劇場版の監督が山本泰一郎に代わってから、初めてじゃないでしょうか、ここまでバランス良く面白い作品に仕上がっているのは。
相変わらず、前提条件の説明に尺を使いすぎていて演出が間延びしているように見えたり、テンポや上映時間を有効活用している風ではないのだけど、犯人たちが行動開始してから起こっていく事件が、脇道に逸れずに直線的に進行していくので、話を追いやすいし、コナンとテロリストたちの直接対決まで緊張感が続き、その直接対決で伏線とカタルシスを一気に開放というのも、クライマックスでの充足感があって良い。
過去最高にスケボーアクションがキマっている!
ラストバトルで、飛行船が現実的に考えればありえないことになってしまうが、犯人に最後の一撃を与える一発逆転というハッタリ効きすぎてて、むしろ好きです。
幼いコナンを一切の躊躇なく上空から放り捨てるというのが、情け容赦なくて敵として分かりやすいし、ここまで分かりやすいと絶対黒幕いるよな、という伏線まで読めてしまう親切設計。
今回限りのゲストキャラの子どももシナリオ展開にそれなり貢献させていて、脇の小ネタも上手く拾っているし。
…ただ、映画おなじみのダジャレクイズは、合間に入れるのキツかったのか、初めて終盤で披露されたが。
あ、話の行く末を決めるオチを、エンディング後に明かすやり方も今回初だな。
そして、超二枚目のキザったらしキャラとして定着してしまった怪盗キッドが、『まじっく快斗』ばりの二枚目半ぶりを披露して、怪盗キッド元来の立ち位置に戻ってきてくれたのが嬉しい。
おかげで、一つの敵に対してのコナンと怪盗キッドとの共闘というスペシャル要素も、それほど違和感なく受け入れられる。(緊急事態に対して協力するというのは、『銀翼の奇術師』であったけれど)
過去2作で、TV局は全然堪えてなかったらしく、作品コンセプトから見れば狂気の企画である「実写版名探偵コナン」が久方ぶりに、みたびお茶の間に登場…
さすがに前作工藤新一役だった小栗旬は有名になりすぎてるし実年齢も離れてきたので呼べないということだろう、新一と蘭のキャストは変更になっている。ハマリ役すぎた陣内孝則@毛利小五郎とかはそのまま。
原作との比較を行なえば、「こんなモン、『コナン』って呼べるシロモノじゃねーぞ!!」と非難轟々のレベルの出来なのだが、まぁ、コナン実写化企画なんてどう転んでも「別モンじゃんコレ!」という文句が出てくるので、だったら思いきった改変してみよう!…という開き直りというか、視聴者側諦観戦法で行くのは、ある意味正しい戦略なのかもしれないし、私自身に、この実写版にそこまで不満出てくるほどの興味がないし(汗)
…どのぐらい違うのかというと、「『コナン』というより、コレ、『金田一少年の事件簿』か『TRICK』じゃねーのか?」というレベルなんですけどね(笑)
『コナン』にも閉鎖環境型ミステリーあるけど、村人総出でヨソモノ排除しにかかるとか、そこまでの域にまでは行ってないので。
制作側は『金田一少年』とか『TRICK』っぽいものを作りたかったけど、手軽な原作とか見つからないので、『コナン』の設定使って作ってみましたー、という事情でもあるんだろうか?
あんまりにも違っているので、キャラ造形に特に言いたいこともないんだけど、強いて言えば、原作ではコナンが顔すら忘れてた蘭の母・妃英理が、新一がコナンになる100日前に既に会っている、というところが原作の時系列と矛盾する作りだなぁ…と。
モニュメントに人を突き刺すトリックのタネ明かしも大概ではあるが、最後の、日食の謎は、自然の生き物をトリックに使っていて、どー考えてもあそこまでうまく行くワケがない!
…っていうか、どういう原理かの説明も特にないぞ。
夏の終わりを惜しむ歌詞のOPが今話でようやく変更。前のOPの使用期間が長すぎて、どこまで夏への未練引き摺っとんねん、という状態になっていたからなー(汗)
新OPのアニメーションだけれど、サビの部分で、歌手のダンス光景をアニメでリアルに再現するという、妙な試みが…
歌手本人の映像が映し出されるOPといえば、『コナン』ではB'zの「ギリギリChop」の時しかなかったけど、あれは天下のB'zがアニメのOPを担当するというイベント性もあっての特別待遇だったし、今回はわざわざ労力かけてアニメに描き起こしてる力の入れ様なので、新人歌手のプロモーションに利用する気を全然隠してない構成が、なんだかなー
本編は、30分完結のオリジナルだから仕方ない部分もあろうけど、ものすごく薄い脚本…
・金持ちのお嬢様には媚びへつらって、裏では他人に対して横柄という、登場した瞬間に殺される(殺されかける)のが丸分かりな被害者
・「あの女に乗り換えるんじゃないでしょうね!? 許さないんだから!」「お金返してください、あれがないと…」とすごーく分かりやすく被害者に殺意を持っていることを一通りだけ描写される容疑者たち
・そういう光景を特に意味もなく覗き見するコナン
・そうまでして怪しい雰囲気を描写したのに、犯人は一番殺意の描写が薄い普通の人
…という、なんというテンプレート通りの、面白みの薄いお話だろう。
しかも、特にコナンの行動なんか、「最初にコレ見せとかないと」というお話のご都合に合わせて、少し不自然な流れでもあった。
ただ、いろいろと推理を巡らせた結果、園子が最有力容疑者になって、「お話の続きは、署の方で伺いますので」と連行までされかけたのはちょっと面白かった。
レギュラー陣が容疑者になる、という話はこの手の作品には結構あるが、そういう場合は「容疑者・毛利小五郎」みたいに話の最初に示されて大上段に掲げられるので、毎回3人程度登場する容疑者の中の一人みたいに描写されて、とりあえずその場に居る人全員を犯人に仕立て上げる山村警部のへっぽこ推理の末、園子しか容疑者がいなくなっちゃうというような流れは新鮮だったかも。
まぁ、よくよく考えると、金持ちのお嬢さんでワガママで年不相応に男好きの園子って、典型的な殺され役もしくは犯人候補の属性持ちだからなぁ(笑)
今日の『コナン』は『コナン』ではなかったよ…
原作ストックの枯渇ぶりが深刻なのか、別番組が『コナン』枠で放送されちゃった…
…と言っても、原作者同じで『コナン』作中にも出てくる怪盗キッド主役の『まじっく快斗』なんで、そこまでの別番組っぷりではないけど。
(おそらく)今年の劇場版の宣伝のために、アニマックスで新作として第1話が(今更)制作・放送された話なんだけど、『コナン』枠で流してもいいのか?
通常の『コナン』スタッフではなく、音楽含め他のところから呼び集めた別班で作っているから、通常の『コナン』の雰囲気からかなり違和感ある。ていうか、監督が平野俊貴ですか…
作画が通常営業の『コナン』とだいぶ違って、それも違和感の原因。
いつもアレだけ私が貶してる『コナン』作画陣だけど、割かし剛昌作画に合わせられてるだけ、今回の『快斗』スタッフよりもがんばってるのかも。
…いや、通常営業でも剛昌作画から程遠い回もよくあるし(汗)、今回のはキャラデザのクセが強いってだけか。
あと、現在の剛昌作画に合わすか、『快斗』原作1話の絵柄に合わすかによっても違うし。
いつも音楽は『太陽にほえろ!』の大野克夫が作ってたから刑事ドラマ雰囲気が強いBGMばかりなんだけど、今回は主役が怪盗キッドなんで、ハイキーのベースサウンドが軽快に響く、いかにも“盗賊が主人公です”というBGMになってたのは、話の主軸が明確になってて良かった。
藤村歩が声を当てた青子には、何か違和感あるなぁ~
藤村歩はハキハキ喋りだから、おバカな天然キャラの青子には合わん気がするのよ。
…と言っても、今回、快斗と激しくバトルしながら数式の解を瞬時に解いてたし、完全なるバカではないんだろうけど。それに今話だけならおバカな部分なんてないから合わんでも問題なかろうが。
あと、アニマックス放送時にはあったという、最後、青子が快斗の苦手な魚を持ち出してきて快斗に対抗してやろうとしたら魚が盗んだダイヤを食ってしまうオチがまるまるカットされていた。
あの部分こそ、『まじっく快斗』のノリを象徴する部分だと思うので、見られず残念。
いや、今回『コナン』の放送枠だから、その判断は正しいのか…
ちなみに、アバンとラストの枠外で、コナンがキッドの正体を知ったような解説になってたけど、これは非公式設定でいいんですよね…?
毛利小五郎役の神谷明が降板し、『24』のジャック・バウアー吹き替えなどで御馴染みの小山力也に変更しての『コナン』第一回目…
当然のことながら、毛利のおっちゃんの違和感がハンパない!
声の違和感については制作者も承知しているだろうに、この話の開始第一声がおっちゃん@小山力也で違和感ゴリ押しみたいな形になってるのは、どういう考えなんだろう…
まぁ、違和感はどうしたって出てくるだろうから、最初っから出してしまえ、という考え方もあろうけど。
ただ、注目度も高い回だろうに、話がやっつけ臭いのはどうしたもんか
民間人に過ぎない探偵が取り調べを行うという無茶を押し通すのに、シナリオ側の説明が薄すぎるし、そもそも第一容疑者の冤罪を晴らすのが話の主軸だったのに、結局そいつが犯人でしたー、というオチは、途中の捜査過程に劇的な紆余曲折がなかったせいもあって、「今回の30分は何だったの?」という感じだし。
「ザ・取調室」ってサブタイトル付けておきながら、取調室でのやり取り(…といっても容疑者が始終完全黙秘なのでやり取りすらないのだが;汗)が全く話の進展に関係なかったり、一体何がしたいストーリーだったんだ?
取調べは『24』で印象深い要素だし、今回の話は力也小五郎を世間に認識させるために、神谷明降板が決まってから急遽作ったって感じだったりするのだろうか…
前回の予告編で幼女誘拐描写が映って、「おいおい、このご時勢にそんな話放送して、この番組大丈夫か、しかもアニメオリジナルで…」といろいろ思うところあって、今回のを見てみたのだけど…
幼女誘拐は冒頭のホンの一部分で、話のメインは、それを発端にして事件に巻き込まれて人質にされたコナンと犯人との珍道中だった…
じゃあ、わざわざ予告編で映して、リスク高めるようなマネすんなよぉ~(^^;)
子ども向けとはいえテンプレートすぎるセリフ回しとか、周りに警察がいて別に単独行動する必要もないのに独断専行して犯人に捕まるコナンとか、誘拐されたコナンを追う目暮にコナンが誘拐されたと部下が報告を入れるという無駄な話の流れができてるとか、毛利探偵事務所が無線LAN完備になっていた上、それについて小五郎が繰り出す救いようのないオヤジギャグだとか、「この事件、まだ裏がある」という理由だけで犯人逃亡を幇助するコナン&阿笠博士(犯人を警察に引き渡しても、事件の裏は捜査できるのに…)とか、話の展開がいろいろとヒドすぎるんだけど…
ドジでコミカルな犯人と行動をともにせざるを得なくなるというキャラ重視の状況設定になっていて、目の付け所はいいなぁ、と思ってスタッフロールを確認したら、[脚本:柏原寛司]…
ああ、納得(笑)
警察に隠れて、あらゆることについて単独行動するのは、刑事モノのドラマでよくある話だからなぁー
話の展開がヒドいのは、いつも通りということで(笑)
まぁ、脚本では理由付けがしっかりなってたのに、絵コンテレベルや編集レベルで切り落とされた可能性もあるので、一概に脚本家をクサすことはできないんだけど。
…まぁ、そういうことで、前回の予告編で感じた「この番組大丈夫か!?」という不安は解消されたワケだが、別の方向から「この番組大丈夫か!?」という問題が…↓
ベテラン声優・神谷明が『名探偵コナン』の毛利小五郎役を降板へ
『キン肉マン』のキン肉マン役、『北斗の拳』のケンシロウ役などで知られる声優・神谷明が18日付のブログで『名探偵コナン』(日本テレビ系)の毛利小五郎役を降板することを明かした。神谷は「理由などは、詳しくお伝えすることは出来ませんが、契約上の問題と、信・義・仁の問題とだけ申し述べたいと存じます」と綴っている。
ベテラン声優である神谷が、1996年から13年に渡り演じてきた『名探偵コナン』の毛利小五郎役を降板することを発表した。神谷は「ファンの皆様にはそのご期待を裏切る結果となり、申し訳なさで一杯です」と番組を楽しみにしているファンに謝罪。さらに、「毛利小五郎役を引き継ぐ方には、是非頑張っていただきたいと、エールを送ります」と激励している。
また、今後は声優としてではなく「名探偵コナンの応援団として、支えることが出来ればと思っております」としている。
神谷は1970年代から声優として活躍し、『ゲッターロボ』の流竜馬役、『うる星やつら』の面堂終太郎役、『シティーハンター』の冴羽リョウ役など人気作品の声優を次々に担当。現在は、コンサート、講演会なども行い、幅広く活動をしている。
9月18日10時30分配信 オリコン
ええええええええええええええええええーーーーー!!!?
長寿アニメの声優交代劇をいろいろと見てきた(聞いてきた?)けど、ここまで金の黒い臭いが明白な交代劇は見たことがないぞ!(長寿アニメじゃないのだったら、少しはあると思う。あと、リニュドラは一応報道時には金の臭いにフィルターかかってた)
いや、それよりも代わりの声優さんが誰が適してるのかテンで想像できないんだけど…
…って、なんか『ドラ』の時と一緒の感想になってないか、オレ(汗)