監督に増井壮一を招いて、脚本をしぐれ京が担当してお送りする、『クレしん』映画第19作
前2作のしぎのあきら(義野利幸)監督作品から比べたら、まとまりがある作品に仕上がってる印象。
そりゃ、本郷・原監督の黄金時代と比べれば、落ちるだろうけど、生半可ながらいち映画ファンとして、ムトウ監督作以降最近まで、観ててなんか調子悪かったので。
黄金時代のは映画としても出来がいい部分に満ちているし、その御蔭で対象年齢の高いものになっていると思うので、今回の映画は、メイン視聴者の幼児にも分かりやすい形でまとまっているんじゃなかろうか。
下品が基本と思われてる『クレしん』だけど、“おなら”をテーマにここまで下品な感じに仕上がったのは、今回が初めてではないか。
ウンコ臭いだの、ひまわりにチンチン引っ張られるしんのすけだの、チンポコの勇者だの、確かに下ネタ多用してるのではあるが、話の筋や目的自体は、真っ当な時代劇してたり、敵が現実の常識やファンタジー世界の通説に裏打ちされた確かな力で世界征服を目指してたり、真面目な部分が多くて、下品な要素はネーミングとか小ネタとか、話の流れに極力影響しないところで使われていたので。
おならが決め手になるラストは下品の極みだが、強力なおならが波動砲みたく打ち出されるバカバカしさ全開の演出で押し切ってしまうので、下品さは薄れてるな。
下品な印象が全編を覆ってるだけではなくて、タイトルにある通りスパイ映画としても見れるものに仕上がってる。
スパイ映画でよく見られる要素であるアクションはもちろん、嘘と裏切りも話の展開として組み込まれていて、スパイ映画としてのお約束は網羅されてる。
ただ、半分ギャグではあるけれど、おならで膨れるおなかの大きさは、どー考えても科学的には無理だよなー、というのが見ていてどうしても脳裏をよぎってしまう。