『ブラックジャック』「Karte:27 最先端ルームの悲劇」
なんかいい感じに原作アレンジしてるなぁ…と評価してたら、オチで裏切られた…
密室から抜け出せるかどうかのサスペンス、というのも今回の話の重要な点だと思うけど、イチバン大事なのは、というよりも私が重要視して欲しかったのは、原作最後の1ページなのですよ!
偉ぶっていた人たちが命の危機を前に「もし助かるなら1千万払ってもいい」なんてブラックジャックに言ってたのに、ブラックジャックのおかげで無事に脱出できたら「千円でもいいよねぇ~、ヘヘ」とちょいと強気になって譲歩を求めてきたのを、「信用してなかったよ。人間ってそんなモンだろ」とブラックジャックが軽く受け流して去っていく、っていうシーンが、人間の本質をよく表していて、なおかつそれをチクリと刺しているという風刺性とケレン味があるのが、原作のオチの面白いところ。
それをアニメ版は、お偉いさんたちを「払わない!」と強硬に突っぱねる型通りの悪役にしてしまったから面白くない。キャラの性格が始めから一貫してるのでキャラの把握がしやすいっちゃーしやすいけど、やっぱ多少はヘコヘコしててくれんと「おー分かる分かる、自分もそう言ってしまうかも」などと感情移入はできないわよ。
おまけにブラックジャックが証拠映像を出してきて、相手に「持ってけドロボー」なんて言わせて実際に払わせるか!?
全然風刺が効いてないよー!
話の格子を「大岡越前」にしてどうする!
“こういう方法を使ってシラを切る悪役にちゃんと約束を守らせました、ちゃんちゃん”
ブラックジャックが治療費をぼったくる(←違)キャラだからって、こんなところで腹黒さを発揮させるなッ!
それもこれも、ラルゴと写楽の登場時間を増やそうとして追加した“ビル内での警備員との追いかけっこ”をシナリオに有効に繋げようとしたせいだろうな。
でも、ラルゴはともかく、写楽がビル内を逃げ回る理由が不明確だったので、追いかけっこ自体があんまり面白くないなぁ…
早くブラックジャックとピノコを見つけて遊園地に行きたいがために奔走してドタバタを繰り広げるコメディリリーフか、ラルゴの真剣さから異常事態が起こっていることに気付いて二人を探して回ってサスペンスを盛り上げる一翼を担う役か、どちらかを終始徹底させればよかったのに…
遊園地ネタを擬似タイムリミットにして、最後に「結局遊園地行けなくて絶叫マシンにも乗れなかった」→「もう絶叫マシンみたいなものを体験したじゃないか」→「絶叫してたのは大人だけ」というオチを持ってきたのは良いと思うんだけどなぁ…
うまく繋げれば、危機に瀕した状況を笑い話にしているブラックジャックも「喉元過ぎれば熱さ忘れる」を(意識的に)体現しているということを効果的に示めせただろうに。
ところで、今回声の出演に非声優系の人が多かったな…
メッセンジャーの黒田とか…
別番組の企画か何か?