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Take@管理人が、知ったかぶりのテレビ番組批評やとりとめもなく面白くもない日記などを書く、オタク臭さ全開のくどい不定期更新ページ(泣)
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 いきなり大事件発生!…という実に『相棒』らしい慌ただしい始まり方(アバン)に、今シーズンの落ち着いたバージョンのOPはあまり合わないんじゃないだろうか
 やっぱりいつものパンチの効いたOPでこそ、うまいこと流れを受け止められる導入なんだよなァ~


 棋士の世界での殺人、というあまり探偵モノでは取り扱わない分野で、マニアックな専門知識をひけらかしながら話が進んでいく(ような感じがある)ので、誰の脚本なのかすぐに分かる。
 『相棒』草創期の今風に小ジャレた脚本と演出で売り出していた時期に、「1-3 秘密の元アイドル妻」で落語という言っちゃ悪いが古臭い感じのする題材を持ってきて、「1-7 殺しのカクテル」でカクテルについての蘊蓄と執着愛を格式高く情感たっぷりに描いて見せ、「2-3 殺人晩餐会」でフランス料理自体を中心に話をまとめてしまう繊細な力業を見せつけた、櫻井武晴
 Season7第7話にして満を持しての登場だ!
 警察や企業の不祥事隠蔽をテーマにして問題提起的に仕上げた「3-12 警官殺し」や「4-6 殺人ヒーター」、裁判官制度にまつわる問題を批判的に描いた「6-1 複眼の法廷」など、社会派なテーマのドラマを本格仕立てに作り上げることで定評のある櫻井武晴だけど、そういう硬派モノ以外の路線もあるのよね。

 マニアックな方の(笑)櫻井脚本の場合、社会派のときみたいな緊張感を出せないせいか、全体的に緩い空気が感じられることが多いんだけど(それもまた味になっているが)、今回は謎が謎呼ぶ展開になっていていろいろとこちらの予想を引っかき回してくれる引き締まった構成になっていた。

 しかし、その果てに訪れるラストについて、今回の被害者が自殺である明確な証拠って、何か出てきたっけ?
 状況証拠によるフォローも何か明白さが薄く、全部右京の推測の上に推測を重ねて成り立っていたような感じだったんだけど…
 やっぱり緩い作り?(笑)

 薫が将棋用具の詳細について右京に尋ねて右京が飄々と答えた後、薫が不審な封筒についても「何ですかね?(こんなところに封のあいた封筒があるなんて)」と訊いたら、同じ調子で飄々と「それは便箋です。文章や手紙を書くときに使います」「ってそれは分かってますから」というやりとりになる辺りが、何か可笑しい。
 アンジャッシュのコントで見たことがあるぞ(笑)
 キャラの生みの親である輿水泰弘以上に『相棒』に登板している櫻井武晴だけあって、特命コンビの性格の使い方を心得ているな~


 そんな櫻井脚本の一方で、今回のメガホンは長谷部安春。
 前と同じく、「自動車に乗って大通りから歩道に幅寄せして停車してドアを開けて閉めてしばらく歩いて目的の建物に入る」みたいな省略可能な移動シーンを逐一撮って残している辺り、これが『相棒』内でのこの人の特徴だなぁ(汗)

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 単巻でちびちび見ていくには話が繋がりすぎてるし、一気に見るには解決まで話が長い…
 …ということで、見るのをちょっと敬遠してしまっていた「Season3」の初回と最終回なのであるのだが、またもやTSUTAYAの半額レンタル遭遇できたということで、思い切って一気借り。

 ああ、やっぱり輿水脚本は話のテンポの重さがくどいなぁ~(笑)
 今回はその御蔭で、日本の中枢たる首相官邸を揺るがせにする大事件が起こる、という規模のデカさを、足取りの重いテンポでじわりじわりと見せてくれることで、それを描くにふさわしい緊張感が出せていて、お腹いっぱいで満足満足。
 脚本に書かれていない部分で、撮影班がそういう工夫をしようと頑張ってる感じで、そういう撮影班に裁量がある分、輿水脚本ってありがたかったりするんだろうか…
 政治の舞台という動的なイメージのある官邸について、サラリーマンたちのお仕事場という感じで静的なシステムのように描かれていたのが、今まであまり見なかったタイプの描き方で、ちょっと好みかもしれない。


 そうした本筋の大事件の一方で、脇の部分でも、薫が異動、美和子が離縁、右京がクビ、という『相棒』基本設定を揺るがす事態が起こるのが、この「Season3」序盤。
 設定が修復されるのがもう分かっている身分で見ているので、この動乱も長い期間放送している作品の中でのバリエーションとして楽しめているけど、先がどうなるのか分からないリアルタイムで見ていた人たちにとっては、如何様な気持ちにさせるシーズンだったのだろうか…?

 二人とも特命係から離れることになるというのは、二人の関係性を揺るがせてドラマを作り出したり、視聴者が求めるシリーズへの安定感を崩して緊張感を持たせたりするためのギミックなんだろうけど、何だかんだで結局コンビとして行動しちゃってるのを見ると、「所属は離れ離れだが事あるごとにコンビとして活躍する」というのは、このシーズンのこの後ずっと続いても良い面白い設定のように思える。
 バリエーションって、やっぱり面白く感じる。

 他の部分で思ったのは、それまでのシーズンと比べて、無感情的な右京のキャラが若干感情の抑揚が大きくなってコミカルになっているような感じもする。

 最終回直前に朝倉ネタを取り出してきて、薫と美和子の仲を必然的に再接近させてみせるのは、無理なく復縁への手順を作っていて巧いなぁーと思ったんだけど、最終回で寄りを戻すわけじゃないのか…

 尼さんの生存を目にして捜一が固まるところは、大爆笑!(笑)
 その前のカットからジャンプ気味に編集してあるという落差が効いてるよなー

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 追悼の意味があるのか、故・峰岸徹が出演していた回のタイムリーな再放送。
 ただ、そろそろ寒くなってきて暖房器具が欲しくなってきたころにこのネタとは、その意味でも時機が合ってるなぁ~
 新規購入しづらいじゃないかッ!(笑)


 サブタイトルからも分かる通り、電気ヒーターが重要なアイテムになっているのだけど…
 …オリジナル商品という扱いなので、デザインが著作権に引っかからないよう美術スタッフが一生懸命作った(あるいは加工した)んだろうが、ディティールがビミョーに詰められてなくて、どこか安っぽさが感じられるのが哀愁漂わせてるなァ(汗)
 ヒット商品の器じゃないかも(笑)


亀山「責任のなすり付け合いじゃないですかッ!!」
 この問題提起的なセリフで分かる櫻井脚本臭(笑)

 不祥事を会社ぐるみで揉み消すために殺人を犯したのでは……という規模とインパクトのデカいネタを投下しながら、結局それはミスリードでしたー、というオチは何か拍子抜けな気はする。
 そもそも、今話で起こった様々な事件がある一つの黒い陰謀に収斂されていくのではないか、という期待を持たせる構成だったのに、放火事件と殺人事件と隠蔽事件それぞれの犯人が別々だったというのは、巧くまとめられていないという評価を下すことも可能だとは思う。

 ただ、殺人事件と隠蔽事件を切り離したことで、別の犯人が起こした殺人を隠れ蓑にして隠蔽した人間が捕まりもしない、というテーマが重くのしかかってくるようになったのは確かで、社会派ネタを扱うときの櫻井脚本でよく使ってる手口だ(笑)
 あと、某国の諜報機関とか浮世から遠い閉鎖的組織とかじゃないんだから、殺人なんて大層なものは、組織の秘密を隠蔽するために使う、なんてことはそうあることではないというのがフツーの感覚で、現実の大概の殺人は金目当てか、もしくは愛憎こもった感情的な、場当たり的なものであることが多いので、その辺の現実感覚でリアル感は出ているようにも感じられる。

 なんだかんだで櫻井脚本は、私の面白さ感覚を巧いこと突いてくれるなァ(笑)

 …とはいうものの、結局は投げっぱなしで終わった感じの隠蔽事件についてのテーマを重々しく提示しながら、その横で本当の犯人に関わるネタを絡めて良い話っぽく〆たように見せかけるラストは、何かズレた感じがしはする。

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 監督・長谷部安春、御齢76歳…
 まだまだ頑張る昭和一ケタ(^^;)
 映画第1作の『あぶない刑事』のメイキングで見たときから既に結構な爺サマだったから、今フラフラになりながらメガホン取ってるんじゃあなかろうか…

 若手があまり育ってなさげなこの業界の老舗会社では、この年齢程度ではまだまだフツーぐらいなのかもしれないが。


 今回は、めちゃくちゃ漂っております、サスペンス劇場臭(笑)
 近親者の犯歴が人生を狂わせるみたいな重い要素も、表面なぞっただけで、深入りしたり別視点から見直したり演出的に重くしたりしない、ラストの人情を際立たせるただの刺激要素でしかない、というのが多少感じられるラフな扱いの撮り方なところが特に。
 先週の、国家を揺るがす空前の規模の事件から比べたら、かなりスケールダウンした小市民的なものになってしまったが、普段の『相棒』からすると、このぐらいに気負ってない方がいいとは思う。
 エスカレートしていったら、インフレ現象で収拾不能になるし。


 「6-8 正義の翼」で太平洋戦争ネタなんかを引っ張り出してきたりして、視聴後に重量感が残る骨太な撮り方をする長谷部監督と、「6-7 空中の楼閣」で完全な悪役キャラがありえないほどの改心ぶりを見せてハッピーエンドになってしまうなど、感情的な部分を強調する岩下悠子脚本とのタッグ回。

 「登場人物の証言を基に推理を組み立て物証を集めたが、実はその途中に嘘があった」というのが今回のトリックだけど、物証を集めるまでの過程は、右京が事件にある数々の疑わしい点を見抜いて進展していったので、右京一人の判断で物語が進んでいった形なので、その途中で判断を間違えていたので意外な展開になりましたと言われても、「だって、“これはこういうことです”と大前提のように脚本が定義づけて出してきた要素を、後々で“それは大前提ではなくて、違うことなのです”と言われても、意外という以前にヒキョー」という感じが若干しないではない。
 普段なら捜一トリオが動いて一般的な解釈や視点を提供することで、右京の発言が意外なもの・真相解明に有効なものとして見えるようにしている視点の広さがあるのだけど、今回はほとんど特命コンビ二人だけで動かして、ただでさえ狭い『相棒』の視野がさらに狭く見えたような…

 撮り方と編集のことについてだが、「2-19 器物誘拐」でもそうだったし、「2-18 ピルイーター」でも輿水脚本の油断っぷりを誤魔化せていなかったなど、移動シーンをビミョーに尺長く取ってあまり省略演出を心がけていないのが、長谷部メガホンの特徴かもしれない。

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 昨日の『刑事貴族3』で、水谷豊がやたら不逞な腹巻オヤジやら酔っ払い工事現場オヤジの変装を披露していて、今の右京さんとのギャップを考えると、そのはっちゃけぶりが笑えて仕方がない。

 今話は脚本・徳永富彦×監督・東伸児という、『相棒』のブレインスタッフに初挑戦のコンビ。
 東伸児はずっと『相棒』助監督だったので、今回満を持しての『相棒』初監督ということに。
 2本のジュース瓶でバイナリ爆弾ができるのではと言う薫に「そんな混ぜ合わせ方をする人はかなり珍しいですネ」とツッコむ右京さんとか、監視映像で確認したら推理が外れててうろたえる薫とかは、若干輿水脚本テイストで、ラストのすっきりしない雰囲気のセリフ回しも含め『相棒』テイストを色濃く出そうとがんばっている様子。

 先週とは打って変わって、『ブラッディ・マンデー』よりこっちの方がよっぽど巧く和風に翻案できているだと言いたい(笑)『24』チックに、ハイテンポで話が進む。
 議員会館で爆弾事件という、シャレにならん規模のデカいネタを持ってきて、ワーキングプアという社会問題も取り上げてしまって、それでも卒なくまとめ上げるストーリーテリングが、相変わらずトバしてるな~

 2時間スペシャルとのテンポを比較してふっと思ったけど、レギュラー放送回の『相棒』のスタンスは、2時間ドラマで展開するような物語要素を1時間に詰め込んでお送りする「いつでも心に土曜ワイド劇場」な感じだったりしたりして、それがこのハイテンポを生み出しているのだろうか?(汗)


 オタ的には、磯部勉が出てきたことに惹かれておくべきかな。


 「時事問題を取り上げれば、社会派風ということで好意的に見られるだろう」という上層スタッフ側の安易な計算が見えてくる感じもしたのだけど、そういう安易なネタを波及させて「ワーキングプア問題が取り上げられて揺れている現代だけど、冷遇されている貧しい人はずっと昔から連綿と存在して続けていたんだよ」ということまで深めて言及していて、「軽いネタにはしないぜ」的な意地を見せている感じなのは、現場スタッフがどこまで自覚的だったんだろうか?
 ただ、それでもまだまだ甘い感じは否めず、この辺を深く掘り下げるともっと面白い話ができたかもしれないが、そこまでいかないのが『相棒』テイスト…

 …私が他の作品でこういう感じの話を観ていたら、「この程度で言及を止めているのは中途半端だ」と酷評しているだろうに、『相棒』には甘い証拠(汗)

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 『相棒』ってこういう部分が不思議なところだなァ。

 誰が見ても、ラストの逮捕シーンは結婚の暗喩であり、その直後の薫と美和子の割と真っ当な結婚との比較として、負の意味が突き抜けた鏡像だということは明白なのに、その相対関係を強調することなく、セリフ一つでさえ結び付けず(「オレたちはああいう風にならずにやっていけるさ」みたいな)「それはそれ、これはこれ」というスタンスで完全平行で話が進んでいくのが、妙な作劇だなぁ、と。
 まぁ、ここを強調すると『はぐれ刑事』のラインになってしまうし、美和子とたまきはそういう各話のメインストリームに絡んだり巻き込まれたりしない傍観者というのが番組内の立ち位置のようではあるし、撮り方や演出に感情の篭った湿っぽい感じにしないのが今風というかウケてる理由の一つとも思えるし、なんだかんだで『相棒』らしいのか。

 あと、公式ホームページに載っている粗筋を、こういう風に肉付けにするのか!…と唖然と思ってしまうような「変な感じ」があるところも不思議なところか。
 粗筋を見る限り、警視庁内で犯罪が起こって建物が封鎖され警官同士が疑心暗鬼に陥る、なんて、スピーディで緊張感いっぱいの櫻井脚本風の話が期待されてもよさそうなものだし、奇抜ながらオリジナリティがあって興味が惹かれるものなのに、そこら辺の部分には興味がないかのように、この粗筋なら枝葉末節になりかねない部分に心血注いでる感じがするので。
 「官房長の小野田ですら出られない状況」とあるので、「どんなかつてない厳戒態勢が番組内で起こるんだ!?」と緊張していたら、いや、自分で警視庁内に引っ込んでるじゃないかッ!(笑)
 まぁ、その御蔭で、抱腹絶倒の「暇か?」の変則バージョンが見られたワケだが(笑)
 小野田を持ってきてパターンを変則させるのは、砂本脚本が初めてだったはずで、その時は「生みの親の脚本並みに面白いギャグをかっとばしたなー」と感心していたのだけど、その生みの親の脚本にそのギャグパターンが組み込まれたか…

 最初に出てきた凶悪犯人のキャラクターが変に独特なのは、輿水脚本ならではなところでもあるけど、役者の演技の御蔭も大きいよなぁ~
 殺人を犯した警官に対して「気にすることはない、誰にでも魔が差すときはある」と諭しちゃうチグハグなシチュエーションが生まれてる辺りからもキャラの強烈さが滲み出てるけど、かなーり身勝手な殺人を犯した者に対して擁護的な言葉をかけるというのも、『相棒』ならではの不真面目を感じてしまうなぁ。
 右京の口からは犯人に対して、澄んだ心を持った視聴者が納得する懲悪的な言葉を投げかけて〆るのがこの番組のパターンでありスタンスだけれど、特命コンビが関わらないこういう脇の部分では、実は結構懲悪的ではないことが多いんだな、これが。(Season7の初回スペシャルで、伊丹の起こした暴行が結果的に好判断として扱われているのも、それが顕著)
 『相棒』らしい、と言ってしまえば聞こえはいいが、普通だったら、蒔いた物語要素を本筋に絡められずに腐らせてしまっている、というマイナス評価になるなぁ(汗)

 キャラの魅力(変さ)でカバーはできてはいるが、事件が始まるまで冗長なのが今回の話の玉に瑕なところで、倒叙型ミステリーだと気付くまでが辛いので、そこら辺はやっぱり輿水脚本らしさ?

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 終盤10分ぐらいのところを見てたら、ラストのBGMがDVDに収録されていた「帰還」ではなくて、明るく軽めのジャズ曲になっていた。
 そーかそーか。再放送版だと、音楽版権それほど厳しくすることなしで、そのままで使えるんだった。
 土曜ワイド劇場時代のエンディングがDVDでは差し替えられてるのは分かってたけど、TVシリーズにおいても結構細かいところで差し替えてるんだ。
 DVD見てるだけだと、この辺の元々の演出意図が分からないので、再放送版は貴重だなぁ、とそんな当然のことを再確認。

 …ただ、散り散りになった子どもの逞しさから将来を信じて思いを馳せるというラストには、明るく送り出す大衆曲も良いけれど、希望をほのかに感じさせる「帰還」がかなりピッタリハマっていたと思っていたので、改変された選曲の方が好みだなぁ~


 その他の部分でも曲の入れ替えがあったのかもしれないけれど、その終盤10分間しか見ていないので、何とも判断できず(汗)
(犯人の追い詰めシーンで使用されてた哀愁漂うトランペット曲はサントラに収録されてなかった曲だったなぁ~。義野裕明の作曲とも思えない雰囲気だったから、未収録曲?)

 個人的にこの話は、前半の盛り上げはすごく面白いと思うのだけれど、後半での伏線のまとめ方がどうも納得が行かなくて、あまり好きではないので。
 バスを使う以外そんなに予算かけてないのに、大量の子どもが同時に誘拐されたという設定だけで物語の広さを感じさせて、その設定的な広さを柱にして物語をグイグイと進めていくのは砂本量脚本らしいアイデアとパワーに溢れているのだけれど、その勢い溢れる事件が、どうしてその形式(誘拐という方法の選択、なぜ10人以上もの人数なのかという規模的な問題、目撃される虞を回避する策があったのか、など)で行われなければならなかったのか、という説得力が、あの犯人と動機ではかなり弱いんだよなぁ…

 まぁ、アイデアとパワーという点では、同じ誘拐というアイデアでこれの後に制作された「4-11 汚れある悪意」より、よくできているから、こっちの方が好きだけど。
 「汚れある悪意」は誘拐事件に警察がどう対応するかという部分を丁寧に描いているのが優れているけど。

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 よっしゃよっしゃ!!
 亀山は帰ってきたぞ!!

 まだまだ続くよ、二人の『相棒』は!!

 …と、先週から一人で勝手に推測したことが外れて、勝手に喜んでいる私であった(汗)
 あー、恥ずかし(//▽//)

 こうなったらこのシーズンは、薫が『相棒』を卒業すると知らせていることを利用し、薫が特命係を離れそうになるエピソードを定期的に投入して、その度に視聴者がドギマギして注目して視聴するのを狙って、辞める辞める詐欺みたいに視聴率アップを企んでいる方針である、ということにしてほしいなァ(笑)


 ところで、瀬戸内先生@津川雅彦…
 自首するのにヘリをチャーターする金があったら、貧国の寄付金に回してやってください(笑)

 しかし、先週から何か思わせぶりだったけど、Season2からずっとキャラを育ててきた準レギュラーともいえる瀬戸内議員をここで切ってしまうとは、思い切ったことをしたなぁー
 このまま今シーズンで、特命係に理解ある登場人物を次々と抹殺して、特命係孤立包囲網を完成させるつもりか?
 そして、レギュラーキャラを薫共々ほとんど替えてしまって、来シーズンから『新・相棒』開始ィーー………というのは妄想すぎるか(汗)

 善意の善行が成されたことに善処の過程があるとは限らない、という、キレイごとで線引きできない善悪渾然一体の逮捕劇を、湿っぽくない乾いた雰囲気で重々しく打ち出してくるリアリティが、実に『相棒』らしい。
 そして、不純な手段を取ったことが回り回って報いになる皮肉な結末と、不法な手段を許さない右京の一言を犯人に与えるのもまた『相棒』らしい道徳観ではあるけれど、今回のテーマを考えると、とてもテレ朝的な結論なようにも見える(汗)


 冒頭では右京が、「シンガポール 空」の解釈について、珍しく感情的に意地になっていたのが、「それはキャラが違うぞ、らしくないなァ」とは思いつつも、笑ってしまった。
 角田課長の「でも、オレの目は盗みやすくてイイだろ?(笑)」という言い回しといい、輿水脚本の真髄、ここにあり。
 回想シーンのてんこ盛りと、特にあってもなくてもいいようなシーンの連発、というのも輿水脚本回の真髄だが(汗)



 ところで、今関西は、金曜昼に『相棒』の再放送を見て、月曜に『あぶない刑事』で懐かしい気分に浸り、火曜に『刑事貴族3』で若かりし頃の水谷豊に惚れ、水曜にこうして『相棒7』を視聴するという、実にハッピーなラインナップになっている(笑)
 テレビ大阪や京都テレビの映りが良かったら、もっとハッピーなのに(泣)
  しかし、『刑事貴族3』を見てたら、水谷豊と高樹沙耶の現在の老けっぷりが、嗚呼…

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 ぎゃあああああああ!!!!

 薫ちゃんが、ポッと出のテレ朝的な理由に連れて行かれてしまうぅぅー!!!

 なんか、国際貢献に命かけてた死んだ友人の後を継いで、警察を離れて海外に行ってしまって、亀山薫@寺脇康文番組卒業という伏線が、ガシガシ立てられてた気がする…

 …って、それは松本プロデューサーが言うように、「キャラクターを大事にしたリアルな卒業方法」になってるんだろうか?
 キャラを大事にするっていうのなら、刑事ドラマにありがちな「殉職による退場」はないはずだし、リアルということを考えるなら、フツーに人事異動になるとか、私が予想していた子ども誕生を迎えて安定した役職に就くようになるとか、刑事モノの基本としていたり今まで作品内で培ってきた設定を活用した“ありえそう”なことだったら納得できるんだけど…
 今回初めて出てきた“なかなかありえない”設定が長年主役を張ってきたキャラの人生を変革させてしまう、というデカい影響力を持つのは、制作側の都合で変えてみました感を強く受けるんですが…
 リアルに感じるのは「そういう事態を前にしたら、薫ちゃんだったら行ってしまいそうだなー」という部分ぐらいなもの…
 …ということは、そこら辺は「キャラクターを大事にしている」ということになるのか。

 …しかし、警察内部の腐敗を暴くことから始まり、前シリーズ、前々シリーズでは社会制度に対して戦いを挑んでいた感もあったこの作品も、世界に対して戦いを挑んでいるような態勢になってしまっていて、どこまで格調高くなっていくつもりなんだ(笑)

 それに合わせて音楽もガラリと変わり、ほとんどが今回新調されたスコア。
 やはりというか何というか、劇場版があったらその後のTVシリーズにも使い下ろされることになる慣例っぽいお約束通り、劇場版のサントラも使われていたが、あの重々しい雰囲気のスコアを使うというのも、何か番組自体の雰囲気を変えようとしている感じを受ける。
 オープニングテーマもコーラスバージョンに様変わりしたようだし。


 お話の方は、最近の、まばたきも油断できないほどのハイテンポで進んで緊張感を生み出していく忙しい作りに比べて、久々にのんびりとした雰囲気で進んでいく。
 この、ストーリーに隙間があって制作側の油断さえ見えてきそうな緩さは、やっぱり輿水脚本だなぁー

 そのおかげで、キャラメイカー・輿水泰弘の本領発揮というか、これまでのストーリーの騒がしさで鳴りを潜めていたキャラクター遊びが随所に見られて、楽しい。
 「こら、連絡ぐらいよこせ」という遺留品メッセージを伊丹-亀山の会話でギャグ的に使ってしまうノリとか、犯人が返り血完全防備していたという捜一の推理を「それでは怪しまれてしまいます」と普通に否定するのでなく「そんな人物に近付きたいと思いますか?」とちょっとズレた否定のし方をする滑稽さのある右京のセリフ回し、強烈な悪口を言われたはずなのに「存在自体がウザいと言われては仕方がありません」と飄々と返してしまう右京とか、高飛びした共犯者を「さすが商社マン。足回りが早い」と呑気に評してしまう芹沢とか。

 他の脚本家の話ではスルーされていたり、固定的なものになっていたりする特命係の扱いが、ちゃんと徐々に悪くなってきている変化を描いているのも輿水脚本ならではの特徴かも。
 あと、傷心の薫に対しても「君を探すほど暇ではありません」と飄々と答える右京は、最近緩く捉えられがちな本来のキャラ設定に忠実ながら、ビミョーに関係性が後退してる感じも受ける。

 また、ホテルでの殺人についての利点(オイオイ)を解説するシーンとかは「おいおい、そんな当然のことを、さも頭の良い作戦のように語ってどうする!」と言いたくなって間延びした感じを受けてしまうのだけど、最近どうも基本をすっ飛ばして複雑化しているこの作品にあって、原点に還って、推理モノの基本を解説しているかのような親切さがあり、あと、当然のことでも薀蓄っぽく語られてしまうと個人的に面白く感じられてしまうので(汗)、そこら辺も何か良い。


 隙の多い脚本をダレさせないように、トラッキングショットや手持ちショットを多めにして、画面に緊張感をもたせつつ、しかしそれだけ動かしても隙のなくて画面が引き締まるレイアウトを維持する、という奇跡みたいなことやっていて、音楽でも誤魔化していたり、演出方面でかなり工夫していたのが印象に残った。

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 いやぁー、発売当日に買っちゃいました!
 人気のないサントラ商品棚に一目散に駆け寄り、小走りでレジに駆け込んで、スキップしながら帰っていった私は、さぞや怪しい客であったことだろう(笑)

 『相棒』ドラマのサントラは以前にも出ていたようなのだが、ゴニョゴニョな権利関係だか何だかのゴタゴタした事情ですぐさま廃盤になったらしく、普通では手に入れられないシロモノになっていたので、のめり込んだら音楽まで制覇しにゃ気が済まん私としては歯がゆいばかりだった。
 劇場版のサントラは買ったものの、TVシリーズとはまったく違うスコアの作り方だったので、テレビシリーズのあのシーンの曲が聞きたい、このシーンの曲が聞きたい、なんて思っていた私の要求は叶えられず…(でも「ミネルバの梟」と「さようなら」は好きだわ)

 だが今宵、装いも新たに、権利関係もすっきりして(笑)、サントラが正式に発売される運びと相成った。
 よし、シーズン4のオープニングテーマと「終わりの始まり」は耳にタコができるまで聞くぞ(笑)

 ただ、サントラの解説書には、作曲者の池頼広を『相棒』の世界観を支えてきた功労者として讃えた文章が並んでいるのだが、当然と言えば当然のことながら、土曜ワイド劇場版から音楽監督の立場で『相棒』を支えてきた義野裕明についての文言は何一つ入っていない…
 スタートメンバーでもあるし最近まで名前がクレジットされていたのだから、ちょっとぐらいは触れてやっても良さそうなモンだけど、以前のサントラ廃盤の理由のことも考えると、何か背後に黒いものがあるようにも疑えてしまう…(汗)
 だから、義野裕明と『相棒』スタッフ(もしくはスポンサー?)の間に、一体何があったんだ…!?


 「花の里」のシーンで必ず流れるBGMが、音楽だけ聴いてれば、西部劇の酒場のBGMとしてかかってそうな感じだったのに気付いたときは、何か面白かった。
 あれだけ和風を主張している画面で、その対極的な感じの曲が流れても、すんなり受け入れられてしまうギャップというかアンビバレンツな我々の感覚が興味深い。
 まぁ、ブルースって基本的にそういうものかもしれんが…

 『踊る大捜査線』のミキサー使いまくりのF.F.S.S.音楽を、ジャンクフードを漁るように好んで聴いていた身としては、池頼広の音楽はそれとは対極的な、クラシック的な原音楽の、管楽器や弦楽器の和音や音の揺れが心地よい重層的な良さが感じられて、これまた好きになってしまったなぁ~
 『相棒』から見るとだいぶ後の作品になる『かみちゅ!』のサントラも放送当時は欲しかったし…
 …っていうか、これ聴いてたら『かみちゅ!』の方も改めて欲しくなってきたなぁー(笑)
 どっかに売ってないだろうか?……って、amazon行きが無難ですか?

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『相棒』新シリーズをもって寺脇康文が水谷豊とのコンビを“卒業”

 俳優・寺脇康文が、水谷豊とのコンビで難事件を解決していく人気ドラマ『相棒』(テレビ朝日系)を卒業することが28日(木)わかった。同作は10月より新シリーズ「season7」がスタートするが、寺脇の出演は同シリーズが最後に。放送前に主要キャストの卒業発表は異例だが、同局プロデューサー・松本基弘氏は「社内外から批判があったが、リアリティを追求するには亀山(寺脇)は去らなければいけない」と説明し、寺脇も承諾。「亀山薫の生き様を、皆様の目に焼き付けて頂ければ」と最後まで全力で演じきることを宣言した。

 同作は、00年に『土曜ワイド劇場』の一作品として産声を上げた。02年には連続ドラマとしてスタートし人気が定着、今年のGWに公開された映画『相棒―劇場版―』も08年度上半期上映作品として興行収入・観客動員数ともに1位という大ヒットを記録した。

 優秀なキャリア組でありながらも、その“変人”ぶりが災いし、出世コースから外れた杉下右京警部(水谷)と、警視庁のリストラ対象にされた上に、杉下と組まざるを得なくなった亀山薫巡査部長(寺脇)。“人材の墓場”とまで言われた特命係に追いやられてしまった2人の活躍を描く。寺脇演じる亀山の卒業について松本プロデューサーは「(ドラマ設定では)“変人”杉下の下について6人の刑事が辞めていった。常にリアリティを追求してきた作品だし、さらに進化をするために決断しました。賭けですね、ハッキリ言って」と苦渋の決断であったことを明かす。

 松本プロデューサーから直接“卒業”を言い渡された寺脇。当初は困惑したようだが「亀山薫のこと、俳優・寺脇康文のことをとても大事に、そして真剣に考えてくれているその“思い”を受け止め、気持ち良く卒業させて頂くことにしました」と、今回の決断に対し前向きに共感した。8年間に渡って“相棒”としてコンビを組んできた水谷にとっても、今回の寺脇の卒業は、まさに寝耳に水。だが「確かに今や亀山君も特命係に流されて2人が出会った頃の僕の年齢になりますしね。彼の更なる進化を期待します」と“相棒”の新たな門出を祝福した。

 ファンにとって気になるのは、具体的な“卒業方法”。これまでの刑事ドラマといえば、壮絶な“殉職シーン”が通例だが、松本プロデューサーは「こればかりは観てのお楽しみとしか言えないのでご了承下さい! ですが『相棒』は、これまでの刑事ドラマに捉われない形で制作してきたので、卒業に関しても期待して欲しい」と胸を張る。亀山が卒業してもシリーズはそのまま継続し、タイトルもこれまで通り『相棒』のままだという。松本プロデューサーは、具体的な明言を避けたが、新たな“新・相棒”の登場も予感させるものがあり、新シリーズ「season7」に俄然注目が高まる。

 ドラマ『相棒 season7』は、10月より毎週水曜日、夜9:00より放送開始(初回は2時間SP予定)。

(ORICON STYLE - 08月29日 05:01)


……………。

………えーっと、あのぉー…

……うーんと……………えー……

……あの…


…とりあえず、感情的に一言。

 

ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーッッ!!!!!

 

 待てっ、待て!! 待ってくれ!!

 何だ、出演者とスタッフの間でいざこざでもあったのか!?
 それともこのニュースの通りに作品の都合なのか!?

 待て待て待て待て待て!!!
 いかに私がにわかファンだとはいえ、これには何か言ってもいいはずだ!

 シリーズが続くのに、なんで主人公交代なんだ!?
 いや、確かに主人公といえるのは杉下右京@水谷豊で、亀山薫@寺脇康文は良くて準主人公扱いってレベルだから、右京さえいれば『相棒』の存続には問題ないのだが、「下に就いたものはことごとく警視庁を去る」ぐらい常人とは反りが合わない右京に、“初めて”付いて行けた人物にして、あまつさえ彼の考え方や価値観に何らかの変革を与えるまでの存在である薫ってのは、キャラクター造形のマッチング(「それでベストの人物関係か?」というリアリティ)はともかくとして設定的に、代わりがホイホイと現れることはまずないと思わせる唯一無二の“相棒”になっているので、この二人を離すことなど考えられないのですけど。
 それに、「右京って、実は誰にでも気を合わせられる常人なんじゃないの?」と、主人公・右京の神秘的なキャラクターまで破壊しかねない。
 大体、主役交代して良くなった例ってあまり聞かない。『X-Files』とか……って、あれは特殊な事情がある例か…

 そして、いつまでも(売れ)続けることができるコンテンツが求められる昨今、その理想とされる『サザエさん』時空が不可能な実写ドラマであっても、留まり続けることを強制されている特命係という戯画的な設定によって、逆に作品をいつまでも回していけるという商業的にはウハウハのリアリティを獲得できた、というこの番組の面白さの根幹部分について、制作側の理解はどうなっているんだ!? 割と自覚的だったと思っていたのに。





 まぁ、偏狭のオタクが騒いだところで、今更、どうにもならんか…
 確かに、何かの成長や進展を描くことで作品的には充実した意味を付加されることもあるわけであるし。
 亀山薫@寺脇康文が再びこの番組に、右京の相棒として(別に特命係に戻らなくてもいいから)顔出してくれることに、期待。


 えっ? 刑事ドラマでは卒業=殉職だから、再登場しないんじゃないかって?

 私はそうは思わない。

 制作側の言う、「薫というキャラクターを大事に考えた、リアリティのある卒業方法」が本当に実現されるのだとしたら、考えられるのはアレしかないだろうなぁ、というアイデアが一つある。


 薫と美和子の間に子どもができる。


 右京はともかく、薫が閑職部署である特命係でのんべんだらりと過ごしていられるのは、妻の美和子と共働きだから、日常生活に経済的な危険がないから、収入にもおいても社会的責任においても重荷を背負わされてないから。
 だが「一人の男として、ずっとそのままでいいのか?」「学生時代から付き合ってきた美和子とも、ずっとこのままでいいのか?」というキャラの人生を大事に考えた場合、この閑職から外してあげることが、制作側の一つの優しさになると思う。
 シリーズの中では、Season6最終回で右京から離れることを進言されているし、劇場版でも薫が特殊部隊にスカウトされたという話も出てきたし、薫が栄転できる下地は出来上がっているので、後は薫の気持ちの問題になると思う。元々上昇志向はある男なんだし(手柄を上げて捜査一課に戻りたい、と何度言っていただろうか)、右京や特命係への親しみを我慢しようという気が起これば、喜んで違う部署で頑張るだろう。
 そこで子どもができれば、どこか不安定だった美和子との仲にきちんとけじめをつけることができるし、家族を養わなければならないという責任が否応なくのしかかってくるので、右京との強い結び付きを“切る”のではなく“超える”形で閑職・特命係を離れるべき状況になる。

 …ということで「薫というキャラクターを大事に考えた、リアリティのある卒業方法」が実現されると思うのだけど、さぁ、どうなることか…


 しかし、右京と薫の性格付けはバディムービーの基本「何から何まで正反対」をなぞってしかもそれがハマっているのだから、後進の相棒のキャラをどうするのかは、相当慎重にキャラ作りしないと、恐ろしい結果になりそうだ。

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 『相棒3』7巻に収録されてる2話は、どちらも重いテーマを語らせる話で、砂本量vs櫻井武晴、という図式。
 軍配は櫻井脚本に上がった感じかな?
 しかし、重いテーマの扱い方について、それを大上段に掲げて話を作るのか、エッセンスとして用いるのか、というスタンスがそもそも違うので、この比較にさしたる意味があるとも思えないが。




 砂本量脚本の「予告殺人」は、電話で予告された名前と同じ人物が殺される連続事件が発生、事件に振り回される人々のパニックぶりを描くことが中心の、砂本脚本らしいインパクト重視の作り。

 狙われる人物が名前しか明らかにされず、ある種の無差別殺人となっている状況下で、市民は戦々恐々、警視庁も全庁挙げて連日連夜の広域捜査を余儀なくされ、否応なしに増していく緊迫感…
 大規模ロケも爆破シーンもない低予算的な撮影なのに、僅かなパニック描写だけで、下手なアクション映画よりも遥かに大きく深刻なスケールとサスペンスを感じさせる、効率のいいシチュエーションを作り出す手腕は相変わらず見事。
 シチュエーションをただの設定だけに腐らせず、話が後半に進むに従って全体的に「ピリピリとした空気」がひしひしと感じられてサスペンスが盛り上がっていったり、その雰囲気が原因で登場人物たちの葛藤が生まれたりするなど、ちゃんと充実したドラマが繰り広げられて、ストーリー的に有効に使われているのも、当然と言えば当然ながら、素晴らしい。

 そこに、過去に警察と世間の無関心のせいで姉を殺され心の傷を負った被害者とそのカウンセラーの話が絡む、という重い要素が加わっている。
 普通の推理モノのセオリーからいくと、「自分(や姉)の味わった恐怖を他の人間にも思い知らせたい」動機があるこの二人のどちらか犯人(もしくは共犯)で間違いないのだが、そういう普通の話にしないという壮大なミスリードを行いつつ、しかし、二人を犯人にしなかったがために、動機として疑われたその思いを、犯罪に走る歪みのない純な思いとして視聴者にテーマを投げかけることを可能にし、捜査に協力せず事件を複雑化させる第3勢力として物語の緊張感をさらに高める役割を担い、またその怨みと心の傷を解消するためのドラマが用意されることで物語内容が充実される…
 …という単なるミスリード要員に終わらせることない抜かりのなさ。


 ただ、ところどころに見ていて引っかかる部分もある。

 心の傷を解消するドラマ部分として、「自分も姉を救えなかった罪悪感」を、犯人逮捕に協力することで、自分が感じたのと同じ恐怖に陥れられている人々を救い、自分をも救うという流れになっているけど…
 「君の協力があれば、救えるんだ」と薫はお願いっぽく言ってはいるけど、人々が恐怖でパニックになっている場所まで強引に連れ出されて光景を見せられては、お願いではなく、ほとんど強制だ。
 それに、この解決方法では、彼女が一番強く憤っている「警察と世間の無関心のせいで姉を殺された」問題については何も触れるところがなく、その部分では救われた感がほとんどないのがどうも…

 ミスリードにしたおかげで、犯人が割と安易な人物に収まってしまったし、その犯人が予告殺人を“行わなければならなかった”理由がまったく不明になってしまった(これが上記の二人なら問題はないのに)。

 あと、撮影方面については、犯人の車が最後のターゲットの家まで来ていたのが警察に見つかるシーンで、結局犯人の車に逃げられる結果が待っていたのだが、車と伊丹たちが対峙するカットが長めに入れられていて、緊張感はあるけれど、今回の慌しい展開の中では、妙に浮いた間になっている気もしないではない。
 間と言えば、右京たちが病室で犯人を捕まえた後、右京たちを直接は映さない廊下のカットに移るのだが、警官たちが「どうしました!?」と駆けて部屋に入っていき、右京「この人が犯人です。連行してください」―警官「はい!」というセリフが音声だけ流れてきて、しばらくして犯人が警官たちに捕まえられて出てきて画面下側へフェードアウトしかけるまで描かれており、端折ったり短縮描写にしても構わないのに、やけに逐一経過を描いていて(しかも一部は音声のみで、ちょっとマヌケさを感じる雰囲気がある;)、それが何か可笑しかった。





 櫻井武晴脚本の「警官殺し」は、サブタイトル通りの警官殺しが話の発端ではあるが、市民から慕われていた交番巡査が隠していた不祥事を暴き出して以降の後半からは、それを隠蔽しようとした警察上層部の陰謀という『相棒』お得意の「組織腐敗」のテーマが浮かび上がってきて、さらに警察と自らの良心との板挟みから自殺したその巡査の悲痛な決意を踏みにじってまで真実を明らかにすべきかという物語上の葛藤もそこに加わっていく構成。

 上記の砂本脚本が重いテーマをエッセンスにとどめたのに対し、こちらはほとんど直球勝負。
 右京たちの捜査で明らかになる、事件の裏に隠された「意外な真実」は、推理モノを見慣れた人にとっては、死んだおばあさんの話が出てきた時点で真相が読めてしまって、意外でも何でもない真相だったりするが、そういう推理モノの話を途中で解決させてしまって、むしろ重点はその後の顛末を如何に描くかというところに置かれている。二重構造のシナリオになっている、とも言えるかも。
 数々の障壁や懸念材料がある中で、どうやって真実を明らかにしていくか、という過程を坦々と進行させて、組織の膿というか人の業を炙り出していく、「ありふれた殺人」を書いた櫻井武晴らしい、重いテーマに見合った重いストーリー。

 事件の裏に組織の隠蔽工作があり、真実を明らかにすることで、その悪事と深い関係にはない善人の人生を破壊する虞への葛藤、という流れは、Season1で同じ櫻井脚本の「下着泥棒と生きていた死体」と同じ構造なのだが、「覚悟はありますか?」という右京の質問が「真実を明らかにするために、自らの進退をかけることができるか」というヒロイックな問いかけではなく、第三者を巻き込んでまで真実を明らかにできるか」というさらに深い意味だったとガツンと気付かされるSeason1の方が、テーマが効果的に現れている気がする。
 第三者を巻き込む虞の存在をあらかじめ告げてしまう今回の話は、その意味では親切というか、ちょっとヌルいよなぁ…

 Season1のは、普通の推理モノのように事件の解明を称えるわけではない、苦い終わり方だったが、今回は、組織を壊しかねない不正の暴露には関わりそうもない小野田官房室長や内村刑事部長まで担ぎ上げて、特命係側に勝利(?)を与えるシナリオになっている。
 小野田や内村が、理由はどうあれ、“こっち側”の人間になる、っていうのは、そうなる理由(というか右京と小野田の誘導の仕方)も含めて面白いなぁ~

 「ハトのえさ」を使った、仲違い中の薫と美和子との仲の改善に向けた布石も、なかなかに面白い。
 前回のDVD感想のときは、砂本脚本のときだけこの二人の関係がドラマ的に充実した描かれ方をしている、と書いたけど、今回は櫻井脚本の方が充実している。

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 まだまだ続いております、『相棒』個人的祭り(笑)

 おお、このseasonから地デジ対応画面。
 横長になったレイアウトを持て余してる感があるのは、草創期だから仕方ない……ってか、今だってほとんどの番組でアナログ放送に配慮してそうなってるし。



第6話「第3の男」
脚本:砂本量 監督:長谷部安春


 「特命係に新しいメンバーがやってくる!」というアイデアが出た時点で勝ち、という視聴者・制作者共にお得なお話。
 出てきたキャラクターの造形がこれまた素晴らしく、思い込みが激しく勝手に行動して場をかき乱し、張り込みのたびに監視対象と親しくなっていったり、特命コンビが真相を掴み始めた頃合になって「勘違いかもしれないから捜査をやめましょう」と弱気になって話を後退させたりという空気の読めなさっぷり、しかし顔立ちも性格も誠実そのものだからタチが悪い、という暴走気味なキャラで、どうにでも話を転がせる体制にしているのは心憎い。
 ちゅうか、感情移入ができなさそうなのにできそう、というビミョーなラインを狙って狙えているバランス感覚がすごいなぁ~
 右京とは元より、薫とも正反対のようでどこか似ているので、互いにぶつかり合ってしまう、というバディムービーの基本もちゃんと抑えられている。
 自分が思い込み捜査をしているのを自覚せず、終いには「自分を怒ってばかりの薫はダメダメ、頭の良い右京最高!」(←これは一理ある^^;)と自己肯定してしまう辺り、蔑ろにされる薫の悲哀と相まって、なんか好きだなぁ~

 この3rd Seasonでは薫と美和子が別れてしまっているんだけど、他の話ではそれが無かったかのように、毎回「花の里」で顔を合わせていたり、ちょっと薫と痴話ゲンカをして登場シーンが終わるぐらいで、あまり触れられていなかったりする。
 でもこの話では、その設定をストーリーに関連させながらちゃんと膨らませていて、ボリュームがある内容になっているのが嬉しい。
 1~5話までのスペシャルエピソードが終わって初めてと言っていいレギュラー話の第1回目だから親切めに描写したという理由もあるだろうが、こういう部分でシリーズ構成を踏まえた仕事をしている砂本量がステキ☆



第8話「誘拐協奏曲」
脚本:櫻井武晴 監督:猪崎宣昭


 えーっと……
 渡辺哲、お疲れ様でした(笑)
 登場人物全員から泥を顔目がけて投げられる役回りのためだけに出てきたと言っていい登場だったのは、ちょっと可哀相な気がするわ。

 部屋の壁のど真ん中にデカデカと飾られている渡辺哲の肖像画がファーストカット、というどこか妙な画ヅラだったり始まり方をした時点で、「今回の話は何か違う…」と気付けてしまう。
 話の4分の3が同じ部屋の中で進んでいくという、ゴールデンの刑事ドラマでそんなのやっていいんかい、いいぞもっとやれと言いたくなる室内劇(笑)
 ちょっと、ヒッチコックの『ロープ』を思い出した。
 最後まで室内劇だったら面白かったかも。

 そして、終盤に向かうに連れて濃くなっていくギャグ色。
 『相棒』でギャグをエッセンスじゃなくて、こんな風に出してきて良いのか、スゲェなぁ~
 物騒なしゃれこうべを出してもシャレになってる辺りもスゲェ…………
 …って、ヘタなギャグ、スミマセン(汗)
 でも、パニック障害がギャグになりかけたのは、「オイオイ、いくらなんでもそれはちょっと…」と思ってしまったが、寸でで止める辺り、匙加減が分かってるなぁ制作者。




第10話「ゴースト」
脚本:東多江子 監督:長谷部安春

 女性脚本家らしい、というとセクハラになるんだろうか、心の機微を面白く捉えた脚本。



第11話「ありふれた殺人」
脚本:櫻井武晴 監督:和泉聖治


 そうそう、櫻井武晴はこういう重い話を担当することが多いのよねぇ。
 その割に、セリフ回しに気を遣っていないような気もするが(汗)

 時効を迎えた後に犯人が見つかったことから始まる、数々の悲劇……ってな具合で、社会派色の強い作品。
 同じように社会派的でも、『チーム・バチスタの栄光』をパクったような「Season6-18 白い声」でキレイにすべての伏線が回収されたのと違って、犯人は何に狙われていたのかとか、「あの時、娘は何が言いたかったんだろうか…?」とか、意味ありげな伏線がボロボロ取りこぼされて解答が与えられていないのが、逆にリアリティを感じさせる。

 人並みらしく人情を見せた薫を、情をかけたからこそ他人を傷つけ自らを窮地に追いやり罰を受ける役回りにし、心理的に徹底して追い詰めるところには、人情を大事にする刑事ドラマの定石から外れた、『相棒』らしいシニカルさというか非情さが見られるんだけど、最後に薫が非情なセリフを吐くものの、それもまた人情であるということを強調して、だからこそ被害者を納得させられて物語が〆に向かうという辺りもまた、『相棒』らしい。
 っていうか、人情を捨て非情になることをキャラの成長と捉え、しかしその非情が人情となるという逆説的な物語構造がドラマ的に面白く仕上がってるってのは、もう何と言って良いか、スゲェ…


第16話「人間爆弾」
脚本:砂本量 監督:和泉聖治
 緊張感のあるシナリオを書かせると一品だねぇ、砂本量は。
 制作予算の制限の問題で地味になりそうなところを工夫して、物語に爆発性のある推進力を持たせられているのが素晴らしい。



第17話「書き直す女」
脚本:林誠人 監督:橋本一


 驚くほどにオーソドックスな推理物。捻ったところがほとんどなくストレートな作りで、卒ない仕事ぶり。
 さすが、ゴールデンの『TRICK』で、迷走し始めた旗上げ役の蒔田光治・堤幸彦よりも『TRICK』らしい物語を書いた林誠人だけのことはある。
 最後、何故か舞台上で謎解きを始め、犯人が投降して特命コンビと共にフェードアウトしたところで、拍手のサウンドエフェクトがかけられたと同時に幕が下りてきてEND、というこの番組自体を演劇的に見せてしまうメタ的な画面演出は、他の連続刑事ドラマにはないオサレさで、『相棒』らしいなぁ、と。

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絶句!


 こういう気でも狂ったかのような話をやらかしてしまっていいのか!?
 そりゃもちろん、放送コードに則ってソフトレーティングされたレベルのものになっていて、数多ある映画やドラマ・マンガ・小説を探せば、これよりも何十、何百倍も濃いものがいくらでも出てくるだろうが…
 これをゴールデンの、しかも保守系老舗・東映が作っている番組でやってしまっていた、という驚き!
 こんなものを4年前に既に世間に出していたとは、おそるべし『相棒』!!

 …ってなわけで、TSUTAYAの半額レンタル戦略に乗って、『相棒』を借りまくって観てたりします。
 以下、その感想。



第7話「消えた死体」
 脚本:櫻井武晴 監督:和泉聖治
 たびたび登場するおバカキャラ・栄一の初登場回。
 派手な展開はないが、消えた死体に関する大元の事件を追っていく流れがあって、そこにその事件を解決しないと命が危ないというタイムリミット付きのもう一つの流れが絡んできて緊張感を作り、しかし大元の事件を解決するにはこっちの流れの存在が邪魔をする、という多層的な構造が物語を引き締めていて面白い。

第8話「命の値段」
 脚本:櫻井武晴 監督:橋本一
 人世横丁を捜査する特命コンビの様子をアオリで撮ったり、その場面で(おそらく)脚本の指定に先んじて犯人をさりげなく強調していくなど、ところどころ映し方が面白い。

第11話「秘書がやりました」
 脚本:輿水泰弘 監督:和泉聖治
 これはテンポがいい輿水脚本。
 本人のためと言い張って本人が望みもしない名声のために、残虐な凶悪事件をさらりと起こしてしまう狂気を持ちながら、有能秘書らしく理路整然と物を言い、時に感情的にもなるけれど、しかしそれさえも相手を煙に巻くための計算でやっているという、人間性に満ちたように見せかけている人非人のキャラ(演:室井滋)が絶句するぐらいスゲェ…
 意味ありげに出てきた議員バッジが、犯人を示す証拠として指摘されるわけでもなく、犯人が捕まった後に最後の最後になって出てくるという肩透かしな登場をしながら、「このバッジの重さは、これを手に入れる苦労をした者しか分かりませんよ」と室井滋が自分の起こした異常犯罪を全て正当化して、犯人が一切の反省もすることなく物語を終わらせてしまう原因になっていて、変に有意義な重い意味を持たされていたのが印象的。
 推理モノとしては「取りこぼした伏線」みたいな感じになっているけど、ドラマ的にはちゃんと回収されているのが、妙なリアリティというか、一捻りする『相棒』らしさがあった気がする。

第12話「クイズ王」
 脚本:深沢正樹 監督:和泉聖治
 こ、こ、こんな狂気の塊みたいな犯人出してきちゃっていいのか!?
 いや、愉快犯的な犯罪の真犯人として、観ている者をちゃんと納得させられるキャラを、きちんと作り上げられたということか?
「あなたたちが無能な警察官だったせいで、罪もない民間人が、一人死にます」パーン!(←犯人側が一方的に要求してきたくせに、修飾語が過激)
「私は推理力、想像力、直感、いずれも人並み外れたものを持っています。僅かな情報さえあれば、いくらでも正しい答えを導き出せる(←断言!)
「彼のあの言葉だけは許せなかった」(←他人の夫婦の寝室に、勝手に盗聴器を取り付けて、このセリフ!)
「あなたのことを徹底的に調べ上げたわ」「日陰者のあなたに、私のプライドはズタズタにされたのよ!」(←たった一言言葉を投げかけられただけの見知らぬ人間に対して、この執念、この高慢)
 セリフの端々からイっちゃてるぶりが滲み出てるのがスゲェ!
 っちゅうか、その犯人の言動以外にも、「円周率105ケタ目の数字を3秒で答えろ」という問題を3.1秒(いや、これも本当に遅れていたのかどうか怪しい)で解けた右京に対して、警察の誰も彼もが「その程度の問題を解けなかったから、人が殺されてしまったではないか!!」と怒り心頭で、特命係を理不尽に追い詰めていくのは、何かものすごいズレっぷりで空恐ろしかったが。
 でも、それだけの緊張感あるストーリーの中で、最後まで松山ネタで遊んで場のノリを軽くしている脚本には笑ったけど。
 右京と似ているようで似ていない鏡像のキャラが、右京と対決したらどうなるか、という裏テーマが、この犯人の設定のおかげで出てきていたのも面白い。

第19話「器物誘拐」
 脚本:坂田義和 監督:長谷部安春
 うむ、犬がかわいい(←それだけ?
 話が面白いように二転三転し、しかし一貫して「犬」というテーマが語られる、磐石な作りになっていて、楽しく見られる。
 前に某脚本回では間延びしてると感じられる部分があると述べたが、この話では回想シーンとかで、わざわざ浮気相手のところに向かう様子を逐一映していたりして、良く見れば間延びしているところもあるのだけれど、それと感じさせないのはどういう違いなのかなぁ…?
 最後に出てくる証拠が、弁の立つ弁護士を納得させられるだけの物的証拠かといえば、「それは別のところで飲み込んだ可能性もある」と言い返されるもので、弱いと感じられるのだけど、愛犬LOVEな犯人に対して「こんなもの飲み込んだままにさせて、それでも飼い主か!?」という説教でダメ押しするという人情で自供を引き出しているから、お話的にはOK?
 まぁ、とにかく犬がかわいい(←もういい

第20話「1/2の殺意」
 脚本:深沢正樹 監督:和泉聖治
 もうちょっと双子ネタで遊べた気がするけど、そこらへんの抑制が効いているのが、老舗の作りっぽい安定感かもしれない。
 っちゅうか、次の回で最終回なのに、こういう話を入れてくる余裕っぷりは何なのだろうか…?

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 しばらく再放送がなくてタダ見できずに悔しい寂しかったが、久々の、それも結構最近の話数の再放送なので、テンション上がったわさ。

 途中まで櫻井武晴脚本だと思い込んで、「恩賜の懐中時計なんて一般的ではないレアアイテムを話に持ってくるところが、櫻井脚本の凝り性なところだなぁ」などと勝手に想像していた私は、全然脚本のクセが読めない大バカ者でございます(汗)

 でも、だってさー、須藤プロデューサーと共に『相棒』の作品構造を作り上げた功績者であるとはいえ、輿水泰弘の脚本って、2時間スペシャルでは時間持て余している感があるというか、時間配分に間を与えて俳優の演技に任せる部分を作っているけど物語進行的には間延びしている感があって、テンポ良く進んでいくイメージがないんだもの。
 レギュラー放送では「Season2-10.殺意あり」「Season2-18.ピルイーター」でも間延びしてたなぁ…
 ただし、輿水脚本の真髄は、薫の作ったマッチ棒タワーを書類を広げるために逡巡なく薙ぎ倒す右京、とかのキャラのセリフや挙動の可笑しみにあるけれど。
 このシリーズから旗上げ役の須藤プロデューサーが抜けているので、そこら辺が薄めになってきてテンポ重視になってきてはいるみたい。

 そんな感じで、5分に1回不審な点を右京が見つけたりする二転三転するストーリーとか、セリフの機微の違いが犯人特定に繋がる細かい仕掛けとか、結構楽しめた話でしたわ~☆
 普通なら「熱い思いが届いて、二人は巡り合ったんですねぇ」としみじみとさせて人情を謳い上げるべきところのネタ(『はぐれ刑事』ならオチに使っていただろう)を、「そんな都合のいい展開があるものか。何か裏があるに決まってる」と冷酷なまでに合理的に物語の解答を与えてしまうシニカルさも『相棒』らしくて、面白い。



 …と確かに純粋に楽しんでいる気持ちはあったけれど、引っかかる部分が多かったのもまた事実でありまして(汗)


 まず誰でも思うだろうことは、冒頭のミリタリーマニアのホームレス襲撃事件と本筋がほとんど関連性がないというところ。
 冒頭からありったけの火薬(=派手なシナリオ要素)を使ってデカい花火を打ち上げ、視聴者の興味と目を惹きつけてから、その後火薬を必要としない話をじっくりと進めて、花火で出た火の粉を回収していくのが『相棒』スタイルとはいえ、今回は打ち上げた花火がデカいのに火の粉を回収しようとしてないので、気になってしまう。

 まぁ、これが本放送の頃は、イラク派兵の撤退問題やら格差社会やらが槍玉に上がってた時期だから、時事性を狙ってシナリオにねじ込んでみたというだけの、物語のスパイス的な扱いに済ませたかったということなのかもしれないけれど。
 冒頭の事件がその後の本筋と関係なくなるのは、『相棒』の最初の話でも使われていた手でもある。
 …が、その時はちゃんとその冒頭部分だけで解決し完結していて後腐れなかったので、繋がってなくても問題ないのだけど、今回のミリマニは思わせぶりに登場してしばらく捕まらず、襲撃犯の正体に迫っていく流れができていたのに、「彼らの行動にはどんな謎が含まれているのだろう?」という伏線を期待し始めた頃合に、あっさりと犯人バレして解決しちゃうもんだから、冒頭の事件の扱いにこちらが困ってしまう。
 ここで頭を切り替えるべきなのか、それとも何かの裏があるから留意しておいた方がいいのか…?

 困ってしまう更なる要因は、そこに同時並行して「落ちぶれたホームレスが持っていた、高貴な菊花御紋の懐中時計」という興味が惹かれるにも程がある組み合わせの謎についての捜査が進んでいって、例えば「ミリマニたちがホームレスたちを襲撃したのは、その内の一人が持っていたこの時計が真の目的であり、それがその一人がホームレスの立場に甘んじていた理由も含めて、時計の元々の持ち主と関連がある」とそれぞれの要素を関連付けて疑ってもいい余地があって、いろいろ考えを巡らせていたにもかかわらず、その疑いに実は解答がなかった点にもある。
 せめて、「なんであれだけの人がホームレスなんかになっていたの?」と登場人物たちが口々に言って、そこに何か隠された理由があるように見せていたのを何とかすれば良かったのに。
 あれじゃ、「彼は、関連性の薄い冒頭の事件と本筋とを結び付けるためだけの物語的なバイパス役でしたー」とタネ明かしされても、「ミスリードしすぎ」という否定的な感想が…
 その割に、最後にその彼を強引に本筋に絡めて、しかも絡めたことにさほど意味がなくて、何だかスッキリさせない終わらせ方にしているし。
 そうそう、懐中時計をなぜ盗まれた扱いにしていたのか、という理由も、思わせぶりだった割に凡庸だったし。
 同じように様々な謎要素がいっぱい出てくるものの、その要素それぞれに解答が与えられてスッキリした「Season6-1.複眼の法廷」とは違う感じ。


 まぁ、それらは流行要素(?)の取り入れという形で納得するとしても、時事性が関係なく、シナリオ側の提案であろう「右京が最初に関わった事件が、時を超えて再び浮上してくる」というアイデアが、全然活かされてないのは不思議。
 最初の事件だから右京が執拗にこだわって捜査してしまう、という使い方なのかもしれないが、まぁあの人が執拗なのはいつものことなので、普段と差異なし(汗)
 右京がその当時の現場を実際に目にしていたからというアドバンテージを発揮するわけでもなく、過去の回想シーンに若かりし頃の姿を現してファンサービスを行なうわけでもなし。

 …でもまぁ、回想シーンに現れないのは大正解だけどね。
 過去シーンを描くとなると、右京のよく分からない性格の形成の過程も多かれ少なかれ描くことになるだろうけど、あの性格の形成がどのように行なわれたか(生まれつきああなのか、この事件の時は普通人なのか、ということさえ)「整合性の取れた過去描写」は難しいだろうから、直接描写しないで視聴者の想像に任せておくのが一番。
 だからって、右京がその事件の話をあまり語らないというのは何か違うとは思うが。


 シーズン中の各話でこれらの続きの話をする、という手段もあるので、それならいろいろ出てきた要素もこの程度の扱いでいいだろうけど、あらすじ見る限りどこにも絡みそうにないしなぁ…


 容疑者がたっぷり出てくるが、本ボシが途中参戦ってのは、反則…
 でも、そんな反則はこれまたいつものこと?(笑)

 美和子が変なオリジナル宗教にかぶれていた妙にも程がある様子も、もっと本筋と絡んでこなきゃ意味がない……と思っていたが、4年も続けてきた新聞社勤務という重要な設定変更を視覚的に知らしめているので、まぁいいか(笑)

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