いや、原作を元にしているんだから何をやるべきなのかは分かっていたはず。
病気を機に不良から用心棒に転身するジョーズの決断、そして命を顧みず学校を守ろうとする決意の収斂・男気、そこから生まれる悲壮感とかっこ良さ。
ここらへんが今回押さえておくべき重要なポイントである。
ところがどっこい、今日の話では、その辺はどうでもいいかのごとくあっさり流して印象を薄くしてしまっているので困る。
直後にジョーズが助かっちゃうから余計にね。
まず、なんでジョーズが心を入れかえたのか、その契機が分からん。
人間、絶望に打ちひしがれれば世を呪い、神を怨み、自分を追い込むほどの精神的苦痛を味わって憔悴し、疲労困憊した頭でふと自分の生き方を考え直すことがあるものなのだから、改心すること自体は分かる。
…が、ジョーズがそこまで絶望していたかといえば、これが全然。
まさか喫茶店のテーブルに手を突いていたのがそうだったとか言うんじゃないだろうな?
それでは軽すぎる。
たとえそうだとしても、直後のシーンで診療所に威勢よく(空元気という風でもなく)乗り込んでくるから、絶望してるとは言えないわな。
それに、「ジョーズが見張っているがゆえの“楽しい”文化祭」といった感じではなく、「見張り役に徹するジョーズ」と「楽しい文化祭」の様子が分離した印象を受けるので、ジョーズの頑張りの結果があまり実感できない。
大体、文化祭を荒らしていたのはジョーズだけだったのだから、文化祭が無事に終わったのは当然とも言えるし、ジョーズの他にも学校を荒らす不良たちの様子が描かれていればまた違った印象になるんだけど、そんなシーンはほとんど出てこなかったし。
ついでに言えば、不良のやり方なりに数々の文化祭を楽しんでいたジョーズが、今はその楽しみを味わうことなく会場に背を向けているというもの悲しさも強調して欲しかったところ。
そんなだから、人知れず孤軍奮闘していたことを皆から評価されたときの喜びというのも強くは感じられなかった。
ここで皆に認められたことで、守るべき学校という価値が生まれて、男は恐れていたはずの死を覚悟しその命を投げ打ち、守るための喧嘩に身を投じることができるのだ。
熱い!
しかし悲壮感に満ちている!
そう、ただカッコイイだけじゃダメなのよ。バラのように美しくは散らない。
その辺の描き方も全然ダメだったからなァ…
原作とは違って死なせないにしても、いっぺん死なせてやろうや、『踊る~』の青島みたいに。
ちょっとタメを作るべき。
あまりケガとかしてなくて口も利けるから、命がけの勝負の結果って感じが伝わってこなくて、本人の努力の結果も見えてこないし、悲しさ半減。
たとえ原作通りに死なせてたとしても、この流れでは面白くもなんともないぞ。
死人を出してはいけないし、舞台を和登の学校の出来事に置き換えなければならない。ゲストのhiroの出番も作らなければならない…
今回はいろいろと改変しなければならないことがあって思い通りに作れなかったのだろうが、それにしたってもっと別のやり方はあるぞ。