右京とたまきさんがマジックショーを観に行ったら、舞台上での落下事故に出くわしてしまい、それをマジックショー関係者による殺人の疑いありとして右京&神戸が動くという話。
割と一本道なストーリーだったなぁ、と言えなくもない。
暗転終了直後=事件発覚時にMr.アキが頭抑えて防御しているところからして、少なくとも事件について何らかの情報を知っているのは明らかなので、それを意識していると余計に。
息子が怪しい、というミスリードはあったけど、あんまり有効でなかった気もするし、ミスリードに見せかけて犯人を特定する糸口になっているのもシナリオ上の工夫だとは思うが、そもそもそれを糸口とすることに意味があるのだろうかとも思ってしまった。
「#04.錯覚の殺人」が似たような系統の話で、キャラ描写にしろ、ネタの詰め込み具合にしろ今話より充実していて面白かったので、それとどうしても比較してしまって、ちょっと辛めの評価になってしまったなぁー
殺人の動機の身勝手さは、最近の『相棒』に不足していた成分だったので、そこは面白かったけど。
脚本:櫻井武晴 監督:近藤俊明
Season8最高傑作決定!!…でいいんじゃないかと思う、櫻井脚本回。
とにかく私は、櫻井脚本回には甘いのである(笑)
あんまり有効活用されていなかった神戸をストーリーに十二分に絡められてる時点で、もうOKだと思うぜ(>▽<)b
亀山から神戸に変わったせいで、どうにも宜しくなかった捜一との絡みも、神戸が捜一の取り調べ対象になったせいで、充分に補強されたし。
伊丹「ホラ、ケータイに名前が出てる。かんべ・そん!」
神戸「たける、です。」
Season7最終回で仄めかされていた、「特命係の亀山ァ~」に代わるこのやりとりが遂に見られた…!
そうでなくとも、神戸登場以降のシリーズに出てきた要素をすべてぶちこんでいて、なおかつ巧いことストーリーに組み込んで話を展開しているんだから、全話見ているファンたるもの、この構成力に唸らなくてどうする!
警察官が容疑者、女性関係が裏にありということで、大河内監察官が登場して、神戸に「どうして結婚しない? しないからこういうことになる。警察官は40までに結婚しないと出世に不利だ」と神戸に苦言すると、神戸が「じゃあどうして大河内さんは結婚しないんですか?」と訊いてきて、大河内が若干うろたえるところは「2-15.ピルイーター」での出来事を知っているとニヤニヤできるキャラ仕様。
そこから、「#01.カナリヤの娘」での神戸と大河内の会話から神戸スパイ疑惑に繋がり、今回の話の根幹である庁内スパイのネタが炙り出されるのも面白い。
庁内スパイを巡って、警視庁と警察庁が内輪揉めする辺りは実に私好み。さらにその内輪揉めが殺人事件の捜査方針まで見誤らせてしまうところまでエスカレートしていくのが、「警察モノ」としてかなりのレベルまでこじれていて面白いんだなァ~
そしてスパイ疑惑から、神戸の立ち位置に揺さぶりをかける流れも、事件を主とするストーリーラインとキャラを主とするストーリーラインが見事に融合していて、素晴らしい…
脚本:戸田山雅司 監督:和泉聖治
『相棒』でありそうでなかった、歴史ミステリーに切り込む一編。
それだけで面白かったなぁ~
特命コンビが京都に出張ってくるということで、京都スタジオとかスタッフの京都組がある東映の面目躍如!
「真実は白日の下に晒すべき」というのが右京の信念だから、時間経過があんまりにも長すぎてもう真実かどうか検証のしようもない歴史ミステリーと食い合わせが悪いといえば悪いが、歴史ミステリーを解き明かした右京は実に楽しそうだった(笑)
歴史ミステリー関係の事件もちゃんとオチが付くので、2段構えは別段不満ないけど、しかし、真犯人の目論見は相当回りくどすぎやしませんかね。歴史ミステリー側の話でいろいろと緻密に仕込んでいたのに、あの一瞬に立ち会えなかったら全てがおじゃんな、杜撰な計画にしか見えないので(汗)
せっかく右京と京都まで来たのに、わざわざ神戸呼んで自分は別行動に移ってコンビ二人きりにしてしまうたまきさんは、いろいろ勿体ない。
右京とたまきさんの絡みの話がもっと見たかった思いがあるというのもそうだが、そんな右京と二人きりになるのが嫌なのか、はたまた右京と神戸の密着した絡みが見たいとかいう腐女子志向でも持っているのか、などと勘繰れるところが(笑)
(書きかけ)
ついさっきまで乗客がいたかのような形跡のあるバスが路上に無造作に放置されていたことから始まる話…
マリーセレスト号事件をモチーフにしたホラーミステリー的に始まる話なんで、似たような事態から始まる「Season1-9.人間消失」を連想させて、今度の徳永脚本は砂本量的。
前半だけならまぁまぁ面白かったんだが、さらなる真実に踏み込んでいく後半は、あってもなくても良かったような話の薄さが気になった…
Season8、待ってましたの櫻井脚本回。
ここまでで一番締まりのある話になっているのではなかろうか
…というのは、私が櫻井脚本好き好きな人だからだろうか(笑)
ヒス気味なクレーマーで溢れかえっている年金保険事務所のいかにもな描写や、特命コンビが行ったら「この人殺し役員!」という物騒なセリフを吐く事件関係者が騒動起こしてるタイミングにたまたま出くわすとか、犯人の分かりやすすぎる失言を引き出すために年金保険事務所職員が事件を知るまでの段取りが野暮ったかったりして、ツッコミどころがないわけではないけれど、陰謀系の話は個人的に好きなので。
右京を監視するという本来の目的を遂行する初期設定に忠実な神戸、神戸の行動を看破する右京、〆切延期を頼みにくるような気軽さで犯罪隠蔽を警察庁に頼みにくる腐敗官僚に対していつも通りの飄々とした感じで「死ねば?」と凄んでみせる小野田とか、登場人物のかっちりしたやり取りが魅力的だった。
米軍…とは明言も詳細描写もされてなかったけど、基地問題を取り上げるとは、いかにもテレ朝的。
「まったく無駄のない動きだ…」と褒められてた、防犯カメラに映った犯人の動きだけど、移動の際に身体に変な回転加えたり、割と無駄が見えた気がするのは私の認識違いかしら(汗)
もうちょっと社会派ネタらしい硬派な落とし処の方が良かったんだけど、青春グラフティ的に落とすのは『相棒』ではほとんどなかったパターンなので、これはこれで新鮮かもしれん。
勘繰ると、テレ朝サイドが「米軍基地問題を絡めて一本作れ」と東映サイドに発注して、東映サイドが、今のご時世米軍基地に実力行使かけるような誰もやらない事件を起こす動機を、何とかリアルな手触りで書こうと考えあぐねて、“若さゆえの過ち”ということで未成年による犯行というネタを思いついてに、そのオチに合うように全体的な流れを青春グラフティ的に仕立てた…とか思えてしまう。
おのれ、テレ朝め…(↑注:管理人の想像の話です;笑)
一緒に視聴していた母親が「『古畑』や、『古畑』や!」とうるさかった(^^;)が、確かに『古畑』的。
倒叙型のシナリオもそうだし、推理担当・質問担当・ボケ担当の3人で推理を進めていくという展開もそう。
今回は、芹沢を特命コンビに張り付かせて、話を明るくする方向に寄与してた薫の抜けた穴を、ちょっと抜けたキャラの芹沢で埋めるというナイスフォロー。
シンプルな構造のシナリオに様々なアイデアが込められていて面白かったなァ~
今回の事件のトリックのキモでもある色彩のトリックを説明するシーンで、錯覚ではなくて完全に色を違えた別の品に変えて撮影していたのが丸分かりで、興醒めな気も…
まぁ、今回の色彩トリックは分かりやすい錯覚ではなく、思考・主観によるところが大きいから、違和感あってもとことん分かりやすく見せた方がいいかも。
橋本一は撮り方が奇をてらわずオーソドックスなんだけど、控え室での尋問シーンは、神戸と犯人が対面する位置取りにカメラを置いていないのに、鏡を使って擬似的に対面させていて、今回のテーマに合わせて凝った撮り方をしていたな~
そんなことを考えるのは、シナリオには、プロデューサーやディレクターや撮影予算などの、脚本家以上のクラスからの指示や意図が絡む場合があるので、そうなると脚本家が単体で勝負できるのは、大枠ではなく細部なのかなー、と。
櫻井武晴脚本とかだと、シナリオ運びとシナリオ自体にクセがあるので、分かりやすいんだけど。
先週に引き続き太田愛脚本だけど、今回はとっても『相棒』らしいシナリオに仕上がっていて、楽しく見れた。
やっぱり特命係には、事件に偶然巻き込まれるのではなく、事件の方から飛び込んで来てもらわないとねー
どーでもいい案件の処理を押しつけられるという、窓際部署らしい仕事が、メインの殺人事件に絡んで解決の糸口となり、一方でメイン事件の捜査を担当している捜一は大人数で間違った方向にずんずん進んでいく、というのはこの手のシナリオの王道中の王道といえばそれまでだけど、『相棒』としては、やっぱりこっちの方が落ち着くなァ~
それに最近、特命係と捜一が別々の方向に進んでいき、どう見ても違ったターゲットに狙い定めてる捜一の様子を滑稽なものとして見る、というようなパターンがなかったので、何か嬉しい。
時間軸を前後させてクライマックス部を見せておき、インパクトのある導入にしようとする倒叙式のアバンも、なかなかに『相棒』的。
事件関係者の家に事情聴取に来ているのに、右京が家の中のあれこれについて蘊蓄を垂れ流し、しかしそれが相手との話が弾んで捜査が進む、というのも『相棒』らしいパターン。
今回は神戸押しのシナリオだけど、張り込みしているのが相手にバレてしまう神戸のおちょこちょいぶりを見ていると、どうも薫をイメージして脚本書いているように見える。
事件捜査のために容疑者に近づいて行動を共にするうちに刑事と容疑者の間に絆みたいな感情が発生する、というパターンの話に分類されるのだとは思うし、ラストは二人のその関係性を活かした落とし方になるので、そういうパターンの話と見ると今回のは、ちょっと浅い描写に留まっていて物足りなさを感じなくもないけれど、こういうパターンをサラッと流して重い読了感を残さないのが『相棒』といえば『相棒』…
話の展開を捻りに捻る『相棒』にしては、オチがすぐに読めてしまう簡単な部類の話だが、今回のシナリオよりも展開の間隙の部分に味があったからなぁ~
神戸のキザ系のキャラクターと過去の経歴に絡めて活躍場を作ったクライマックスは、神戸押しのシナリオとしてはなかなか良い。
もし薫がこのポジションに居たら、もっと情に訴える形になるだろうし、キャラに合っている。
まぁ、『相棒』にしては、ケレンが強すぎるクライマックスになっている気もするが。
途中、容疑者の扱いについての見解の相違で少々激突したものの、Season7最終回から数えて、神戸登場から4話にして、ようやく右京が神戸を認める兆しを見せた。
でも薫と違って、天性の素質に基づく行動が右京の心中の何かを動かしたというわけではなく、おばあさんとの関係性の影響で間接的に意思を見せた形になっている辺りがポイントか…?
このまま、順当に二人の距離を縮めていくのか、それとも途中の相違の部分を強調して、一筋縄では寄って行かないコンビに仕立て上げるのか…
特撮オタクにとっては注目回。
平成ウルトラマンシリーズで、手堅くて印象的な回を数多く手がけてきた太田愛が『相棒』脚本初登板。
『相棒』の作品的な性格は、生みの親たる輿水脚本よりも、シーズン中の脚本家の手によって作られてきた印象もあるので、その意味でも要注目。
輿水脚本では、新相棒・神戸を薫のイメージに被らないようにしようという方向性が見られたのだが、今回は、神戸のキャラクターや立ち位置を、薫のそれに近づけようとする意識が感じられた。
神戸が結構マヌケな姿を晒していたんでねぇ~
(ちなみに、薫がいないおかげで特命コンビと捜一の絡みがイマイチ弾まないせいか、芹沢が特にひっかけもないのに、うっかり特命コンビに情報を漏らす流れになっていて、芹沢のドジっ子ぶりがだいぶ浮いている(笑))
神戸のキャラクターや立ち位置がまだ開発途上な分、その不安要素の保険というか、『相棒』の2話目にしてはオーソドックスな内容で攻めてきた。
登場人物の誰もが不自然な説明口調、突如始まる容疑者たちの自己紹介、偶然殺人現場というか殺人事件発生エリアに出くわしてしまう主人公…という推理モノの定石をこれでもか積み重ねていく構成で、まるで現代の推理モノの初期バイブルともいえる『名探偵コナン』を観ているかのような感覚に…(汗)
(ちなみに『相棒』は、右京たちの刑事という立ち位置を活かして、事件のあるところに乗り込んでいくことが多く、毛利小五郎みたいな偶然居合わせのパターンは、『女王の宮殿』他数えるぐらいしかない)追記:失礼。巻き込まれた方が多いよね、特命係、というか主に薫ちゃん(笑) 右京と二人セットで巻き込まれるのは珍しいかもしれんが。
しかしまぁ、話がオーソドックスな割には、殺人トリックは偶然性が高くて確実なものではなく、行動の説得力に欠けた辺りは苦しい感じがする…
神戸をダシに使った挙句、「動物の鳴き声がする」という誰に対しての言い訳なのか不明な理由で他人の机を無断で漁るとか、右京のキャラクターがどんどん過激になっていく…
犯人逮捕のためなら強硬な手段も辞さないキャラだったけど、そこまで露骨に犯罪的だったっけ?
亀山薫@寺脇康文が“相棒”から卒業し、杉下右京@水谷豊と神戸尊@及川光博の新相棒コンビがいよいよ本格始動する注目のSeason8。
とことん神戸を右京に嫌わせる気か…
薫ならば、あそこで正義を貫いて右京の株を上げていたのが「土曜ワイド劇場版1」という初っ端に既に実現できていたのに、神戸にはその逆を行かせるという…
廃れた革命戦士がこの現代になって再び東京でテロを起こそうとする、というネタだったが、陰謀が現実化し話が大規模化するとむしろ不自然になるんだけど、危機レベルで留めておくと観ていて緊張感が高い、という低予算でもスケールをでかく見せて面白くする燃費のいい設定を考え付くのが上手いなぁ~
革命戦士を父に持ち父を怨む娘、という設定が出てきたとき、「革命戦士とか言われるほど活動に熱心なヤツが家庭なんか持つんじゃねぇよ!」というツッコミ待ちのシロモノのように見えたが、嫁さんの方もソッチ系の人だったというのがオチに来たので、納得できたなー
Season8開始前に、まだ観れてなかった回が再放送。
相変わらず、サブタイトルが秀逸だなぁ~
やっぱり、薫と捜一の絡みがあってこその『相棒』よ。
子どもがテーマになってくる話だけど、特命コンビが小学校で情報収集してたときに「アナタ、タイプだから」という理由でこっそり情報提供してくれる女の子が出てくるとか、子どもたちの性格がなかなかにパターン外しになっている。
「目撃者」でトリック仕掛けた少年といい、輿水脚本に出てくるキャラクターの一筋縄ではいかなさは、子どもにも容赦がないなぁ~(笑)
薫が両親を説得するときに「今は家出みたいな可愛いもので済んでますけどね、放っておいたらもっと酷くなりますよ」と言ったとき、「そりゃあ、両親に愛されてないと非行に走るよなぁ」程度にしか思ってなかった私は、その後の「生きて出て行くだけが方法じゃないんですよ」のセリフでガッツンとやられた。
こういう、聞き分けのない親を説得する、というシチュエーションでは、「そんな、型通りのことを言われても、相手を説得できないでしょ」という作品が多いだけど、この話はなかなかに相手に聞かせるセリフになっていると思う。
「まったく、冗談じゃない…!」という父親の捨てゼリフに「冗談でこんなマネはできない!!」と激昂する右京のセリフもなかなかに魅力的。
ところで、「みんな善意で動いていたし、ケガした人もなかったので、めでたしめでたし」みたいな雰囲気で話が終わったけど、誘拐捜査ということで警察が動いたほどの事件だったのに、これで終わったらいけない気がする(汗)
先に販売されている劇場版サントラとTVサントラにも収録されているスコアもあるので、それを持っていると新録部分は31曲分。
このデラックスのサントラだけ買ってる人は網羅されてていいんだろうけど…
その31曲も、他の曲のバリエーションで、あんまり印象が変わらなかったりして、余計に満足感が経るぅ…
…とは言いつつ、「帰還」のバージョンアップ版とも言える「真実の果て」は、聞いてて満足だったりして、バリエーションだからどーのこーのと文句垂れるのはお門違いかもしれん(^^;)
あと、シーズン1のテーマ曲が「ロングバージョン」で収録されている、ということになってるけど、テレビサイズとどこが違うんだろう…
こいつとシーズン7テーマ曲には期待してたんだが。
…という文句は、まぁ、ケチんぼの戯言ということで(^^;)、本来ならば劇中曲をほぼ網羅した大満足のディスクだというのは間違いないでしょう。
私も、前にサントラ買えた時は相当嬉しかったもの。