「何度目だ、踊る2!」と『TRICK』風に言いたくなるが、今日の放送されるのは普通の『踊る2』ではない。
『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』を、ジョージ・ルーカスが抱えるスカイウォーカースタジオで音声をリミックスし、場面を再編集して、「海外戦略版」として再構成されたバージョン……『BAYSIDE SHAKEDOWN 2』である。
『踊る2』の通常バージョンとは細かい違いがある。
ただ、全部が全部そのまま流したわけじゃなくて、お台場封鎖の時の字幕は、ビデオスルーの時は「RINKAI BAY TUNNEL - CLOSED」みたいに英字だけだったが、流石にテレビ放送では「東京港臨海トンネル 封鎖」と日本語字幕も併記してたり、テレビ放送用に追加加工してある部分も。
まぁ、海外戦略版と銘打たれてはいるが、実際に海外興業にかけられた記憶がないのだが…
あと、『踊る』ファン以外にとっては、「細いトコが違っててもどーでもいいんじゃ、結局一緒やないけ!」というシロモノでしかないかもしれんが(^^;)
スカイウォーカースタジオで音声をリミックスするという、そこの宣伝文句だけ聞くと豪華だなという感じになってくるが、作品を見る上でどういう効果的な違いになっているのかは、よく分からない…
通常バージョンよりも、背景の音が良く聞こえる、ぐらい。
カメラのフラッシュが焚かれる時の音というか、フラッシュ焚き終わってフラッシュの金属部品が冷める際の音なんだろう「キュィーン」という音がやたら印象に残ったりするが、はっきり言ってどうでもいい。むしろ余計とすら…
音声リミックスで恩恵を受けているのは、地下シーンぐらいかなぁ…
犯人の仕掛けたブービートラップでアラームが鳴る仕掛けを青島がことごとく作動させていく謎行動のところで、遠くで慌てる犯人たちと騒ぐ雪乃さんの声がよく聞こえるようになっていて、青島が犯人たちの声を頼りに追跡をしていると分かりやすくなっているところ。
…でも、アラーム作動させたら声が聞き取りづらくなって追跡困難になるので、やっぱりアラーム作動させる意味がよく分からない。謎行動が謎行動のまま…
音声以外の違いとして、通常バージョンからのシーンカット部分がある。
署長・副署長・刑事課長のスリーアミーゴスによるコント部分が削られているほか、和久さんと吉田副総監の語らいもカット、真下の雪乃さんへの「子ども作ろう☆」発言もすっとばされた。
すみれさんが「私たちの仕事はやらなくていいと言われるような、そんな仕事なんですか!?」と言った後からの捜査会議シーンは、通常バージョンだと、捜査会議のシーンと青島が意気消沈しているシーンはそれぞれまとまって尺が取られているが、捜査会議のシーンに意気消沈の青島のカットをモンタージュさせて差し込んでいて、二つを手早く見せている。
青島が奮起した後の公衆電話張り込みシーンも数カット削られて、シーンが短くなっているし、それに合わせて音楽もテンポがゆったりとした「Moon Light(Deep mix)」から、通常の「Moon Light」バージョン(『THE MOVIE(1)』で「事件は会議室で起きてんじゃない、現場で起きてんだ!」のシーンの前後で流れてるアレ)に差し替えられている。
通常バージョンでは、オープニング「Rhythm And Police」が終わると青島の通勤風景をBGM「C.X.」に乗せて映し出していて、青島が湾岸署に着いて「C.X.」が流れ終わると、魚住係長の「献血、献血はいかがですか~」というやる気なさそうなセリフが聞こえてくる。
海外戦略バージョンは、オープニング映像に青島の通勤風景をモンタージュさせて差し込んでいるので、直後の「C.X.」は流れず、「Rhythm And Police」終了後すぐに湾岸署の外観カットに移っている。
ただし、ここの場面は、通常バージョンだと「C.X.」にかき消されていた、やる気を出して献血の呼びかけを行う魚住係長のセリフが聞こえてきていて、聞けるセリフが増えている。(献血の呼びかけが全然相手にされず、通常バージョンのやる気のない「献血、献血はいかがですか~」に繋がる流れがよく分かる)
逆にシーンが増えている箇所もある。
青島・恩田の地下監視カメラ映像チェックのシーケンスでは、劇中のラジオからでも流れているのか、なぜか「Rhythm and Police」が聞こえてくる。
このシーケンスでは、青島のセリフは通常バージョンでは「なんだよ」で終わっているが、「なんだよ、みんな全然仕事してないじゃん!」というところまで聞ける。
真下@ユースケサンタマリアが湾岸署にやってくるシーンは、「父から早く結婚しろって言われちゃって、雪乃さん、僕が居なくて寂しかったでしょ」―「私、恋人じゃないし、別に寂しくもなかったですけど」のシーンの代わりに、通常バージョンにはなかった、刑事課にお土産もってきて湾岸署員にもみくちゃにされた挙句みんなから一言も言葉をかけてもらえずにお土産だけ奪われて「僕、キャリア…」と呟くシーンが追加されている。
シーン自体が別テイクに差し替えられているところもある。
沖田@真矢みきが初めて湾岸署に登場するところで青島に言い放つ「事件は会議室で起きてるの、勘違いしないで」というセリフは、通常バージョンでは怒気を含んだような冷たい言い方だったが、海外戦略バージョンでは、どことなく子どもに諭すような落ち着いた言い方のテイクが使われている。
まぁ、どちらの言い方も上から目線であることには変わりないのだけれど。
署長の不倫メールが発覚した際の青島のセリフに「このメールの添付ファイルは絶対開かないで」という箇所があるが、通常バージョンのテイクではこの後青島が指をさして「そこォ!!」とたしなめるのだが、海外バージョンでは指さしもセリフなく、「このメールの送付先、分かる?」という次の流れに向かっている。
テイクの差し替えが分かりやすいのは、ナイナイ岡村演じる吸血鬼が捕まるシーンで、通常バージョンでは魚住係長に「やっぱり君、吸血鬼だったのね」と言われて掴まれた後、意気消沈してすんなり捕まっているのだが、海外戦略バージョンでは、2回ほどシャーっと牙を向いて威嚇している(けれどやっぱり意気消沈してすんなり捕まる)。
青島がテレビ局の撮影クルーの前で「皆さんの血ィください!」と懇願するシーンは、「皆さんの血液をください」という言い方のテイクに。
あと、これは海外戦略バージョンで変わっているという箇所ではないのだが、犯行現場にセイヨウナシを置いていく犯人の意図を「洋梨→用無し」=リストラされた社員の犯行を示すもの、ということに気付き、管理官から「『笑点』じゃないんだから」というツッコミが入る箇所…
海外戦略狙うんだったら、ここは日本人にしか分からないネタなので、何らかの改変が必要なのでは…?
ちなみに、通常バージョンのDVDの英字字幕では、ここの箇所は、洋梨ではなく「腐ったリンゴ」とされていて、犯人が会社から捨てられたことを暗示のメッセージとしているということになっていて、管理官から「クロスワードパズルかよ」とツッコまれる流れになっていたな。
(書きかけ)
よかった! 本当に良かった!
変なコトになってなくて本当に良かった!(笑)
…うん、そんな評もどうかとは思うが。
というわけで行ってきましたよ、『踊る大捜査線 THE FINAL』
『THE MOVIE 3』と『THE LAST TV』を観ている身で、よくもまぁ劇場に観に行こうと思ったな、と我ながら思うが(笑)
個人的な基準では、それぐらい『THE MOVIE 3』と『THE LAST TV』が見るに堪えなかったかったからなぁ…
いかに私が“『踊る』信者”であってもだ!
『THE MOVIE 2』は「面白さに欠けるお話だなァ」という程度のものだったけれど、『THE MOVIE 3』と『THE LAST TV』に至っては「これを“お話”として評していいのか!?」とまで思ってしまうぐらいシナリオの取捨選択がグラグラ、テレビのザッピング感覚で散発的なシナリオ見せられてるんだろうか、という感想があったもので…
今回も劇場の席に着いた途端から「今回はどんなザッピング展開見せられるんだろう…」という諦めの方が先に来たからね(汗)
そんなことを思いながら臨んだ映画だったので、思いのほか“お話になってる”のに感動してしまったヨ!
…だから、そんな評はどうかと思うが。
テレビシリーズや『THE MOVIE 1』でもそうだったけど、「刑事ドラマでお馴染みのネタをテーマにする!」という感じでやりたいことが明確に決まっている時の『踊る~』は強いな!
今回のやりたいことというのが、「犯人が警官」・「冤罪」・「組織による隠蔽」、というところか。
やたらCMで煽ってる「青島と室井が辞職!?」とか「青島死亡!?」も目立ってはいるが、そんなことはテレビシリーズの最終回や『THE MOVIE 1』で既にやっているし、最後だから盛り込んどきたいという制作側の計算は見えるけど、制作側が積極的にやりたいこととまで思っているようなことではないようにも見えるので。
青島たちが自分たちの仕事に関わりのない組織の不祥事の尻拭いをさせられて辞職に追い込まれるので、こっちも「冤罪」のテーマの中に含められるのかもしれない。
警察組織内部の陰謀モノは、『相棒』でだいぶ質の高いもの見せてもらってきたので、今更『踊る~』にそんな高い水準のモノは望めるべくもなくと思って期待値低めで観ていたのも、個人的に功を奏したのかも。
シリアスとギャグのさじ加減が絶妙なのが『踊る~』の魅力なのだが、今回は途中からほとんどギャグが入らず、バランスが悪いとも思えた。でも、シリアスなシーンで余計なギャグを入れて台無しにするのが『THE MOVIE 2』~『THE LAST TV』で常態化してたので、ギャグでシリアスが台無しになるような場面が少ないだけまだマシだとも思う。
あれだけ酷評した『THE LAST TV』で、ギャグ的な部分を出し切ってしまっていたのが、実は良かったのか!
最後は、何というか、ある意味ドリフ落ちになってしまう。
今作の犯人を香取慎吾がやっているので、そうなると個人的には『SMAP×SMAP』で昔やってた『踊る~』のパロディコント、「踊れ大捜査線」の最後のネタを思い出してしまって仕様がない(笑)
(書きかけ)
なんだろう…
オタクならこれより『おおかみこどもの雨と雪』を観に行くべきじゃないのか?…と自問自答したりするのだけれど、まぁ、現在進行形で「『ゴジラVSスペースゴジラ』サイコー!」とか言って好き好んで複数回観てたり、日曜洋画劇場はセガール主演のアクション映画とか頭をあまり使わない作品はよく見るのに、良作とか途端に敬遠してしまったり、細田監督作品でもブンガク臭のある『時をかける少女』よりもアクションっ気の強い『サマーウォーズ』の方を好んでいるとか、根っからのエンタメ派な私なので、こっち優先してる方が性に合ってるっちゃー合ってるのかも。
ちなみに、現時点で『MOVIE 1st』は観ておりません(えー
アニメとして映画の出来が良かった、とは決して言いたくないが、『なのは』として良い出来の映画だったなァ、と。
何が言いたいのかと言うと、『なのは』ファンが“見たい!”と思っているものを漏らさず取り込んで強化して映してくれている、そのせいで映画としてのバランスを欠いているし、前作以上に一見さんお断りになっているだろうけれど、劇場を後にした時の満足度がとても高い映画だった、ということ。
年端もいかぬ少女たちの純真な交流と友情
ロボットアニメみたいなノリの魔法の小道具やバトル
登場人物の誰もが善意で行動している快い世界観
んでから、時折出てくるきわどいエロ(笑)
テレビシリーズで魅力的だったこれらの要素、さらに言えばその要素で組み上がっていたシナリオ展開自体を、映画化の際に劇場スタイルや尺に合わせてオミットすることなく、作画や演出は劇場版の予算と準備期間に合わせて強化して描写しているのだから。
『マクロス』軌道を描いてぶつかり合う魔法弾とか、スタッフロール見たら、多数の絵コンテマンの中に田中宏紀の名前があって噴いた。
『なのは』のアクションに一定の方向性を与えたはずの斎藤良成の名前が全然ないなぁー
というか、TV放映当時から、私は“八神さん家の家庭事情”が織り成すドラマには泣かされっぱなしなのだから、そのせいで観終わった時の満足度が高くなるのはしょうがない(笑)
『A's』は最終回に近くなるに従って、ファンからもツッコミを入れる部分が多かったが、今回の映画化に際してその辺には、布石が置かれるようになった
・唐突に現れる、何だか事情ありげだが描写不足でさっぱり感情移入ができないラスボス・リインフォース(体ははやて)
・ラスボス=はやての体に向かってビームを最大出力で直撃させる、あんまりにも人体への配慮がないなのはさん
・そのラスボスを倒したらなんか現れる防御プログラムという名のモンスター
→事前にはやてとリーンフォースの邂逅を済ませ、防御プログラムはリインフォースにまとわりつくモンスターたる別の個体として描写
この2期クライマックス最大の弱点、はやて側(ヴォルケンリッターサイド)の問題がはやて自身の手だけで解決されて、主役たるなのはやフェイトの活躍が大きく関与してこない、という点は、まるで解消されていない!
(書きかけ)
面白い!
映画の半分まで、人語を喋らないロボットたちによるほぼセリフなしストーリーなのに、ここまで魅せてくれるとは!
逆を言うと、ここまでセリフなしという実験的な内容でやっていて、中盤から宇宙船内で人間とのセリフありの絡みが出てきたのが意外と思える程。
最後までセリフなしで通すんじゃないかと思ったもので。
消火器の噴射で船外デートかましてる辺りは中盤でも好きですがね。ああ、あそこもセリフなしか。
何はともあれ、『ショートサーキット』世代には親しみやすいぞ、ウォーリーデザイン(笑)
いや、昔あったんですよ、『ショートサーキット』という、『E.T.』のロボット版みたいな映画が(笑)
ウォーリーが終盤でボロボロになってしまうのは、『ショートサーキット2 -がんばれジョニー5-』でのジョニー5の終盤の様子と被ってるかもしれん、などと思ったりしていた私です。
『続~』を、冒頭のゴジラのために録画。
なんと邪な録画目的だろうか(笑)
実写国産怪獣映画が絶滅寸前の現在、怪獣映画ファンの中ではこの冒頭を差して“最後の国産怪獣映画”などと言われることも(笑)
「是非このクオリティで次回の怪獣映画を…!」などと望む人もいるようだが、残念ながら私の目には『ガメラ3』以上の映像センスがあるようには見えないなぁ
『GFW』よりは地に足がついたVFXかなと思うし、この映画の中では所詮お遊びの部分なのだから、スタッフが本気だせばもっとすごくなるかもしれんが。
話のメインが、夕日町の茶川駄菓子店と鈴木オート周辺のセット内が繰り広げられ、他の部分・背景のほとんどはミニチュアとCGで当時の様子を再現しているこの映画。
セットは少ない規模で作って、他の広大な部分をCGで補って、セットの窮屈さを感じさせない広大で栄える見かけにできているのは、お安く仕上がっててお得だろうな。
『三丁目~』も『続・三丁目~』も、脚本は監督・山崎貴と共同で、私の大好きな古沢良太が担当。
私にとっては『相棒』でおなじみ、舞台劇の映画化『キサラギ』でも脚本を書いていて、結構面白く仕上げている。
小さいエピソードの積み重ねをしながら、ラストに向けて映画全体を俯瞰して終えるように着実にタメを作っていっており、古沢脚本はまっとうなことをしてると思うのだけど、いかんせん撮り方がなぁ…
個々のエピソードの時だとそんなに気にならんのだが、特に物語の全体を〆るべきラスト付近でダメさというか、感情移入を不十分にする撮り方をしてる気がする。
『三丁目~』の時は、本当の親元から戻ってきた淳之介を茶川が何度も突き放そうとし、何度も茶川を掴もうとする淳之介と何度も淳之介を放そうとする茶川のシーンが繰り返され、最後には本音が漏れて茶川が淳之介を抱きしめるというシーン…
場所がかなり奥行がない歩道のところでこれをやっていて、しかも二人のバストアップショット(接写)を細切れにして編集しているので、狭ッ苦しそうな場所でせせこましくやり取りしてる感じしかしなくて、見てて落ち着かない。
『続・三丁目~』の時は、またも淳之介と引き裂かれる茶川が最後の言葉を伝えようと淳之介を連れ出したところに、出て行ったヒロミが帰ってきて、淳之介の話共々丸く収まるというところ。
みんなが集まっているところから連れ出して二人きりの話をしようというのに、鈴木オートの家の中から出てすぐの、鈴木オートの家の真ん前…しかも、その様子をみんなが見に行くというカットが工夫なく映し出されるので、連れ出した意味があまりないことが強調されてしまう上、そんな状況のところにヒロミ帰還し、みんなに見られてることそっちのけで「これからはずっと三人一緒だぞ!」と盛り上がってしまうので、茶川側の状況と見ているみんなの状況が絵的にちぐはぐに接続されてて、なんだかなー…
ちなみにかなりどーでもいいことかと思いますが、『続・三丁目~』で茶川が芥川賞候補になった作品、しかも今後の生活を筆一本でできるかどうかを賭けた作品は実体験を基にした私小説の体だったが、この路線で将来食っていこうとすると、実際の人生によほど紆余曲折がないと、後々もこのクオリティを保てないのじゃないだろうか、と要らん心配をしてしまった(汗)
二週連続で『三丁目~』と『続・三丁目~』が金曜ロードショーで放送されたわけだが、淳之介役の須賀健太の成長ぶりが、映画的に残念すぎる(汗)
二作目では声変わりが始まって、茶川が守ろうとするか弱い対象、という風には見えなくて、おまけに、お向かいの同年代・一平が前作とそんなに変わってないから余計に変化に違和感が…
そして明日から公開の『~'64』では淳之介は高校生のはずだが、すでに吉岡秀隆(31)の見てくれと大差ねぇ!
それにしても、堤真一はこの映画ではいい演技してるなぁ~
気が短くて粗野だが気取らず接しやすい良い親父というのを、オーバーになりすぎず分かりやすく、けっこうな自然体で演じられているので。
『ミッション・インポッシブル』の最新作が公開間近ということで、日曜洋画劇場が応援企画として、スパイアクション映画を一挙放送。
『ミッション・インポッシブル』3作の放送は勿論するというが、それを差し置いて第1弾が、おバカスパイアクション映画『ゲットスマート』の放送。
スパイの茶化しネタが初っ端とは、日曜洋画劇場は応援する気あるんかい!(笑)
アメリカの1960年代テレビドラマ『それ行けスマート』のリメイク映画らしいが、ワタクシ不肖、『それ行けスマート』は見たことがない。
なぜかクツに通信機仕込んでてクツを脱いで電話するという鉄板ネタがあるらしいが、そちらは定番ギャグとしてよく知っている。
“おバカスパイアクション映画”というのがこの映画の謳い文句だが、同様のおバカスパイ映画である『オースティン・パワーズ』シリーズみたいに徹頭徹尾バカとギャグで話進めていくタイプかと思いきや、意外にもかっちりしていた。
個人的な印象ではあるけれど、ギャグ3割、シリアス1割、アクション6割ぐらいの配分にはなっていて、結構アクションをがんばってやっている。
最近のアクション映画のような、凝りに凝ったアングルとかシチュエーションとかはないが、『007』の中期作品ぐらいの迫力は十分感じられるもの。
スパイを扱う上では欠かせない二重スパイネタもちゃんと仕込んでいて、作りは意外とマジメだ。
ギャグも主役のマックス・スマートの行動が可笑しいだけで、周囲はマトモなキャラが多く、しかもマックス当人はボケ役だけど天才という設定なので、自分のボケで犯した失態を自分で回収していることが少なくないため、そこまでボケも強烈ではないという。
どっちつかずとも言えるけど、個人的にはまぁ好きな方かもしれない。
アニメ化第2期に準拠した形の新作映画が公開されるに当たって、宣伝のため、第1期の劇場版が放映。
…原作・第2期とは全然設定違うのにこんなの流して、むしろ逆効果があるんじゃないのか、と不安になっちゃう(汗)
当時の興奮が……興奮してた自分の気持ちが、蘇るなぁ~
BONES作品だけあって、作画は超一級品に仕上がっている(個人的に、伊藤嘉之のキャラデザが心地よい)のだが、お話が、まぁー、暗い暗い。
原作・第2期がスカッ!と終わったのに、第1期は「何かを得るためには同等の対価を支払わなくてはならない」というハガレンの謳い文句をとことんまで追究してシビアになりすぎてるから。
まぁ、ここらへんのシビアさが、第1期が大人気になってた理由でもあるので(実際私も注目してたし)、魅力でもあるんだろうけど。
観たのは映画館以来久々なので、改めて気付いたが、錬金術世界の話に移動するまで結構長いのね。
しかも錬金術世界の描写が始まるのが、エドが一旦意識を失ってしまった後、というのも作劇上興味深い。
『もののけ姫』にもそういう部分があったが、物語の視点となるべき主人公の動きの範囲ではどうしも描写できない、しかし描かなければならない部分は、視点となるべき者からその資格を一時失わせて、別の者がストーリーの語り口になることを鑑者に許諾させる、というテクニック。
『もののけ姫』は、アシタカが完全に目覚めたというところをしっかり描写してから、話の視点をアシタカに取り戻したけど、こっちの方はいつの間にかエドが目覚めて行動してたね。
個人的にこの映画で楽しいのは、アバンの城でのバトルのトコとか、リオールで成長アルと鎧との擬似兄弟タッグとか、トゥーレ協会でのエドとアルの「どっちッ!?」「あっち!!」とか言いながらドタバタ繰り広げるトコとか、エルリック兄弟が暴れるいかにもな『ハガレン』っぽさ全開の部分だったりする。
今度の映画は、ここら辺の要素を延ばした形のシナリオだったらいいなぁ~
何度目だ、もののけ姫。
というか、ジブリ強化月間の第1弾が、こんな血みどろの作品でいいのか、金曜ロードショー(笑)
どの程度好きかというと、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(夏エヴァ)よりもこっちを観るぐらいには好きだ(『もののけ』も『夏エヴァ』も同時期に上映されていた)
というか、ウチの近所の映画館、『エヴァ』やってなかったしな(笑)
今じゃ立派なオタクだが、その時の評価が影響して、私の中のエポックメーカーは『エヴァ』ではなくて『もののけ姫』だったりします。
当時の私の中の評価では、まだ“『となりのトトロ』『魔女の宅急便』の”宮崎駿…『ナウシカ』『ラピュタ』はそんなのも宮崎作品だったねという程度で、『カリオストロ』は宮崎作品という意識なかった…だったもんで、そんなファンタジックな作品の監督の新作だからってその意識で家族揃って見に行ったら、あんなハードな作品だったんで、そらエポックメーカーというか、トラウマにもなるわな(笑)
『ラピュタ』でもそうだったが、終盤になればなるほど手持ちの武器・防具がなくなっていく、という、どんどんピンチになるヒーローの図がこの作品でも見られる。
どんどん手元が不安になっていくけど、それがないハンディキャップを乗り越えて活躍を見せるところにカタルシスが増していく……さすがテレビまんが世代、盛り上げ方を分かっていらっしゃる。
…まだ弓矢残っていたのに、「預かっていてくれ、最後の矢が折れてしまった」という形で手ぶらにさせてしまった“セリフだけで済ませました”感ありありの辻褄合わせはどうかと思うが(汗)
録画してあったのと合わせて視聴。
『アマルフィ』も『容疑者Xの献身』も、監督は同じ西谷弘で、音楽・撮影・編集などの主要メンバーも被ってるんだけど、仕上がりの印象はだいぶ違う。扱う題材とジャンルが違うんだから、当然といえば当然ですけんど…
…こう、迷作と佳作という印象の違いが(笑)
『アマルフィ 女神の報酬』
原作は『ホワイトアウト』、『ドラえもん のび太の新魔界大冒険-7人の魔法使い-』(脚本)の真保裕一。
一応脚本も本人のはずなんだけど、現場で相当勝手な改変があって、スタッフロールに脚本家不在となったという、いわく付きの作品。
そして作品の立ち上げ自体も、主演の織田裕二が『踊る大捜査線 THE MOVIE3』のオファーがあった際「『踊る3』に出てもいいけど、他にも主演作品が一本欲しい」と言ったことが事の発端だという「それってどないやん」と言いたくなる噂がある、いわく付きのもの。
そのせいか、シナリオの至る所に変な部分が噴き出していて、ボーッと見ていても気になるほど。
それが顕著なのが、この映画のタイトルがイタリアの観光の名所である『アマルフィ』を冠していて、話の中盤で主人公たちが誘拐事件の犯人の手がかりを掴むためアマルフィに向かうという流れがあるのに、アマルフィでは話の大筋に関わるようなことは何も起こらず、20分ぐらいしか描写されずにすぐに舞台がローマに移って、アマルフィまで行った意味がほとんどないというところ(汗)
イタリアに降り立ち車でローマに入っていく主人公の様子を映している途中で唐突に暗転ショットに切り替えてメインタイトルを映したり、犯人たちが最終目標まであと一歩という段階で衣装替えをする際に着替え最中なんだか着替え終わったんだか微妙なタイミングでスローモーションになってサラ・ブライトマンの歌が始まったり、演出や編集でも首を傾げたくなるところが多々…
『容疑者Xの献身』
原作は『秘密』『手紙』『名探偵の掟』の東野圭吾で、タイトルには一文字も入ってないけど『ガリレオ』シリーズの映画化。
『ガリレオ』は結構人気あったと思うんだけど、そのタイトルネームバリューを直接使わずに、まったく別タイトルで映画を立ち上げているのは珍しいなぁ
TVシリーズは、オカルトめいた事件の裏に科学を用いた奇想天外なトリックがあることを天才・湯川学が解き明かしていくところに面白みがあったのだけど、この映画は、科学的なトリックは無し、湯川が華麗に謎を解いていくこともない、TVシリーズのコンセプトをほとんど使用しない異色の構成。
殺人を犯してしまったとある母子と、その隠蔽に協力する天才数学者・石神の行動を追っていく、推理モノならば倒叙型に分類されるものだろうが、計算づくですべての先を行ってしまう石神の目論見が果たして“成功”するのか、という立ち位置にすらなっているので、ここもかなり異質だとは思う。
途中で、タイトルにある“献身”とは言いがたい暴走を見せる石神を見て「結局そういう方向に堕ちていくのね」という思いに駆られてラストを想像したし、話の流れを追ってよくよく考えてみると大掛かりなトリックがありそうにもないので、このまま人物相関のドラマでラストまで押していくのかな、と思いきや、終盤にその予想を裏切られることになって、そこら辺が「おおっ!」と。(書きかけ)
昨年、一大『ONE PIECE』センセーションを巻き起こした劇場版第10作のTV放送。
原作の『ONE PIECE』を読んだのは、アラバスタ王国の動乱篇までだった。アニメも同じところぐらいまで見続けて、後はさっぱり…
アニメ映画は1作目と2作目「ねじまき島の冒険」、長編になってからは細田守監督の「オマツリ男爵と秘密の島」のみ、という、めちゃくちゃ偏った見方をしているのだけど…(汗
『ドラゴンボール』世代、そして週刊少年ジャンプの存在が日常生活の重要な位置を占めていた世代にとって、『ONE PIECE』ってのは、『ドラゴンボール』・『SLAM DUNK』・『幽遊白書』終了後失速したジャンプの動向に一喜一憂していた読者に、ようやくジャンプを牽引するに足る存在として期待させられるものだったと思う。
どんなジャンルのものが新連載で始まっても、最終的にバトルものに方向転換させられる中、最初からバトルありきの物語として始め、ジャンプの成功システムを最初から搭載した連載だったというのも、興味惹いたし。
「内容がつまんねーのに客が入ったのは、姑息な0巻商法による効果だ」「アーロンパークの焼き直しかよ」みたいな酷評はよく聞くが、実際見てみてやっぱりそこまでワクワクしたり面白かったという類のものではなかったものの、この作品って、“映画”ってよりは、あれは“お祭り”だったんだろうなぁ~と、少し思う。
お祭りと考えたなら、映画のお話以外の周辺の部分で楽しむ方法もアリだとは思うし、お祭りにあまりに凝った話をするものアレなのでストレスのかからない焼き直しみたいなフォーマットのシナリオで押し通す、というのも構わないんじゃあなかろうか。
…まぁ、焼き直しについては、「アラバスタ編」「チョッパー編」のリメイク映画が続いて、「またかよッ!」と思われてしまうところでもあろうが。
秘境モノ、ミュージカル、スパイアクション、任侠モノ、ディザスター、『キングコング』みたいなシーンもあったし怪獣映画的というかモンスターパニックモノ的ま部分もあったり、いろいろな映画ジャンルが詰め込まれていて、娯楽の王道といった感じの内容も、そこらへんの祭り気分に寄与していたのかもしれない。
同時に、『ONE PIECE』という作品フォーマットの許容量の大きさを感じるのでもあるが。
観るに決まってるじゃない、だって『踊る』ファンだもの。
面白くなりそうじゃないなという予感があっても。
…一般的というかオタク的に、そーゆーのはファンじゃなくて、信者か(笑)
-ストーリー STORY-
青島刑事が刑事課強行犯係の係長に昇進し、新湾岸署の開庁式を3日後に控えて、旧湾岸署から新庁舎への引越し作業が大騒ぎで進む中、奇妙な金庫破りとバスジャック事件が起きる。さらに引越し作業のドサクサで拳銃三丁が紛失してしまい、その拳銃を使った殺人事件が発生。
本庁からやってきた管理補佐官の鳥飼と共に捜査を開始する青島だったが、犯人はネットを通じて犯行声明を突きつけ、青島が過去に関わった事件の犯人たちの超法規的釈放を要求してくる。
犯人を捕まえる糸口は見つからず、遂には新湾岸署が占拠されてしまうのだった…!
というワケで、初日突撃してきました、7年ぶりの『踊る大捜査線』新作。
作品的に高尚なモノに仕上がるワケもないので、エンターテイメントとしてどれだけ楽しめるモノに仕上がっているかが『踊る』の作品的なカギなんだけど、やっぱりそこらへんイマイチ。
畳むのに大失敗していたとはいえ、前作『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』で大風呂敷を広げに広げきったので、それと見比べるというか、それに合わせて期待感を膨らませると、『踊る3』はスケール感がしょぼく見えるのは必然ではあるが。
まぁそれは分かりきっていたことなので、個人的にはTVシリーズみたいなスケールや構成の話でも満足できるなー、と期待感のレベルを下げて観に行ったのだけど、中途半端かつ強引に話のスケールをデカくしようとしてたのが気になってねぇ…
話や設定の整合性・リアリティといった説得力なんか今まで以上に二の次で、ハデな展開や印象的な演出・撮りたいシーンを出し続けるために、勢い任せで話が展開していったなー
なんちゅーか、いつもの本広監督作品ですねー(笑)
前作のレギュラーキャラの勇姿をもう一度見れる、という続編映画の楽しみも、いかりや長介が亡くなり、所属事務所関係で水野美紀や筧利夫が出演してなくて、そして織田裕二との不仲のせいで共演調整されてギバちゃんの出番の少ないせいで、それもイマイチだし。
あと、印象的なスコアを提供していた松本晃彦が音楽担当から外れて、『ガリレオ』、『SP』、『MR.BRAIN』の菅野祐吾に交代してたのも、“これぞ『踊る』!”という音楽が聴けず残念だった。
湾岸署メンバーがコメディーリリーフなせいで捜査(ストーリー)の重要な部分では本庁側の人間ばかりがクロースアップされてるとか、犯人や逮捕のシーンについての描写とか、今までの『踊る』のセオリーを外しにかかっている部分が多いせいで、なんか“ああ、『踊る』を見たな~”という感覚が薄いのもマイナスかもしれない。
パンフの亀山プロデューサーのコメントにもあったけど、『新・踊る大捜査線』という意気込みで観ると、もう少し楽しめるのかもしれん。
(…でも、個人的に、そーなってるだろうことを予想しながら観てたのではあるが)
それでも、旧湾岸署という存在そのものに決着を付けるラストは、何だか大好き。
そこが好きということは、私もまだまだ『踊る』を楽しめる人なんだなー、と思えた。
まだ、『3』をもう一回観てもいいな、と思っているもの。
…世間というかオタク界隈では、それを信者というんですけどね(汗)
ちなみに、『踊る大捜査線 THE MOVIE 1 湾岸署史上最悪の三日間』が公開され大ヒット・社会現象になり、刑事ドラマのスタンダードを作り変えて歴史の分岐点になった年、それまでのスタンダード代表みたいな存在だった『あぶない刑事』の映画も『踊る』公開直前に公開されてて、刑事ドラマの時代の移り変わりの象徴みたいな出来事になってたけど、今年も『踊る3』の後、今冬『相棒-劇場版2-』の公開が予定されてたりする…
宮崎駿が久々に(トトロ以来?)低年齢児童向けということを意識して作った映画……なのに、試写会では肝心の幼児たちにパッとした反応をもらえなかった、という逸話のある映画なので、どういうものかと構えて観てみたら…
うん、CMで御馴染みの海が大荒れで大変なことになるシーン以降、話も映像もインパクトが右肩下がり。
そりゃあ、子どもも退屈するわなぁー
「話の盛り上がり所とオチの部分、そんなトコにしてどーすんの!?」というシナリオに対してのツッコミどころは『千尋』や『ハウル』の時からあったけど、演出や映像のインパクトは後ろの方でも強かったし。