、「Season4-14 アゲハ蝶」後半と同じだったな。
あちらはアゲハ蝶が作品のテーマになっていたのに対し、今回はオークションがテーマだから全体の雰囲気はだいぶ違うが。
ちなみに「アゲハ蝶」の脚本は岩下悠子。
今回もカイトの運転シーンがなくて、車移動に際しては右京サンが運転。
このコンビでは、運転担当はずっとこのままで行く気なのだろうか? 上司が運転する、ってなんか座り悪い気がするんですけど。