第8作から監督を務めていた山本泰一郎が総監督に格上げされ、監督がテレビシリーズでよく絵コンテ担当していた静野孔文に交代しての、劇場版名探偵コナン15周年記念作品。
…の割に、目立った売り文句が無かったような感じなのは、気のせいだろうか。
「レギュラーキャラが次々襲われる!」「蘭が記憶喪失!」「今度の舞台は海の上!」「メンバー全員集合!」「黒の組織との直接対決!」みたいな、その映画の“色”を強烈に印象付けるものが、この映画の宣伝からは欠けていた記憶があるので。
「都知事が狙われた!」「8年間眠り続けた少年が目を覚ます!」「雪原の不可能犯罪!」「ダムに危険が迫ってる!」などなど、いろいろと盛り上げる題材はそろってはいるのだけど、焦点が絞れてなくて、どの要素にも踏み込みが足りなくて、とっ散らかっている印象があるし。
去年は東日本大震災がこの時期に起こっているし、その御蔭でこの映画も内容の改変措置を多少行ったというので、その影響もあるだろうけど。
宣伝の売り文句はとっ散らかってたけど、最近のコナン映画では控えめだったアクション分が規模巨大化しているのが、今作の特徴。
なぜかこの要素、宣伝の時に「ラスト15分を見逃すな」とかいう感じで覆い隠されてて、あまり前面に出されてなかったからなぁ…
冒頭から、都知事暗殺のために地下鉄と地下車道が爆破されて、列車が脱線暴走というド派手さ。
あんな交通量の多い車道でどうやって天井なんかに爆弾設置したんだよ、とか、あんだけ爆風と列車暴走が起こってて人的被害ほとんどないのかよ、とか、そもそも地下鉄構内があれだけボロボロになってたのに列車がキレイに車道に出て行きすぎとか、ツッコミどころ多いが…
爆発直前でのコナンたちのやりとりが緊迫感巧いこと煽ってたり、車線逆行して爆弾設置場所にターボスケボーで向かうコナンに対して一般車両に乗ってる人たちがちゃんとリアクションしていて「異常事態」であることをキチンと印象づけてたり、盛り上げようとする心意気や良しか。
体は小学生のクセに、コナン一人で活躍しすぎだろ、という別の視点からのツッコミも出てくるが。
あと都知事の警備の第一人者として、警視庁警備局じゃなくて、目暮警部たち捜査一課が担当になるのが変な点だが…
…あそこで出てこないと、後のシーンで捜査一課の皆さんの出番全くないからなぁ~
舞台がダムのある雪国の村に移ってからは、アクションがラストまで無くなるのがバランスの悪いところか。
蘭・園子・毛利のおっちゃんも付いてくるが、ほぼ少年探偵団がメイン。
むしろ、蘭たちがいない方が、話もうちょっとまとまったんじゃないの、というぐらいの扱いだからな。
もしかしたら制作側は「今回の映画は少年探偵団大活躍!」という売り文句でも予定してたんじゃないか、と思うぐらい、コナンが少年探偵団の括りで一緒に行動してる。
まぁ、蘭と新一のすれ違い恋愛がウケてるこのシリーズにおいて、そんなの製作側がよしとするわけなくて、脚本の準備稿段階の会議で修正されて、この出来になってるんでしょうが。
「8年間眠り続けた少年が目を覚ます!」ということで、精神年齢7歳=少年探偵団と同じ少年が出てくるのだから、もっと少年探偵団との絡みをいろいろと増やしてやればいいのに、どうにも薄味。
8年間眠り続けた結果、自分の心は7歳の時のままなのに、あずかり知らないところで体は成長し周りの友達も変わってしまい、乖離した現実を受け止め切れずに困惑し殻に籠ってしまう、しかも実は8年前の事件に関連していて、そこにバカというか無邪気な少年探偵団のみんなが絡んでくる…
…こんな面白い要素の塊、レギュラーキャラとの絡みを増やしたもっと踏み込んだ描写やイベントの一つでも差し込んでドラマを盛り上げられるよう、いくらでも調理ができるだろうに、ないからなぁ…
冬馬少年単独での葛藤とかはあるんだけど、コナンたちとのやりとりとあまり関わりなく起こるからなぁ…
母親に不安な心情を爆発させて泣き崩れる冬馬 → ダイヤモンド・ダスト現象発生に盛り上がる少年探偵団 → 冬馬にキレイな現象を見てもらおうとする少年探偵団 → ダイヤモンド・ダストでトラウマぶり返して混乱する冬馬
…という感じで、この流れなら少年探偵団のお蔭で冬馬の気持ちが楽になったとかの描写を少しでも挟んだりするのが定石だろうに、少年探偵団絡ませても冬馬の気持ちを突き落としてばっかりで、ここに限らず、場面とかエピソードの繋げ方があまり自然ではないのが気になった。
ゆっくりとした喋りでお馴染みだった戦場カメラマンの渡部陽一がゲスト声優で出てきたところで、画面外からの声で元太たちが「あのおっさん、喋り遅ぇな」「うん」「寝ちゃうかと思いました」と、声優のアドリブくさいやりとりやってたのはなんか好きなんだけど(笑)
ラストでは、犯人が目論んだダム爆破が実行されてしまい、怒涛のアクションシーンに雪崩れ込むが…
その直前で明かされた、冒頭の都知事暗殺も含めた事件の真相を聞くと、最終目的のためにここまでのリスクと労力かける犯人はアホじゃないのか!?
強盗して手に入れた宝石がダムの底に沈んでしまったからって、マスコミ対策で都知事爆殺しかけたり、ダム自体をぶっ壊して水を抜こうとするとか、そんなことやらんでも他にいくらでもやりようがあるだろうが。
潜水服を使え! …と言っても、ダム決壊ありきのシナリオなのだろうから、詮無いことですが。
絵コンテ協力と演出に、寺岡厳とか久城りおんとか、アクション得意そうな人が参加してるので、迫力としては結構なものになっているけれど。
あと、ここ最近の映画『コナン』って、ラストでコナンと犯人がタイマンの流れになって、コナンがけっこう痛めつけられる、という、児童虐待防止の放送コードに引っ掛かりかねないんじゃないの、というようなことが多いのだが、大丈夫なのだろうか?
全般的に、レイアウトが意味もなく偏っていたところが多かったのが、すごく気になった。
ラストの、広大な雪崩範囲にコナンが生き埋めになってしまうのを捜索しなければならない、という絶望的状況の描写も、皆さんやたら固まって近いところを探しているので、レイアウト巧いことなってないなーと思ったし。
そういえば、今作、レイアウト作画監督とかレイアウトチェッカーがいない…
前作『天空の難破船』よりも出番が増えた、小山力也ボイスのおっちゃんだが、なんか性格がすごくアホというか変なことになっとるのは気のせい?
『11人目のストライカー』の宣伝のために作った臭い実写版スペシャル第4弾。
新一役が小栗旬から溝端淳平に代わってからは2作目だが。
相変わらず原作との時系列を無視しているような、変なところで気に留めているような、緩い感じの作り。
何で毛利のおっちゃんが役者目指そうとしてんだ、とか、いやいや、服部が上京しようとする気概を見せるところは律儀に原作と繋げようとしてるじゃないか、とか。
それ以前に、池田屋襲撃シーンで、高校生探偵とはいえ一般人に過ぎない服部が何で沖田総司役なんて任されてるんだ、とか、沖田の相方役をなんでおっちゃんやってるんだ、とか、トリックが粉塵爆発かよ、とか基本的なところでおかしいところもあるような気がせんではない。
宣伝では「シリーズ最多の容疑者11人」と謳っていて、刑事まで容疑者に含めていた京都新撰組殺人事件編だが、「そんなに容疑者作って、どんな複雑な進行にする気なんだろう」と思ってみてたら、密室殺人が起きた時点で容疑者的な演出されてたの5人ぐらいしかいなかった。
どーみても誇大宣伝じゃあありませんかねぇ!?
原作21巻の「工藤新一 最初の事件」のドラマ化部分もあったが、目暮警部の役割を佐藤刑事と高木刑事に置き換えてたり、原作のキャラクターのイメージにあまり合わない配役している以外は、ほぼ原作通りの進行。
アンジャッシュの児島が出てるのを見てると、『アメトーク』の児島いじり回を見ていた身としては、出てくるたびに笑えて仕方ない(汗)
飛行機の揺れで新一が蘭の胸にアクシデントタッチしてしまって、蘭の鉄拳制裁により飛行機全体が揺れに揺れまくて乗客・乗員がびっくり仰天、という物理的にも作品のカラー的にもありえねーオリジナル部分が挿入されていたが…
…まぁ、どんな形であれドラマオリジナルの魅力を出そうとするのは大事だから、あまりとやかく言うべき点ではないだろうな、とか高慢にも思っちゃう自分です(汗)
ちなみに、ブラジャーから凶器のワイヤーを取り出すシーンが、省略されてた原作と違ってちゃんと描写されてた。
いらんところの描写はしっかりしやがって。視聴率アップには繋がった?
・事件名の牢獄に囚われるコナン
・「ここはオレに任せて先に行けー!」とばかりに壁を蹴り壊す服部
・召喚獣よろしく探偵団バッジから少年探偵団召喚して爆弾処理
・ゴシック的な衣装着て何してんスか、灰原姉さん?
・何か高いトコにいて崩れる足場と共に落ちる蘭と、白馬…じゃなくてスケボーで駆けつけるコナン
・どこでもボール射出ベルトで助かって、小学生といい雰囲気になる女子高生
・さあ、姫と勇者がそろったところでエンドロールだ(←まだ始まったばかりです)
…コナンって、RPGかファンタジーアニメでしたっけ?(笑)
本日は、「競技場無差別脅迫事件」の再放送。
次の劇場版が『11人目のストライカー』に決定したから、その宣伝の意味で再放送なんだろうなー、というのは想像に難くないけど、この回の絵コンテ・演出が現監督の於地紘仁(当時は越智浩仁表記)だったので、もしかしたらそっちの繋がりもあるのか?
この回は、作画監督が志水泉だった。今となっては懐かしい名前だよ…どこへ行ってしまったこの時期の安定したコナン作画監督陣…
黒タイツ犯人姿を実写化すなー(笑)
しかもこの黒タイツ、白目の三白眼で口元がよく見えないという『金田一少年の事件簿』仕様だ。
『コナン』は口元歪ませながらキッとした瞳孔で睨みつける感じの仕様なのです。
というか、黒タイツ表現は、あれは犯人の正体隠すためのマンガなりの表現なのだから、実写だったら逆光使って影で表現とか、ほかにもいろいろあるだろうに
しかも、黒タイツ映した直後のカットに、真犯人のちゃんとした後ろ姿くっきり映したら、黒タイツにする意味なくない?
新一や蘭を監禁しつつ電子キーや特殊仕掛けだらけの部屋を作ったのは、エライ資金と手間が要りそうな仕掛けで、それを作ったのが監察医だったってのは資金面で大いに疑問が…
…と思ったが、お医者さんって浪費しなければ結構金が貯まる役職だったなぁ
今回のシリーズを俯瞰しての新一の言葉…
新一「探偵は関わった事件の数だけ責任を負うんだ」
殺人事件の解決を賭けにしてしまうような原作新一と違って、ドラマ版の新一はしっかり成長しているよう(笑)
…という感じで、パラレルで進行しきったかと思ったら、最後の最後で原作一話に繋げた
パラレルで行きたいのか、原作に沿いたいのか、どっちだ!?
しかし、あくまでも『名探偵コナン』の実写版という名目なら、こうならざるをえないか
なんだかんだでほとんどの話数見てしまった。
「ネームバリューに頼りやがって」とか悪態吐いておりましたが、他のドラマ見ない癖にこれだけは見てる私は、間違いなく釣られてるバカ筆頭(汗)
原作第26巻の、コナンが解毒剤で新一の姿に戻っていた時期に、レストランで蘭に告白しようとしたら殺人事件発生、解毒剤の効果も切れてきてピンチ、というあの話が実写化。
時系列まったく合わす気なし!…というのがここに極まれり。
元々原作の諸要素だけ活かして、後は自由、という作風の実写化ドラマなので、今更ツッコミ入れても詮無いことだろうけど。
原作にあった、公衆の面前でコナンの姿になってしまうかもしれない、というピンチは当然削除。
殺人事件の解決へのプロセス自体には、この要素はあってもなくても影響しないから、実写版では余計な要素になっているものを推敲しても問題はないと思う。
その分、犯人を追い詰める最後のツメの部分で、幼児化の発作が襲ってきた上に、突きつけた証拠を犯人に覆されてしまって逃げられそうになるダブルピンチの緊迫感は削がれたけれど。
最大のネックは、事件解決したけど蘭のところに戻る時分にはコナンに戻ってしまって結局告白できず終い、という話のオチの部分。
強制的にコナン化したので新一として告白することができなかった、という流れのオチなので、コナン化の要素を削除したら、代わりのオチをどうするか気になるところ。
…最終的に、“興を削がれたせいで”、という感じのオチに差し替えられてたけど、まぁ無難なところか。
ちなみに、目暮警部役の伊武雅刀はギャラの関係で召喚できなかったのか、目暮警部の役回りは佐藤刑事が担当してた。
しかし、このドラマ、「大人向けのコナン」というのを重視するあまりか、変なところに拘っている気がする。
先週のDVシーン、押し倒すところまでに留まらずブラジャー剥ぎ取るところまでカメラで映して、しかも繰り返し何度も使うとか、大人向けという意味を間違えている気もせんではない。
「介護疲れから、母親殺そうと思いましたが、踏ん切りがつきませんでした」
うん。
「下着泥棒に遭いましたが、泥棒が黒の下着が好きだというので見逃して、母を殺すトリックに利用して殺してもらうと思いました」
うん?
「下着泥棒が自分の家で再犯したので、トリックが作動して成功しました」
えっ?
「死にかけたお蔭で母の体の調子が良くなりました。お陰様で不起訴です」
はっ?
…まぁ、原作でも『コナン』のトリックレベルってこんなモンですよねぇ~とは言いたくないヨ(笑)
無理ありすぎ! オチも都合よすぎ!
まず下着ドロなんていつ来るか分からんモノをトリックに利用するなヨ!
そもそも下着ドロ頼みのトリックっていうのがマヌケに見えるヨ!
いつ来るか分からんのに毎日複雑なトリックをセットしてたら、手元狂ったら自分で作動させちゃうだロ!
原作『コナン』もこんなモンだろ、とか言われても、やっぱり思っちゃうヨ、そういう文句!
そして新一は、一人で突っ走って真相に辿り着いているのに、周りに説明しなさすぎ!
「説明しないので、新一の行動が下着ドロ並みの怪しさに見える」というのがネタなのだろうけど、周りに説明しないという状況設定が甘すぎる。
チカンに対して目を▽(逆三角)にさせながら激怒して罪を追及する蘭は、蘭というより園子の気質が混じってないですか?
いや、もうキャラ設定は、その話に沿った形の改変&面白くできてたら、原作に合わせる必要もないか。
事件関係なしに、前半のチカンにまつわるコミカルなやり取りは面白かった。
次回は実写版服部平次登場。
新一と背中合わせで真相語ってるところを見ると、やっぱり時系列合わす気ねぇな。
まぁ、それはそれで面白そうではあるけれど。
ちなみに服部初登場は原作11巻で、この時点で新一とは面識なくて、新一はコナンになっている。(そしてこの話でコナンは偶然新一に戻る)
原作では、幼い頃の二人の推理対決のネタも後出しで描いているんだけど、すれ違いで会えなかった・真相を説明するとき片方は電話など、何が何でも面識作らないようにしようとエラく工夫している。
前のスペシャルの感想で、「これを『名探偵コナン』を実写で再現するドラマだと思ってはならない、設定だけを借りた新種の推理ドラマと考えるべき」というようなことを書いたけど、そこらへんはシリーズになっても変わっていない。
相も変わらずネームバリューだけで、雰囲気誤魔化している感じだが、私みたいな「特に見たいわけではないけど、『コナン』だし、何か推理モノを軽ぅーく観てみたいな」なんてあまりマジメでない思いで観るヤツもいるわけで、私もしっかり釣られている以上、ネームバリューもバカにはできん(汗)
『CUBE』みたいな部屋に囚われた新一・蘭・小五郎が、部屋から脱出するパスワードを探るために、過去の事件を思い起こしていって、それがその回のメインの話になる、という、よー分からん連ドラ仕掛けが施されている。
『コナン』本編との整合性を取ろうという気はないようで、新一がコナンになる前の話なのに、佐藤刑事と新一に既に面識があったりする。高木刑事はいつ知り合ったんだか分からんから良いとして(笑)(あっ、新一の高校生探偵デビューのニューヨーク行き国際線機内の事件ですでに会ってるか)、佐藤刑事はコナンになった後知り合ってるし、新一として会話したのは原作68巻になって初めて会ったぐらいだから。
この分だと平次も出てきそうだが、ヤツも新一がコナンになった後の知り合いである。
…でも、こーでもしないと、少なくとも原作のキャラクター的な旨みが発揮できんしなー。
高木刑事から「彼は高校生探偵なんです、だから今回の捜査に協力をしてもらってます」なんてセリフが出てきたり、「推理が違っていた場合は、探偵を廃業します」と新一が宣言したり、どんだけ探偵の概念と権限が肥大化してるんだ、この世界…と思ってしまった(汗)
そら、原作でも小五郎が“名探偵”という理由だけで捜査に参加してたりするが、アレでいて警察に顔が利く元刑事だし、ちゃんと素行調査とかで稼いでるプロだし、少なくとも推理だけしかしない高校生が探偵開業してるのより説明つけられたりするんだぞぉ~